ライトハウス
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ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

超人気レストランの舞台裏(3)

Lighthouse編集部

チャイナタウンの中でもひときわ賑わいを見せるエンプレス・パビリオンは、創業15年目。昼の飲茶とオーセンティックなディナーで今の地位を確立し、週末ともなると店の前には順番待ちの行列ができる。オーナーのチェンさんとシェフたちとの厚い信頼から生まれる味と雰囲気は、人々を魅了してやまない。


どこにいても大切なのは
高いクオリティーを常に保つこと。

「Empress Pavilion」 オーナー
デービス・リー・チェン(陳兆鴻)さん
Mr. Davis Lee Chen


デービス・リー・チェン■1928年、広東省生まれ。
48年にオレゴン州へ移住。米軍、郵便局勤務経験を
経て、63年にロサンゼルスのチャイナタウンに中華
料理店「ゴールデン・ドラゴン」をオープン、89年
に「エンプレス・パビリオン」を開店した。北海道
の米軍基地に滞在していたこともあり、日本にも詳
しい

レストランへの愛情と
人徳が人を呼ぶ

 毎朝、誰よりも早く出勤し、レストランの鍵を開けるのがオーナーのチェン氏。ほぼ休みなしに毎日、レストランに足を運び、開店前からランチタイムが終わるまでスタッフの様子を見守り、常連客と挨拶を交わす。まさに「エンプレス・パビリオンの顔」であるカリスマオーナーのチェンさんには、インタビュー中も声をかける人が後を絶たない。
 1928年、広東省に生まれ、48年にオレゴン州へ移住。米軍、郵便局勤務経験もあるチェンさんは「北海道の米軍基地に滞在していたこともありますから、日本のことはよく知っていますよ」とのこと。軍で厨房を仕切っていたこともあってレストラン運営に興味を持ち始め、63年にチャイナタウンに中華料理店「ゴールデン・ドラゴン」をオープン、89年にエンプレス・パビリオンをオープンした。
 アメリカに中華料理が普及したのはいつ頃なのだろうか?
 「第2次世界大戦後に人種のミックスが始まり、多くの人々が国を越えて旅行をするようになりました。その頃、中国のシェフがアメリカへ渡り、アメリカのシェフが中国へ料理を習いに行くようになったのです」とチェンさん。プレゼンテーション力の高さで圧倒的な人気を誇る飲茶は、「昔、中国の宮廷で、宮廷人が『昼食と夕食の間に何か軽いものが食べたい』と伝えたところ、シェフが創り上げたのが点心です。おやつ感覚で始まったのですよ。だから必ず、お茶と一緒にいただくのです」とチェンさん。


さまざまな種類の飲茶を乗せたカートがテー
ブルの間を動き回る様は、見ているだけでも
楽しい

良質な食材と腕利きのシェフ
信頼と忠誠に溢れるキッチン

 同店のランチタイムは、中国人とその他の客が半数ずつの割合だとか。お目当ての飲茶の種類は常時50種以上。週末のランチタイムには2千人もの来客があり、チケットを手にレストラン前で順番待ちをする人々で賑わう。その人気の秘密をチェンさんに聞いてみた。
 「安い食材は使わず、クオリティーの高い食材のみを使うこと。食材はカリフォルニア中から、良質なものを集めています。大切なのは、そのクオリティーを常に保つことです。『昨日は美味しかったけれど、今日は美味しくなかった』ということでは、お客様は戻ってきません」。
 1番好きな点心を聞いてみると、「全部好きで答えられませんが、強いて言うならHar Gow(エビの蒸餃子)でしょうか」。その他、Sticky Rice in Lotus Leaf(ハスの葉に包まれたチマキ)などは、香港からジャーナリストがやって来てレビューを書いたこともある。飲茶の本場のお墨付きなのだ。
 「香港で見つけ、アメリカに連れてきたシェフとは30年の付き合いで、彼がキッチンを仕切ってくれています。香港では飲茶シェフになるために厳しいテストをパスしなければならない(注1)ため、腕利きのシェフが揃います。他の料理店から引き抜きの声がかかるシェフも多いのですが、うちは皆、忠誠心があり、どこへも行かないのです」と語るチェン氏から、シェフたちへの愛情が伺える。
 美味しい料理を作り続けるためには、試行錯誤もある。「飲茶は20人、通常の料理は14人のシェフで作っています。それぞれの意見があるので、時にはキッチンで怒鳴り合いがあることも。そんな時は『落ち着こう』と声をかけるんです。忍耐が大切ですね」と笑うチェンさん。
 食の宝庫・ロサンゼルスのチャイナタウンで人気・実力ともにナンバーワンをキープし続ける秘訣を聞いてみると、「LAでも中国でも、どこにいようと同じことです。美味しい料理と優れたサービス、楽しい雰囲気を保つことができれば、どこでもうまくいくでしょう」とストレートに語る。

(注1)中国には、調理師(厨師)とは別に、点心専門の調理師(点心師)の国家資格がある。


Sticky Rice in Lotus Leafは
飲茶の本場・香港からも取材に訪れた名品

若さ溢れる健康の秘訣は
散歩と旅行と家族の絆

 チェンさんは今年で78歳。私生活では、2人の娘と1人の息子、そして計7人の孫を持つおじいちゃんだ。エネルギーに満ち溢れた健康と若さの秘密は、毎日45分の散歩。「徒歩圏内に住む2人の娘の家には歩いて訪ね、週5回は家族みんなで食卓を囲むんですよ」。また、旅行も好きで、団体旅行となれば、今でもツアーコンダクターのように仕切っているのだとか。
 食生活にも秘密があるのだろうか? 「普段は中華料理を食べることが多いです。日本食なら天ぷらを食べますよ。洋食では…プライムリブかな」とのこと。他州への出店の予定を聞くと、「もうリタイアする年だから」と笑う姿は、店とその客、スタッフを大切にする喜びで満ち溢れている。


エンプレス・パビリオン
Empress Pavilion(漢宮大酒楼)

地元客、観光客の舌を楽しませてきたチャイナタウンの代表店。香港スタイルの広東料理に、北京料理と四川料理を組み合わせた京川料理など、メニュー数は飲茶で150種類、ディナーで120種類にも及ぶ。
Bamboo Plaza
988 N. Hill St., Los Angeles
☎213-617-9898
www.empresspavilion.com
Dim Sum Mon-Fri 10:00am-2:30pm
     Sat 9:00am-2:00pm
     Sun 8:30am-2:00pm
Dinner  Mon-Fri 5:30pm-9:00pm
     Sat&Sun 5:00pm-10:00pm
Open 7 Days


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