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不動産

Lighthouse編集部

最近、落ち着いたと言われる南カリフォルニアの不動産市場。3人の専門家に現在の状況、そして不動産投資を行う際に気をつける点などについて聞いた。


南カリフォルニア
不動産の現況

「最終的に自分を守るのは、正しい知
識と客観性のある情報」(出相さん)

 南カリフォルニアは、日本人だけでなく、アメリカ人にとっても常に憧れの地をイメージさせる。その夢の土地のイメージ通り、実際に南カリフォルニア地域に移住する人口は、他州と比べて毎年継続的に増加しており、その人気は不動産価格にも反映され、全米でも最も高いエリアのひとつとなっている。

 しかし、ここ数年の不動産急騰は異常なほどであったと語るのは、長年ロサンゼルス・サウスベイエリアを専門に不動産売買の経験を持つRE/MAXのジェイ出相さん。
 「今、少しピークが過ぎて多少下がり始めていますが、これはマーケットが正常な状態になっているということで、決して悪くなっているとは思いません」。

 今は「調整期」で、この3年間の異常な売り手市場が終わったまでのこと。そして、この「調整期」がどのくらい続くかは不明であるが、不動産価格はしばらく横ばい状態が続くと予想されている。
 「実際の数字でご説明しましょう」と、出相さんが提示したのは、MLS(不動産エージェントを通して行われる売り物件のデータベース)のサウスベイのデータ(2月15日現在)。
●現在売りに出されている物件‥2136軒
●現在、エスクロー中‥829軒
●30日以内に売れた物件‥372軒
●過去30日間にキャンセル・期限切れになった物件‥549軒

 「この数字は、実は、例年比としても、決して悪くない数字なんですよ」(出相さん)。
 市場心理としては、不動産バブル崩壊の噂など、急落するかと思われていた市場だったが、「下がると言われていた割には、意外と下がっていない」「まだ金利が6%前後」「これから金利が上がる可能性がある」などの要因を受け、年末から様子をうかがっていた買い手が「なんだ、価格の大きな落ち込みはないじゃないか。だったら行動に移そう」と、動き出している状態が、この数字に表れていると出相さんは話す。

 最後の「キャンセル・期限切れの物件」というのは、つまり売れずに終わった物件の数字であるが、これは、これまでの売り手市場と言われていたマーケットの余韻で、「もう少し高く売れるのではないか?」と、ピークを過ぎた現実を受け入れられない売り手と、「まだもう少し安くなるのではないか?」と願う買い手との心理ギャップによるものである。


自分を守るのは
正しい知識と客観的情報

「アメリカの不動産というのは、世界で
1番安定したマーケット」(茶谷さん)

 高騰した不動産市場の中で、今も動き続けている不動産マーケットについて、この十年余り、エージェントの育成をしながら、南カリフォルニア全域にビジネスを拡大してきたパーソン不動産の茶谷孝社長は、明確に答える。
 「アメリカの不動産というのは世界で1番安定したマーケットだからです」。

 では、この不動産を投資という観点から見た時、どんなことに気をつけなければならないのだろうか?
 自らも投資物件をいくつも所有する出相さんだが、投資については、「いかなる投資も万人のものではない」という見解を持っている。つまり、自分のファイナンスの管理、ベーシックなお金の基礎知識を身につける努力をしないで、投資の世界に入るのは危険だという意見である。

 「具体的に言えば、投資ブローカーの中には、クライアントにリスクを100%理解させないまま、大金を『投資』させる業者もいるようですが、紹介する投資物件の長所と短所をしっかり理解してもらうのが大事です。リスクのない投資はあり得ないという現実を認め、購入を決断する時に、最終的に自分を守るのは正しい知識と客観性のある情報だということを自覚することです」(出相さん)。

 例えば、これから出回ると噂される「お得」なフォークロージャー(差し押さえ物件)。
 「確かにたまに安い物件が出てくることもありますが、非常に人気があるエリアでは、競売にかけられると値段が引き上げられ、バーゲンでなくなってしまう場合が多いようです」(出相さん)。
 「フォークロージャー=掘り出し物」とは、必ずしも言えないという。また、フォークロージャーには、通常の物件購入とは異なったルールもあり、そういった違いも理解しておく必要があるようだ。


「最近の日本食ブームで、レストラン
物件を探す韓国人の相談が増えました」
(リーさん)

賃貸物件への有効な投資は
かなりの頭金が必要

 「不動産を購入する目的は、個人によって違います。それを『Utility Value』と呼んでいますが、自分が住むための家で子供の学校区を優先するのか、海に近い所がいいのか、リタイア後の家なのか、もしくは投資物件として、家の価値が上がる可能性の高い物件がいいのか、クリアにしておくことが大切です」と語るのは、前出の茶谷さん。

