ライトハウス
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ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

超人気レストランの舞台裏(1)

Lighthouse編集部

レストラン格付誌『ザガット』2007年ロサンゼルス版では、単独で「Top Food」に選ばれる快挙を成し遂げた「MATSUHISA」。オーナーシェフのNobuさんこと、松久信幸さん。世界に15店舗を展開し、1500人余りのスタッフを抱えるNobuさんの料理哲学は、現場でそれを実践する料理人たちに脈々と受け継がれている。


「MATSUHISA」「NOBU」オーナー
松久信幸さん
Mr. Nobuyuki Matsuhisa


まつひさ・のぶゆき■1949年、埼玉県生まれ。高校卒業後、
東京の寿司屋・松栄で7年間修業をした後、24歳でペルーに
渡り、パートナーで寿司屋を経営する。その後、ブエノスア
イレス、アラスカを経て、87年にロサンゼルス「MATSUHISA」
を開店。94年にはニューヨークに「NOBU」を開け、以来、ロ
ンドン、ミラノ、ギリシャなど9店舗を展開し、2005年には、
さらにダラス、バハマなど4カ所にオープンした。15店舗のほ
か、「セレニティー」というクルーズ船でも料理を出す
                Photo by Andrew Chester

同じ材料と素材を使っても
料理を活かすのは心なのです。

世界の食材を活かす
日本料理の応用編


 世界中を飛び回るNobuさんの料理哲学は、職人としての見方から始まっている。
 「日本料理の正しい姿を海外に伝えたい、というのが僕の出発点です。でも、国によって文化や生活習慣が変わるわけですから、自分の体験から料理も変わっていく。僕は違う国に行くと、まずマーケットに行くんですよ。そこで、今まで見たことのない素材に出会うと、『食べてみたい』『使ってみたい』という料理意欲がすごく湧いてくるのです。そして当然、その国にはその素材を使った料理がたくさんあるわけですから、それを食べて自分の頭の中でイメージができ上がっていくのです」。
 そんなNobuさんの好奇心に満ちた料理哲学を店で形にするのが、MATSUHISAのシェフたちだ。


創造力と経験が生む
おまかせの新メニュー


 日夜多くの人々が美味しい料理を夢見て通うMATSUHISA。基本メニューにおまかせ、即興で作るメニューを合わせると100種類以上。人々を魅了する新メニューは、どのように生まれるのだろうか?
 「世界中を旅するNobuさんが、新しい素材を見つけ、お店に持ってくると、シェフ皆でアイデアを出し合い、新しいレシピが生まれるのです。また、営業中や仕込み中に、誰かが試しに作ってみたものが、そのままメニューになることもあります」とは、シェフの“ヤスさん”こと本間保彦さん。


「Nobuさんには、心を込めてお客様に接する
ことが1番のスパイスだと、いつも言われてい
ます」(ヤスさん)

 例えば人気メニューのひとつ「白菜ステーキ」の誕生はこんな具合だった。「まかない料理を作っている時に、僕が白菜を5僂阿蕕い領慇擇蠅砲靴討い襪里鮓たNobuさんが、ふと『これを焼いたらどうだ?』と。そのまま焼いてはバラバラになってしまうので、丸めてホイルで縛り、筒状にして切ったらどうか、ということになりました。こうしてフライパンで焼いた白菜ロールに味付けをほどこし、白菜ステーキが誕生したのです」とヤスさん。
 MATSUHISAのシェフは、寿司・和食担当が13人、その他キッチンが6人、デザートが3人。これとこれを合わせたら美味しいのではないか、と普段から考える創造力に、美味しい組み合わせと味を熟知する経験が加わり、全員が新しいメニューを誕生させる可能性を持っている。メニューの創造は、まさに職人だからなせる応用技なのだ。
 客に出した時の反応はどうなのだろうか?「おまかせメニューの中に新メニューをさりげなく混ぜて出してみると、『何これ? 見たことがない』という驚きの反応。でも、次に来店した時に『あの時食べたものを、もう1回』と言われることも多いです。また、お客様から『これとこれを合わせて、何か作ってほしい』とご提案いただいて、即興で作ることもあります。材料があれば何でも作りますね。『自分のディッシュができた』と、お客様も喜んでくれるのです」とヤスさんは語る。


厨房ではディナーに向けた仕込み中。ヒラメ
をさばくのは、サブさんこと星野三郎さん

人々を魅了し続ける
心と感謝のスパイス

 来年で20周年を迎えるMATSUHISAで、ヤスさんは12年間腕を振るってきた。
 「初めてMATSUHISAの噂を聞いた時は、ニューヨークでシェフをしていました。NYタイムズに掲載されたMATSUHISAの記事は、今でも持っていますね。Nobuさんは、いろいろな素材を使わせてくれるので、シェフ冥利に尽きます。白トリュフなんて、普通のお店ではなかなか料理できませんから。その分プレッシャーもありますが、楽しさの方がずっと多い」とヤスさん。
 「お客様が『美味しかった。ありがとう』と言ってくだされば、僕らは『来てくれてありがとう』という気持ち。Nobuさんには、心を込めてお客様に接することが1番のスパイスだと、いつも言われています。同じ材料と素材を使っても、料理を活かすのは『心』なのだ、と」。
 Nobuさんの料理哲学は、そんなシェフたちとチームワーク抜群のスタッフ、笑顔で溢れる店内に浸透している。「お正月には、Nobuさんが僕ら従業員を自宅に招くのですが、その時、皆で料理を持ち寄るんです。次々とインターホンが鳴っては、いろいろな人が新年の挨拶に訪れ、ワインセラーから美味しいワインを持ってくるんですよ」とヤスさん。この世界一贅沢なポットラック・パーティーは、Nobuさんの料理や食材における哲学と、それに関わる人々への心遣いが生むものなのだろう。


松久/ MATSUHISA
LAが世界に誇る日本料理の名店。メインカウンター、おまかせカウンター、ホールを合わせて80席、パティオには30席。来年初夏には、同じラシエネガ・ブルバード沿いで引越し、2倍の大きさとなる予定。
129 N. La Cienega Blvd., Beverly Hills
☎310-659-9639
www.nobumatsuhisa.com
Lunch Mon-Fri 11:45am-2:15pm
Dinner      5:45pm-10:15pm
Open 7 Days

Nobuさん直伝
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