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ライトハウスの特集

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PERMの実情

Lighthouse編集部

永住権申請を早める画期的システムとして始動したPERMと、申請開始後すぐに限度枠の上限に達してしまうH-1Bの現状について解説する。


 永住権(グリーンカード)の取得プロセスを早めると待ち望まれていた、PERM(The Program Electric Review Management)。
 移民法では毎年度(年度は10月から翌年の9月まで)、永住権の発給数を、すべてのビザカテゴリーごとに定めている。さらに雇用を通じて永住権を申請する場合、雇用主、国などにより、EB-1(第1優先枠)、EB-2(第2優先枠)、EB-3(第3優先枠)といった5つのカテゴリーに区分され、14万件の永住権がそれぞれに割り当てられ、第1優先枠の申請者の手続きが優先となる。

 特定のビザカテゴリー、もしくは国籍につい て、発給数の制限を越えてしまう場合、ウェイティングリストを作り、申請がファイルされた日により優先順位をつけて手続きが進められる。この日付が優先日(Priority Date)と呼ばれるもの。この日付は、雇用を通じた申請の場合、労働認可が労働局でファイルされる日と同じ日となる。

 自分のPriority Date より古いPriority Dateを持つ人が、未処理で残っているうちは、順番が回ってこない。現在有効になっているPriority Dateは、米国国務省が毎月発表する公報「Visa Bulletin」でわかる。2007年2月付のVisa Bulletin によると、現在、有効になっているEB-3の優先日は02年8月1日。また、EB-1、EB-2は、現在の優先日が有効になっており、古い優先日のケースで未処理のものはない。EB-3のPriority Dateは、前月に発表された日と同じ日であることも多く、更新しても動きは非常に遅い。逆に古い日付に戻る場合もあり、そのため、Priority Dateが何カ月先にどのようになるか予測をつけることは、ほぼ不可能に近い状態だ。

 EB-1はEmployment-Based First Preference の略で、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ分野等で類稀な能力を有する者、大学または研究施設のある企業の研究者、管理職または会社幹部としてアメリカへ赴任する人となっている。永住権申請の際に、労働局からの労働許可(Labor Certification)を得る必要がないので、早い段階で永住権を取得できる。

 EB-2はEmployment-Based Second Preference の略で、該当するのはアメリカの修士号や博士号を持つ専門家。EB─2かどうかを決定する学位の条件については、その申請者がどんな学位を持っているかということではなく、雇用される企業のジョブポジションにおける必要条件による。さらに、最低学士号を必要とする仕事でも、責任を伴った5年の経験があれば、修士号のレベルとみなされ、EB-2に該当すると認められる場合もある。

 EB-3はEmployment-Based Third Preference の略で、Skilled Worker と呼ばれるカテゴリー。これに当てはまるのは専門職、もしくは技術を有する労働者で、学士号を持っているか2年以上の就労の経験がある者。PERMの対象となるのは、このEB-3(Skilled Worker)に当たる申請者の場合で、実際にはH-1B所有者のほとんどがこの枠に該当する。


PERMによる
申請手続き

 雇用を通じてグリーンカードを申請する場合、個々のケースの状況によって多少異なるが、基本的に]働許可申請、雇用ベース移民ビザ申請、1塀燦⊃柔舛裡鈎奮で行われる。そのため、まず労働局から労働認可(Labor Certificate)を取得する必要があるが、この手続きを早めるシステムとして、05年3月に導入された。

 労働許可申請の主な目的は、該当職種が米国内で人材不足していることを証明することで、スポンサー企業は求人募集活動を行った結果、米国市民や永住権保持者である求職者のなかには適格な人材がいないことを証明しなくてはならない。このプロセスは、労働許可申請(Labor Certification Application)と呼ばれる。

 PERMは、雇用開発局(EDD: Employment Development Department)と労働局(Department of Labor)での労働許可申請を、オンライン処理により、期間を一気に短縮するために導入された。郵送による申請も受け付けるが、ほぼインターネットで申請が行われる。また、PERMでは、求人広告は申請前に要求され、一般の新聞2紙の日曜版に2回出す、雇用開発局に30日間の求人広告を出してもらうなど、期間が以前に比べ、短くて済むようになった。ただし、職名・職務内容が、労働局が定義する Professional Positionに該当する場合、前述した新聞の日曜版の他、3つの追加求人募集活動が必要となる。

 労働認可(Labor Certificate)を取得すると、ステップ2として雇用ベース移民ビザ申請となる。ここでは、労働許可申請が認可されたこと、スポンサー企業が労働局に提出した最低給与額を支払う能力があること、そして、外国人労働者に適合する優先分野を立証すること、さらに、外国人労働者がその分野の申請条件を満たしていることを証明する。

