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交通違反と事故の対処

Lighthouse編集部


起こってしまったら…
交通違反と事故の対処

加入は義務、自動車保険のしくみ

 次に、ドライバーであれば必ず加入するよう義務付けられている自動車保険に関して、ダイワ保険代理店の代表・安岡さんに聞いた。まずは基本的な保険のしくみについて。

 「ライアビリティーと呼ばれる対人対物補償には最低限入ってください。これは過失事故を起こした場合、相手の人身や車輌、物損をカバーするものです。カリフォルニア州では、最低対人1人につき1万5000ドル、事故1回につき3万ドル、対物5000ドルが義務付けられていますが、最近は高級車に乗る人も増えているので、実際これでは不十分です」。ちょっと当たっただけでも修理費は5000ドル。ましてや、接近物を感知するセンサー部分に当てようものなら、修理費はもっとかかるだろう。同代理店では、対人1人につき10万ドル、事故1回につき30万ドル、対物は50万ドルと、10倍近くの補償額をすすめている。

 また、不動産や会社など資産を所有している人の場合、さらに「アンブレラ保険」に入っておくと良いと安岡さんは言う。万が一、相手から訴訟を起こされ補償額を超えた場合に適用されるものだ。対人、対物の補償額の総額は30万ドルが限度だから、それ以上になった場合には資産のリスクを守るために、このアンブレラ保険がカバーしてくれる。掛け金は年額〜ドル程度なので、入っておくと安心だろう。

 次に、相手側に過失があり、その相手が保険に加入していない場合、自分側の損害をカバーするものとして、無保険者保険にも入っておきたい。自分自身と同乗者の医療費や慰謝料、そして自分の車の損傷をカバーするもの。「エリアにもよりますが、保険加入義務があるにもかかわらず、実際には多くの無保険者がいますので、加入をおすすめします」と安岡さん。幸い、過去10年間で無保険者は30%から15%へと半減したが、それでも10人に1、2人は無保険者がいる。同代理店のクライアントの7割以上は、無保険者保険に加入しているそうだ。


事故率や人口、エリアで変わる保険料

 また、搭乗者保険はどちらの過失かに関わらず、自分自身と同乗者が事故でけがをした場合、医療費がカバーされるもの。車輌保険は、やはり過失の有無にかかわらず、自分の車のダメージをカバーするもの。盗難や火災、いたずら、物が落ちてきたなどの災難にも対応し、損害額から免責額を引いた金額が支払われる。免責額は通常ドル。損害額が免責額以内の場合は、自己負担になる。「車がリースやローンの場合は、必ず入ることをおすすめします。自分で入らないと、リース会社やローン会社が強制的に割高料金で入れてしまいます」(安岡さん)。

 その他、事故で車の修理をしている間に借りる必要のあるレンタカーの費用をカバーするレンタカー保険や、けん引費用、緊急ロードサービスなどを付け加えることもできる。

 「保険は1年または6カ月ごとに必ず更新されます。保険会社は事故率など独自に統計を取り、さまざまなデータをもとに保険料を決めます。ZIPコードが1つ違うだけでも保険料が違ってきますし、保険会社によっても設定金額が違います。保険会社は何百社とありますので、いろいろ比べて決めるとよいでしょう」と安岡さん。一般的に事故が少ない地域、市街地から遠い地域ほど保険料は安くなる。また、個々人の車の走行距離や使用頻度によっても保険料は変わってくる。これらの情報は自己申請なので、例えば通勤先が変わったなどの場合は早めに申し出て保険料を変えてもらった方が良いだろう。

交通違反をした時、保険はどうなる?

