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ライトハウスの特集

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LAは食のパラダイス(2)

Lighthouse編集部

世界中からの要人をゲストに迎える公邸では、食事1つにも気が抜けない。メニューはゲストに合わせて、民族的な背景や好み、公邸に立ち寄る時の状況などを考慮し、シェフと総領事夫人の恵子さんを加えた3人でメニューを決めているとか。世界各地で生活した経験を持つ総領事夫妻に話を聞いた。


食を通した外交もあると感じ、
食事1つにも気を配っています

在ロサンゼルス日本国総領事
兒玉和夫さん


こだま・かずお■1953年生まれ。76年、東京大学法学部卒業、
外務省入省。オックスフォード大学卒業。これまで外務省本省
では、経済協力局、大臣官房海外広報課、同国際報道課、欧亜
局などで勤務。在外公館は、アブダビ、ロンドン、香港、ワシ
ントンDC、デリーで勤務。在米日本大使館公使、在インド日本
大使館公使を経て、06年6月、在ロサンゼルス総領事として着任


LAは世界で最も恵まれた地

 1977年のオックスフォードを皮切りに、アブダビ、ロンドン、香港、ワシントン、ニューデリーと世界各国に赴任しましたが、在外邦人にとってロサンゼルスほど恵まれた土地はないと思います。日本の食材が豊富にあり、しかも現地で美味しい日本食品がたくさん製造されています。これらを比較的安く入手できる海外都市としては、世界でナンバーワンだと思います。

 88年、2度目にロンドンに赴任した時は、日本食レストランもずいぶん増えていましたが、それでも和食は特別な時にいただく食事で、普段はできるだけ現地の食材を利用していました。ニューデリーでの生活は、インドという国の奥深さを知るにつけ、実に楽しく充実したものとなりましたが、他方で、日本の食材の入手には大変苦労しました。
 これまで、それぞれの任地の美味しい郷土料理を楽しみましたが、元気なエネルギーを与えてくれるのは、やはり和食からだと思っています。南カリフォルニアには、代表的な日本の食材店が17店、主要な卸売り業者も3社あり、流通経路も確立されています。「JRA(南加レストラン協会)」や、食品会社からなる「七味会」など、日本の文化である日本食を広めようという団体の活動も活発です。そういう環境にあるロサンゼルスで生活できるのは、大変幸運だと思います。


お袋の味は
世界共通のもの

公邸のスタッフの皆さんと一緒に。右から小池さん、本橋シェフ、
兒玉総領事夫妻、アンジーさん

 公邸ではゲストをお招きしてもてなす機会が多くあります。そういう時は、私と家内(恵子夫人)と本橋大志シェフが相談してメニューを決めます。ロサンゼルスは美味しいレストランが多いので、公邸ではいかに喜んでいただけるかを第一に、メニューを決める際には公邸でしか出せないものを基準に考えています。
 ゲストの体調やお好みなども考慮しています。例えば日本人の方がご旅行の最後にロサンゼルスにお立ち寄りになる時は、日本食をお出しします。日本の大使や政治家が中南米を訪問する際は、ロサンゼルスが通過点となるので、帰り道に立ち寄られる時には、中南米のお食事が続いているかなと思えば、時にはおにぎりだけをお届けすることもあります。食を通じた外交はあると感じていますので、お食事1つにも気を配っています。

 ロサンゼルスのビヤライゴーサ市長をお迎えした時は、市長のご両親の故郷、メキシコのスパイスをと思い、ハラペーニョをご用意しました。すると席に着いてすぐ「ハラペーニョがある!」と喜んでくださり、多めにスープに入れられてお召し上がりになりました。
 日本人でも、海外旅行には必ずしょう油を持っていく人もいますし、故郷の味というのは、お袋の味というか、やはり皆懐かしいのですね。以前に在日ブルネイ大使ご夫妻と食事をする機会があったのですが、ブルネイのスパイスの塊を、出された料理に振りかけていらっしゃいました。それも日本人にとってのしょう油と同じ感覚なのだと思います。


日本食を
さらに広めたい

 公邸でのおもてなしは、本橋シェフが1人で腕を振るってくれています。彼は私と一緒にロサンゼルスに来ましたが、当地でシェフとして活躍されている方々のご協力を得て、日系スーパーから米系の自然食品店、果てはサンタバーバラやナパのワイナリー巡りまでして、熱心に自分でクオリティーと値段を調査してくれました。彼の専門はフランス料理ですが、日本の公邸に対する期待感もありますので、渡米前には割烹や寿司屋で修業を積んでもらいました。フランス料理の力量を活かしながら、日本料理をメニューに取り入れて工夫を凝らしてくれています。
 総領事館では、日本食の振興に尽力してくださっている各団体と協力して、日本食をさらに広めていきたいと考えています。10月29日には、ホテルニューオータニでJRA主催「日本食の祭典」、10月27日から11月5日は、南カリフォルニアの日本食レストラン約500店舗が参加する「すし&和食祭り」が開催されますので、皆さん奮ってご参加ください。