ライトハウス
Magazine Information

ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

ボランティアに支えられた、充実のアクティビティー

Lighthouse編集部


 部屋の設備は、ライフラインの他にも安全性が考慮されており、浴室には病院のような安全バーがついている。またホテルの部屋にあるようなセキュリティーボックスもある。質の高さをうかがわせるアクティビティーセンターには、料理教室が開かれる広いキッチンやコンピュータールームもあり、食堂と同様にステージもあるためコンサートなどの催しも多く開催される。その他にも陶芸用の窯、日本庭園、フルーツや野菜畑、野外運動場など、高齢者が楽しく安全に暮らせる数々の配慮がされている。

 料金には含まれないが、美容院や床屋、足の爪のケアなども専門家のボランティアにより格安でサービスを受けることができる。例えばヘアカットは8ドル、シャンプー・カットのセットで18ドル、パーマが35ドル。また施設にはコインランドリーが設置されており、ドライクリーニングも格安で利用できる。

 これらのサービスを可能にしているのが、多くのボランティアたちだ。大石さんも「引退者ホームのスタッフは39人ですから、ボランティアなくしてこれだけのサービスは提供できません」と断言する。毎年3月と10月には、ボランティアによる2泊3日のラスベガス旅行も催行される。料金は70ドルから80ドルで、ボランティアが同行する。また各種アクティビティーも多くのボランティアによって支えられている。

 敬老引退者ホームは、施設もさることながら、このボランティアによって実施されるアクティビティーの充実度が、質の高いシニアライフを可能にしている。

 例えば3月の特別行事は15件。3日のひな祭り音楽会、9日のバルボア公園桜花見、18日の一節太郎浪花節、19日のJRA寿司ランチ、29日のウォルマート買い物、同じく29日のUCLAピアノコンサートなど、単純計算しても2日に1回はイベントが控えていることになる。日本から歌手など芸能関係者がコンサートなどで訪米すると同施設を慰問することも多く、その昔、ピンクレディーがラスベガス公演の帰途に立ち寄り、コンサートしたのを皮切りに、数多くの芸能人の慰問が後を絶たない。また天皇皇后両陛下をはじめ、皇族の訪問という栄誉にも浴している。

 特別行事に加え、さらに目白押しなのが月例行事だ。編み物、コンピューター、体操、陶芸、ピアノ、歌、ヨガ、ストレッチ体操、民踊、ゲートボール、初歩マージャン、詩吟、ペン習字、ダンス、クッキング、墨絵、茶道、活け花、キーボード、日本舞踊、書道、気功、ちぎり絵、民謡・三味線などの各クラスに、ドミノゲーム、映画・ビデオ鑑賞、マッサージ、ビンゴ、朗読、上級マージャン、テーブルゲーム、詩の朗読などのレクリエーション、さらに聖書の話やクリスチャンサービス、西本願寺や牧師の訪問などの宗教サービスまで揃い予定表は毎日びっしり。日本語クラスや英語クラスがあるのも興味深い。


親や兄弟以上の付き合い、日本文化が息づいている

市長候補のアントニオ・ビヤライゴーサ議員(当時)
を囲んで。左から大石施設長、藤枝ウェードさ
ん、タネ・ホンダさん、ビヤライゴーサ議員、クラ
ラ・ニシモトさん、キャッツ・クニツグさん

 現在のところ、入居者の7割が日本語を話し、残りの3割が英語を話す。日系1世に安心できる老後を、というきっかけで立ち上がった同施設だが、時代の移り変わりと共に今では、4割が帰米2世、3割が新1世で、残りの3割が英語組だとのこと。

 元居住者会長の藤枝ウェードさんは、入居の動機をこう語った。
 「私はアメリカの映画会社に勤務していたので、日系社会とは接点がありませんでした。映画会社には専用のリタイアメントホームがあって、アメリカの施設に行くのか日系の施設に行くのかをまず考えました。それで日本人の原点に帰ってと言うか、ふるさとに帰るような感じで日系の施設に行きたいと思いましたが、とにかく日本人との付き合い方を知りません。そこでまず当時あった婦人公論友の会というのに入り、コミュニケーションや文化の違いを勉強して日本人との付き合い方を覚えました」。


「ここには日本文化の
伝統が息づいています」
(ウェードさん)

 日系社会と縁のないまま引退したウェードさんは、入居する前は「おっかなびっくりだった」と告白するが、2000年に入居してはや5年。今では他の入居者とは兄弟や家族以上の付き合いだと言う。

 「全寮制の学校に行っているようなもので、毎日顔を合わせますからうんと親しくなれるんです。ちょっと風邪を引いただけでも『ご飯持っていこうか』となるし、これは一緒に住んでいない限り親や兄弟でもできません。和を尊ぶのが日本人のいいところで、言葉のニュアンスで遠慮しようとか、そういった日本古来の文化がここには息づいています」。

 ウェードさんが現在参加しているアクティビティーは、ピアノ、コンピューター、茶道、ペン習字に陶芸教室など。それ以外に、シャトルサービスを利用してYMCAに泳ぎに行くこともある。

 「ここでは日本文化も教えてもらえるし、ボランティアの先生たちも皆とても尽くしてくれます。部屋は家具付きですし、それこそスーツケース1つで入居できます。施設を上手に使えば十分元は取れるし、払っただけの見返りはあります」(ウェードさん)。

 引退者ホームの居住者は平均年齢83.5歳、最高齢100歳だが、ここでは皆、眼をキラキラさせて生活している。元気にアクティビティーに挑戦し、人生を謳歌する先輩たちを見ていると、自分もいずれはこんな余生を送りたいとうらやましくなる。アメリカに住んでいても、日本人に生まれてよかったと誇らしくなる。

 だがこれだけの充実した内容を継続できるのも、多くのボランティア活動と日系コミュニティーの支援があるからこそ。日系社会が支えていかなければならないという認識は、いつも深く胸に刻んでいたい。

Keiro Retirement Home
325 S. Boyle Ave.
Los Angeles, CA 90033
323-263-9651
www.keiro.org/