 事故や違反をすれば、次の保険料に影響を及ぼすことは必至だが、具体的にどのような仕組みとなっているのだろう。これにはグッドドライバーの条件の中にいるかどうかが大きな分かれ目となる。

 「グッドドライバーは、運転歴が3年以上、違反は1ポイントまで、または人身のない事故1回までとされ、保険料が20%割引になります。違反を1ポイント取られた場合、保険料の値上げは何十ドル程度ですが、2ポイント以上になると、この割引がなくなってしまうため、数百ドル以上、値上がりしてしまいます」と安岡さん。保険料が上がるのは事故や違反の直後ではなく、その保険の有効期限が終わった更新後。保険会社によっては、グッドドライバーしか受け付けないところもあるが、違反・事故歴があっても受け付ける保険会社も多数ある。保険料金も極端に高くないところもあるようだ。

 違反は通常、スピード違反と信号無視が1ポイントで、これらはマイナーチケットとも呼ばれる。駐車違反は罰金のみでポイントは取られない。そして、2ポイント以上はメジャーチケットと呼ばれ、飲酒やひき逃げなどが含まれる。保険会社では、これらのDMV(Department of Motor Vehicle)のポイントをベースに独自にポイントを数えている。

 マイナーチケットの場合、DMVで科されたポイントは3年間で消える。また、8時間の講習やインターネット上のトラフィックスクールで合格すれば、ポイントはゼロに戻される。この受講によるポイントの帳消しは18カ月に1度しか使えないので注意。短期間のうちに何度も違反をしてグッドドライバーの境目を越えないようにしたい。しかし、いずれにしても保険会社でのポイントの影響は3年間残るとのことだ。また、飲酒運転によるポイントは7年間は消えない。値上がり率は一概には言えないが、特に飲酒の場合、年間支払額がもともと多い人ほど上がる率が高くなる。

 ちなみに、走行中の交通違反(Moving Violation)で警察官に呼び止められた場合は、指示に従ってすみやかに路肩に駐車し、車内で次の指示を待つこと。両手はハンドルを握ったままに。指示に従わないで、車から出たり、バッグやグローブボックスを開けようとすると、銃を持って抵抗してくると思われ、警察が発砲してくる可能性もあるので注意。むやみに反抗的な態度を取ったり言い訳をすると、Reckless Driver(無謀ドライバー)とみなされ、さらに重い罰金を科されることもありうる。


「保険加入義務があるのにもかかわらず、
多くの無保険者がいるので、無保険者保険
への加入をおすすめします」(安岡さん)

事故後の交渉は、専門家に任せる

 ダイワ保険代理店のクライアントの事故で多いのは、後ろからの衝突、左折車と直進車との衝突、駐車場での衝突、車線変更時の衝突の順で多いそうだ。もちろん日頃の安全運転が第一だが、実際に事故に遭った場合、どうすればよいのだろうか。

 「交通の妨げにならないように車を移動させ、まずはに通報します。けが人がいる場合は、すぐに応急手当をしてください。けが人がなく小さい事故の場合は、警察が来ないこともありますが、相手が保険に入っていなかったり、飲酒運転だった場合も警察を呼ぶべきです」(安岡さん)。

 警察が来た場合は、警察の方でポリスレポートを作ってくれる。警察が来ない場合は、お互いに必要な情報の交換をする。具体的には名前、住所、電話番号、免許番号、保険会社名、ポリシーナンバー、車種、プレートナンバー、目撃者の名前と連絡先の電話番号など。

 そして、事故後、自分の保険会社か代理店に連絡する。相手方との交渉は、基本的に双方の保険会社に任せることになる。気をつけたいのは、事故に遭った車は、それ自体が大切な証拠となるので保険会社の承諾を得ずに修理をしてはならないということだ。

 「保険会社は事故現場には行きませんので、自分の車、相手の車、全体の状況がわかるような証拠写真を撮っておくことをおすすめします。普段からグローブボックスに携帯カメラを入れておくとよいでしょう。また、車にはペンと紙を置いておくようにしてください」(安岡さん)。

 さらに、けがや車の損傷で750ドル以上のダメージがあると判断される場合は、10日以内にDMVに報告する義務がある。

 当て逃げされた場合は、相手が見つからなければ自分の車輌保険を使うことになる。しかし、車のプレートナンバーをメモして警察に通報すれば、相手の住所から探し当てることができる。車の盗難はたいてい車のパーツを取るのが目的なので、警察に通報すれば2、3週間で見つかるとのこと。こちらも車輌保険でカバーされることになる。