 不動産市場の動きを見る場合、他の地域の値動きや経済動向にも目を配ることが欠かせない。
 「ここ数年の間に起こった不動産高騰の動きは、まずサンディエゴから始まりました。開発の進むサンディエゴが上がり始めたら、今度はロサンゼルスのビーチシティーへ、そこから全域へと動いていったんですよ」(茶谷さん)。

 また、物件の種類によっても、動きは違ってくる。住宅市場では、カリフォルニアで賃貸物件でなかなかキャッシュフローが生めない原因のひとつは、ここ数年の住宅物件の値上がりに比例して、家賃が上がっていないということ。家賃を勝手に上げることができないレントコントロールのある地域ではもちろんのこと、全体的に見ても、まだまだ住宅価格の値上がりに家賃が追い付いていない。

 「私たちは、今後レントは上がっていくと見ていますが、それでも自分の持ち家以外に賃貸物件を投資として購入する場合、かなりの頭金を入れないとキャッシュフローが出てきません。南カリフォルニアだと最低40%は必要になりますね」(茶谷さん)。

購入した方が割安となる
ビジネス物件への投資

 こうした住宅物件の状況の中で、新しく不動産投資の対象として浮上しているのが、ビジネス物件である。
 前述のように、投資の利率があまり良くない賃貸物件に対して、頭金10%からローンを組むことのできるビジネス物件に注目する投資家も増えてきた。
 「ただし、こちらは資産形成というより、本気でビジネスをする人向きですね」と話すのは、同じくパーソン不動産で、ビジネス物件のスペシャリストのデビッド・リーさん。

 日本語・英語・韓国語を話すリーさんの元には、最近の日本食ブームに乗って、レストラン物件を探す韓国人オーナーたちからの相談がよく来るようになった。レストランなどの飲食業の他にも、業種で言えば、コインランドリー、ネイルサロンなど、スモールビジネスとして小さく始められるものが多いが、この場合でもリースではなく、購入を検討しているケースがある。

 「リースの場合と、購入してローンを組んで返済していく場合を計算して比べた時、結局、コストがそれほど変わらない、もしくは購入した方が安いということも多いのです。もし、そのビジネスを辞めた場合でも、購入した場合は、その物件は資産として残るわけですから、今度は人に貸せるというのは大きいです」(リーさん)。

 さらに、オフィスリースの場合では、貸す側にもう1つ良い面がある。
 「ビジネスリースの場合だと、本来、住宅の賃貸の場合に、家主が負担しなければならない保険、プロパティータックス、メンテナンスなどのコストを借り手に払ってもらえます」(リーさん)。

 茶谷さんはさらに、「日本の景気が良くなってきたのも、最近、ひしひしと感じますね」と話す。日本で成功している会社がアメリカへ進出してくる。そのオフィス需要がここ2年くらいで急増しているのだ。こういった経済の動きも、これからの不動産投資に大きな意味を持ってくる。



購入しやすくなった
州外の不動産物件

 また、最近では州外の不動産に投資する人も目立ってきた。これは、カリフォルニアの不動産が上がり過ぎて、州外に目を向けざるを得なくなったということもあるかもしれない。しかし、不動産投資をする人自体が増え、州外の不動産エージェントのネットワークが確立され、州外の物件情報などが入手しやすく、また仕組みとしても購入しやすくなったこともある。実際に自身でも州外物件を持った経験のあるリーさんによると、「州外の不動産投資で、どうしても物件を自分の目で見たいという方もいらっしゃいますが、そういう方には向いていないかもしれませんね」とのこと。確かに、カリフォルニア以外だと、今でも少ない頭金で購入できる物件はたくさんあるが、その場合は、しっかりとしたエージェントとの信頼関係は欠かせない。

 こうしてみると、今までのように、単に自分の持ち家を買い、その価格が上がっていくのを期待したり、また賃貸物件として家賃収入を見込んでという受け身の不動産投資から、州外への投資という、より投資目的が明確になったものに移行している。

 投資家自体も経験を積むと同時に、以前にはなかったインターネットや投資家同士の情報交換、専門家からのアドバイスなどが受けやすい環境を持ち始めた。不動産投資においても、その多様化はこれからも進行していくと見られているようだ。


■取材協力
ジェイ出相
RE/MAX Palos Verdes Realty
450 Silver Spur Rd.
Rancho Palos Verdes
☎310・703・1884

茶谷 孝
パーソン不動産
21641 S. Western Ave. Suite C, Torrance
☎310・381・9918

デビッド・リー
パーソン不動産
688 Baker St. Suite 4, Costa Mesa
☎1・800・494・2447
Ext・7131

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(2007年3月1日号掲載)