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ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

クールジャパン特集(3)
30年以上にわたり、文化交流で独自のクールジャパンを実践

Lighthouse編集部


国際交流基金 ロサンゼルス日本文化センター

新潟・佐渡の尾畑酒造五代目蔵元・尾畑 留美子さんを招いたレクチャー。その後、酒ソムリエ・松本 祐司さんによるセミナーと尾畑酒造「真野鶴大吟醸」の試飲会が行われた(2015年6月)

1972年に外務省所管の特殊法人として設立された国際交流基金(The Japan Foundation/本部:東京都)は、総合的に国際文化交流を実施する専門機関。2003年に独立行政法人となり、現在海外21カ国に22の拠点を持つ。1983年に設立されたロサンゼルス日本文化センターは「文化芸術交流」「日本語教育」「日本研究・知的交流」の3つを主要分野とし、さまざまな活動を行っている。


多分野で ” 共感 “ を生み出し日本の「新しい友人」作りへ

今後、二世ウィークでの「大田楽」パフォーマンスや、狂言方和泉流能楽師の野村万蔵さんによる狂言公演アメリカ初のシネマ歌舞伎上映など、さまざまなイベントを予定している。

国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター (JFLA:The Japan Foundation, Los Angeles)は 1983年から 「文化芸術交流」 「日本語教育」 「日本研究・知的交流」 を3本柱として活動しています。今年に入って, LACMA (The Los Angeles County Museum of Art) で開催された「樂・茶碗の中の宇宙」 展や精進料理教室 「赤坂寺庵」 の僧侶による精進料理レクチャーなどを開催しましたが、 歴史や健康といった誰もが興味を持ちやすい切り口で見せるように努め、その結果、 幅広い層にご来場いただき非常に盛況でした。
そもそも文化は、一方的に発信するだけでは伝わりません。 まずは受け入れる側の“共感”を得ることが一番大なんですね。6月に開催したレクチャーシリーズでは、新潟の佐渡で日本酒を造る五代目蔵元を招いたのですが、講演では蔵元になるまでの経緯や、経営者としての考え方などを語ってもらいました。海外で友達ができる時って、その国の文化に精通してるとか、言語ができるとかではなく、その人を知るうちに何かしら“共感”を覚えたということがきっかけであることが多いのではないでしょうか。日本をより身近に感じてもらうことで海外の 「新しい友人」 を増やしていくのが、我々の理念であり、組織の存在理由だと考えています。
ここ20年で、 アメリカの日本文化に対する捉え方は随分変わってきました。日本食やアニメなどが広く浸透した一方で、日本食でもSushiやRamenと細分化されて認識が深まっています。さらに、日本のこと全般には詳しくなくても、例えばファッションなど、一つの分野に関してある程度の知識を持つ人がすごく増えてきているので、伝え方を工夫する必要があります。 イベントも、今はテーマを絞ったり切り口を考えないとなかなか興味を持ってもらえません。 「新しい友人」作りには、間口を広げることも大事ですが、狭く深く掘り下げることで、新たな“共感”につなげていく。一度きりで終わるのではなく、いかに次の興味に結びつけられるかが重要ですから。


変化を恐れず交流に取り組む“クールジャパン”を目指して

【取材協力】
The Japan Foundation , Los Angeles
所長 原秀樹さん
Web: www.jflalc.org

長年、イベントや日本語教育の場を通じて日本文化を伝えていますが、ある意味、我々がやっていることは全て“クールジャパン”だと思っています。もちろんこれには、政治的・ビジネス的な意味合いはありません。もとより文化を伝える側が、純粋にそれをクールだと思っていなければ続けられないし、相手にも“共感”してもらえないはず。ただし文化は常に変化するものですから、クールと慢心して止まってしまえばそこで終わり。アメリカに渡った寿司から、市場のニーズに合ったカリフォルニアロールが生まれ、今や日本でも受け入れられていることを考えてみてください。アメリカで形を変えていく文化もあるかもしれないし、それはそれでクール。従来の概念にとらわれず、変化を受け入れられるような柔軟性もあって初めて、真のクールジャパンと言えるのかもしれません。伝統や歴史を大切にしつつ、決して新しい変化を恐れず、日本が海外で国際交流に取り組んでいく姿勢を“クール”だと思ってもらえれば良いなと思います。



(2015年8月16日号掲載)

アメリカにおけるクールジャパンの今