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これからどうなる?
カリフォルニア 財政危機を考える(3)

Lighthouse編集部

世界中で不況の嵐が吹き荒れる中、カリフォルニア州の財政は危機的状態にある。そのニュースは日々メディアを賑わし、深刻な影響が各方面から伝えられている。そこで、4人の識者の話を交えながら、その原因と現状を分析。公共サービスや雇用、教育など、一般の日常生活の中で現れる影響を考察し、今後の展望を考える。


[今後の展望] 財政難にあえぐ、カリフォルニア州の展望は?

これまで、さまざま事象を取り上げながら、カリフォルニア州財政危機の概要、現状、原因などを分析してきた。しかし、誰もが一番気になるのが、今後のカリフォルニア州の姿である。そこで最後に、今回の取材で協力いただいた4人の識者に、カリフォルニア州の今後の展望やあるべき姿をうかがった。

同じ危機に陥らないよう長期的構造改革が必要

◉ユニオンバンク経済調査部長

松田慶太郎氏

補正予算が州議会で可決され、財政危機を脱した感がありますが、それは妥協策に過ぎません。短期的には、カリフォルニア州の財政状況は、景気の回復と共に改善されるでしょう。州の歳入は景気次第で戻ると予想されますが、景気の回復に時間がかかれば、州にとっても苦しい時間が続くでしょう。
 
景気が回復し、歳入が十分になった時こそ、構造改革を進めるべきです。再び景気が後退した時のために、余剰金を積み立て、緊急時に臨機応変に対応できる法律の見直しなども必要でしょう。
 
シュワルツェネッガー知事が取り組んできた選挙区の見直しも有効です。共和党、民主党共に、自分たちの要求を押し通すのではなく、広い視野を持ち、互いに歩み寄れるような柔軟性を持った政治家が、活躍できるシステム構築が求められていると思います。
 
本来、エンターテインメントやテクノロジーなど、カリフォルニア経済にはすばらしい資質があるのです。ですから、州政府には民間部門の底力を頼みにする一時しのぎではなく、将来にわたって経済を伸ばしていくような政策を期待します。

Union Bank
www.unionbank.com


数年かかる財政回復有能なリーダーが必要

◉エコノミスト

ジャック・カイザー氏

カリフォルニア州の財政問題は、今もまだ続いています。景気が良い時は歳出を増やし、景気が後退すると財政難に陥る体質が災いしています。景気に伴う歳入については、今後数年間は停滞すると予想しています。そして、極めてゆっくりとしたペースで回復に向かうでしょう。
 
来年、再来年と、サクラメントでの動向を注意深く見守ることが重要です。まずは、2010年の国勢調査による選挙区の再区画に注目しましょう。民主党、共和党が分裂することのない選挙になることを望んでいます。
 
私たちがすべきことは、すべての州選挙に投票すること、そして選ばれた役人たちが、どのような働きをするかじっくりと見守ることです。なかには、これから噴出するであろうさまざま問題を解決するノウハウを持つ団体もいくつか存在しますから。
 
財政難に苦しむカリフォルニアですが、今でも強さを秘めた素晴らしい州であることに変わりありません。しかし、戦略的なビジョンを持ち、実行力のあるリーダーと、それを支える州民や企業の力が必要となってきています。

The Kyser Center for Economic Research
LAEDC(Los Angeles County Economic Development Corporation)
www.LAEDC.org


石油や天然ガスへの課税で高等教育のサポートを

◉カリフォルニア州立大学 ロングビーチ校

テリー・ヤマダ教授

現状を考えると、皆さんが質の高い生活を送るためには、高等教育がどれだけ大切かをわかってもらうのは難しいと思います。教育現場が完全に崩壊するまで、政治家は何の打つ手もないかもしれません。それでも教育は大事なんです。州民は、機会を見つけて、選任された役人に電話をして、学校をサポートするよう少しでも働きかけていただきたいと思います。州政府には、公約通り、学校に資金援助を続けていただきたいものです。
 
今後数年間、高等教育への予算が減少することが予想されます。解決案としては、石油や天然ガスへの課税です。カリフォルニア州は、全米で唯一これらに課税していません。テキサス州では、100年間にわたって、石油への課税で高等教育の資金を調達してきました。このように、『AB 656 The Oil Severance Tax for Higher Education』が法律化されるには、州民のサポートが必要。自分たちのためではなく、州政に求められているのは何かを考えられる、責任感のある政治家を選任するようにしたいものです。

Dept. of Asian and Asian American Studies,
President of California Faculty Association,CSU Long Beach
www.csulb.edu


日系団体の懸念を積極的に州政府に伝えたい

◉ジェトロ・ロサンゼルスセンター調査部長

水谷剛氏

財政危機の企業への直接的な影響としては、IOUでの支払いや州関係の開発プロジェクトの中止・延期などが考えられます。日系企業への影響は現在、州関係のプロジェクトに関係する一部企業にとどまっており、影響を実感している企業は多くないようです。
 
今後、州政府による増税か歳出削減による財政立て直しが予想されており、これらの日系企業のビジネスへの影響が懸念されています。すでに、他州と比べて高水準の労災保険の企業負担が、さらに上昇することも懸念されているほか、州政府の予算カットにより影響を受ける企業もあると考えられます。
 
世界的な不況の中で、増税や地方自治体を中心に大幅な予算カットを強いられ、カリフォルニア州経済の回復が遅れることも考えられます。それによるビジネスへの影響も心配ですが、ジェトロ・ロサンゼルスセンターでは、日系企業向けにカリフォルニア州の財政危機に関して情報提供すると共に、南カリフォルニア日系企業協会(JBA)とも連携・協力し、日系企業の懸念を州政府にも伝えていきたいと考えております。

JETRO Los Angeles Center
www.jetro.go.jp/jetro/overseas/us_losangeles/