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クールジャパン特集(1)
アメリカにおける“クールジャパン”の今

Lighthouse編集部


アニメや日本食によって世界に広がった現象“クールジャパン” は、2013年に設立された「クールジャパン機構」によって、ポップカルチャー、食、伝統工芸、おもてなし、ファッションなど、幅広い分野での海外需要拡大のスローガンとして、新しい意味合いを持つようになりました。時代によって変化しているクール ジャパンですが、私たちが住むアメリカにおい ては、どういった形で広がり受け入れられているのでしょうか。現在、アメリカでクールジャパン拡大に尽力する企業、団体の取り組みをご紹介します。


アニメや食材から自然発生したクールジャパン

近年、インターネットやテレビなどで“クールジャパン”という言葉を、頻繁に聞くようになりました。まず、クールジャパンが生まれた背景を紐解いてみましょう。
『知恵蔵2015』 (朝日新聞出版)によると、クールジャパンとは「日本独自の文化が海外で評価を受けている現象、またはその日本文化を指す言葉」とあります。 1980年代後半に世界各地で放映されたテレビアニメ 『ドラゴンボール』や『キャプテン翼』を筆頭に、『ポケットモンスター』や『NARUTO』 などのアニメや漫画は、まさにクールジャパンの土台を作った作品ですが、その後、ファッションや食材にいたるまで、広範囲にわたる文化を含む言葉になりました。
そして、2010年に経済産業省製造産業局の 「クールジャパン室」設置により、それに新しい意味合いが加わりました。同省は、日本の経済の活性化を目指し、従来の自動車や家電・電子機器産業にプラスして、ポップカルチャーを中心とした文化産業の海外進出支援などを行う「クールジャパン戦略」を立て、以来クールジャパンは、日本の経済成長を促すスローガン的な用語としての意味も持つようになりました。


海外需要拡大政策「クールジャパン機構」設立

政策として始まったクールジャパンの内容は、多岐にわたりました。2013年1月に、第 2次安倍内閣が設置した日本経済本部がまとめた 「日本経済再生に向けた緊急経済対策」 によると、外貨を稼ぐ手法として、海外展開戦略を成長戦略の軸に据えて、経済産業省をはじめ、総務省、国土交通省など各省がクールジャパン推進のために、施策を打ち出しています。クールジャパン政策の狙いは、アニメやドラマ、音楽に代表される日本のコンテンツから、ファッション、日本食、住まいの“衣食住”まで、「日本の魅力」 を軸として海外に進出し、日本企業の活躍や雇用を生み出すことにあります。
その経緯で13 年11月に誕生したのが 「クールジャパン機構 (株式会社海外需要開拓支援機構:Cool Japan Funds, Inc.) 」でした。クールジャパン機構は、クールジャパンを体現する日本企業が海外での需要創出のため、投資資金を供給する官民ファンドとして創設されたのです。
これまで資金不足、拠点不足、戦略不足によって、民間ではなかなか成し遂げることができなかった海外進出を出資面で支援し、現地で利益を生むためのプラットフォーム構築や、流通網の設備などを展開していくことを狙いとしています。
13年度当初予算では 500億円が確保され、設立時点で官民合わせて、375億円が出資されましたが、2015年3月末時点での出資金は 406億円に上り、その内訳は政府出資が 300億円、民間出資が106億円となっています。出資額は、1件あたり数億から多いところで 、100億円以上に上り、投資案件によって異なるもののクールジャパン機構と民間の出資額は、それぞれ半分程度。機構の存続期間は約20年としており、中長期的な視点で投資回収を行います。
経済産業省商務情報政策局の発表によれば、現在15年4月(27日時点12件の投資案件を決定しており、いずれも日本の法令に基づき設立された企業や、現地合併会社、日本国内の親会社の子会社 (現地法人)などが対象になっています。


アメリカにおけるクールジャパン第2章スタート

アメリカにおけるクールジャパンは、古くは自動車から始まり、家電、アニメ、そして寿司をきっかけとした日本食ブームなどで広がりました。この自然発生的なクールジャパンを第1章とすると、現在 3つの切り口からクールジャパン第 2章が始まろうとしています。


1.クールジャパン政策による広がり
2.文化交流面での広がり
3.民間企業からの広がり

「クールジャパン政策による広がり」には、クールジャパン機構や、日本のコンテンツの海外展開を支援する補助金制度J-LOP+があります。またクールジャパン機構は、アメリカでの需要開拓のために、2014年3月にジェトロ(Japan External Trade Organization)と業務連携しています。日本企業の海外ビジネス支援に必要なノウハウとネットワークを持つジェトロ・ロサンゼルスは、現地でのテストマーケティング、商談会、展示会や市場動向、貿易・投資の規制、関税などに関する調査・情報面でサポートを行っています。
クールジャパン機構によると、対象国にアメリカが含まれる事業は6件で、このなかには15年4月に投資が決定したGreen Tea World USAがあります。カリフォルニア州アーバイン市に拠点を持つ同社は、長崎県の企業が中心となる企業連合が設立した株式会社の子会社で、ほかの投資案件と異なり、日本の地域産品販売プラットフォーム構築の先駆者として、日本国内の中小企業からも大きな期待を寄せられています。
クールジャパン機構が、投資ファンドとして民間のビジネス支援を行っているのに対し、長年文化交流において、クールジャパンを実践しているのが国際交流基金ロサンゼルス日本文化センターです。音楽、美術、科学技術など幅広い分野で日本文化を紹介する一方で、時代に合った伝え方で「文化交流面での広がり」 に努めています。そして「民間からの広がり」には、毎年ロサンゼルスで開催されているアニメコンベンション「アニメエキスポ」のほか、日本の伝統工芸を独自のアプローチで展開しようとしている企業があります。
次項からは、これら3つの切り口から、“アメリカにおけるクールジャパンの今”をサポートするジェトロ・ロサンゼルスや国際交流基金ロサンゼルス日本文化センターの取り組みと、アニメ、食、伝統技術などの分野から日本文化をアメリカに広めようとしているNPO団体や民間企業の活動や意気込み、そして今後の展望などについて具体的に紹介します。

(2015年8月16日号掲載)

アメリカにおけるクールジャパンの今