 雇用ベース移民ビザ申請が認可され、永住権申請における優先順位(Priority Date)が有効になったら、そこで初めて最終段落の永住権申請を行うことができる。このプロセスの目的は、外国人の健康状態・犯罪歴・経済力を含む、総合的なバックグラウンドの審査を行うことだ。国内で行う申請はステータス変更申請(Adjustment of Status)と呼び、米国内で非移民ビザから、永住権へステータスを変更する手続きとなる。国外で行う申請は、米国大使館手続き(Consular Processing)と呼ばれ、米国外で永住権を取得する手続きとなる。どちらも、目的は永住権を取得することだが、申請方法や期間・適用される法律が異なってくる。


「PERM施行で、2、3週間で労働
認可が出るようになりました」
(瀧弁護士)

最短数日で手続き完了
バックログ問題は深刻

 PERM実施からもうすぐ2年。実際のところ、きちんと機能しているのだろうか?
 「早くはなりましたね。でもシステムがダメで、コンピューターが勝手に却下したりすることもあって大変です」と話すのは瀧恵之弁護士。ケビン・レビン弁護士も、「05年は申請をしてもなかなか返答が来なかったり、拒否をされたりと正しく動いていなかったのですが、改善されてきました」と話す。導入当初はシステムがうまく稼動していなかったものの、総じて、PERM導入の効果は、徐々に出てきているようだ。

 早くなったと言われているが、具体的にどのくらいの期間なのだろう?
 「大体、2、3週間で労働認可が取れる人は取れるし、なかには1日で認可が下りた人もいましたね。医療系は特に強いです」(瀧弁護士)。従来1年半以上かかっていたことを考えると、大きな進展と言えそうだ。

 求人広告のコピーなどの資料は、永住権をサポートする会社が5年間保管しておくことになっているが、40〜60日の手続きの期間中に、オンラインのフォームでは不十分な点、不明確な点を確認するために、労働局から監査(Audit)が入ることもある。「監査が入った場合は当然長くなりますが、90%の人は監査は入っていないようです」とスティーブン・ユア弁護士は話す。

 PERMでは、何度でも申請し直せることもメリットの1つ。従来は、1度申請して労働許可が下りなかった場合、申請者だけでなく、サポートした会社自体、半年間は再申請できなかった。PERMでは、1度認可が下りなくても、またすぐに申請し直すことが可能だ。

 ところがここで、従来のシステムにはなかった、新たな問題が出てきた。「チェック方式(マークシート式)なので、後からの変更がまず不可能ですね」(瀧弁護士)。単純なミスや入力ミスでも変更できず、せっかく申請を始めても、それだけですぐに却下されてしまう。

 また、せっかく早い手続きで労働認可が出ても、優先順位(Priority Date)が有効にならないという、バックログの問題も深刻化している。「PERMのケースで鍵になるのはPriority Dateです。このPriority Dateが有効にならない限り、どんなに早くPERMで労働省からの認可が下りても、グリーンカードは取得できません」(レビン弁護士)。特に、第3優先枠(EB-3)のカテゴリーの場合、現在受け付けられているのは、4年以上前の日付。つまり、どれだけPERMによってプロセスのスピードアップが図られても、速く大量に処理される分、移民局での作業が追いつかなくなってしまっているのだ。

 H-1Bビザ保持者の場合、雇用ベース移民ビザ申請が下りているが、バックログが原因で最終段階の永住権申請が進まない場合、雇用主はH-1Bの期間を3年ごとに延長することができる。また、労働省による労働認可、もしくは雇用ベース移民ビザ申請から365日以上経っていれば、まだ許可が下りていない場合でも、1年ごとにH-1Bを延長することができる。


「EB-3の場合、鍵になるのは
Priority Dateです」(レビン弁護士)

申請済みの人は
切り替えには熟慮を

 申請済みのケースはどうなるのだろう。既にRIR(Reduction in Recruitment)で申請して何年も待っている人の場合、書類はすべて、フィラデルフィアとダラスのセンターに運ばれ、別扱いで処理されている。こちらは従来通り手作業で、ここでの作業にどれくらいの時間が費やされているのかは不明。既に2年以上待たされている人もいるわけだから、業を煮やしてPERMで再申請したくなる気持ちもわかる。

 しかし、「PERMに切り替えた方が早いかというのは、依頼人によりますが、やはりリスクは高いと思います」と話すのは瀧弁護士。「Priority Dateの前の順番を放棄するか、そのまま引き継ぐかのどちらかになりますが、放棄すれば、順番は遅くなります。かといって引き継いでしまうと、切り替える意味があまりありません。PERMの方が却下率は高いですし、却下されるとPriority Dateは無効になります」(瀧弁護士)。あせって切り替えて、また延々と待つのは、決して得策とは言えない。弁護士と相談して、慎重に進めた方が良さそうだ。


◉永住権カテゴリー

EB-1(第1優先枠) 科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ分野等で類稀な能力を有する者。大学、または研究施設を持つ企業の研究者。管理職または会社幹部としてアメリカ赴任する人

EB-2(第2優先枠) 米国修士号や博士号を持つ専門家。学士号プラス5年の経験で認められる場合も

EB-3(第3優先枠) 専門職、もしくは技術を有する労働者で、学士号保持者、または2年以上の就労経験者

(2007年2月1日号掲載)