 最後に他州で違反・事故に遭った場合。他州でチケットを切られても、カリフォルニアのDMVに通知がいくため、保険も影響を受ける。管轄の裁判所から通知が来るので、裁判にしたい場合はそこまで出かけて行く必要がある。また「事故の場合、アメリカ国内とカナダでは保険は通常カバーされますが、メキシコはカバーされませんので、国境を越える前にメキシコ用の保険を購入してください」(安岡さん)とのことだ。


弁護士は相手側、保険会社との交渉も
 事故に遭った場合に関して、さらに詳しいアドバイスを、交通事故のケースを数多く取り扱うアーサー・バーナル弁護士に聞いた。

 「相手と情報交換をする時に、必ず証拠となるもの、自動車保険のカードと運転免許証を実際に見せてもらってください。偽の名前や住所、保険を持っていると嘘をつく人も中にはいますので」(バーナル弁護士)。

 入手した情報はすべて、正確にメモを取ることが大切。何日の何時に、どこの道のどの車線で、どの方向からどれくらいの速度で、といったことや、その時の信号の色、交通量などもメモしておくこと。また、現場に居合わせた目撃者を見つけ、第3者としての証言と名前、連絡先をもらっておくことも大切だ。

 また、お互いの車や身体が大丈夫かどうかを確認することは必要だが、その場では、どちらの過失かということを議論したり、やみくもに相手に謝ったりしてはいけない。相手のその時の身体の状態もメモしておくと良いだろう。また、小さな事故でもできれば警察に来てもらい、ポリスレポートを取ってもらうと、自分が覚えていないことも、警察の方できちんと記録してくれているので、後で裁判になった時などに助かる。

 「英語が話せない相手の場合、助手席の同乗者などに通訳してもらうなど、なんらかの方法を取るように努力してください。もし、それでも話ができない場合は、最低でも車の免許証と保険証の情報だけは入手しておくように」(バーナル弁護士)。逆に、自分自身が英語が苦手だったり、複雑な事故状況をうまく話せないこともある。日本語のわかる交通事故専門の弁護士などに連絡を取り、相手との間に立ってもらうのが得策だろう。交通弁護士は通常、成功報酬で請け負ってくれ、依頼者側は弁護士費用を払わなくてもよい。

 また、「事故に遭った時点では身体がどこも痛まなくても、翌日に首などが痛み出すことが多いですね」とバーナル弁護士。弁護士は保険会社との間にも立ってくれ、治療代の交渉などもしてくれる。弁護士は本人に代わり、身体的・精神的な損害補償を保険会社と交渉してくれる。

 実際に裁判になった場合、当事者同士の他、事故現場にいた目撃者や事故を分析する専門家が呼ばれて、過失がどちらにあったかを検証することになる。なお、裁判は事故が発生してから2年以内であれば、起こすことができる。


「相手と情報交換をする時に、自動車保険
のカードと運転免許証の実物を必ず見せて
もらってください」(バーナル弁護士)

刑法違反になる飲酒運転

 さて、違反の中でも飲酒運転は、日本と異なりアメリカでは交通違反ではなく刑法違反と
なる。

 運転中の様子などから飲酒運転の疑いがあると警察に判断された場合は、その場で呼び止められ、血液テストか息のテストを受けて血中アルコールが0.08%以上検出されれば違反となり、現行犯逮捕される。逮捕後は管轄の拘置所へと運ばれる。たいていは保釈金を払い、その日かその翌日には拘置所を出ることができるが、最高12カ月まで拘置されることもある。

 最初の出廷後、60日以内に裁判が行われ、罪状が確定する。有罪判決が下された場合、罰金や、フリーウェイの清掃などのコミュニティーサービスが科せられる。そして、運転免許証も90日間から1年間、取り上げられてしまう場合もある。例えば、最初の1カ月は完全な免許停止となり、その後の期間は、「リストリクテッド・ライセンス」をDMVから発行してもらい、会社と家との往復など最低限の運転ができるようになる、など。また違反者は、アルコールに関して学ぶクラスを取らなければならないこともあるそうだ。DMVと弁護士との話し合いで決まるので、ケース・バイ・ケースになる。

 裁判は手続きが複雑である上に、専門用語も多いため、弁護士に依頼した方が無難。「弁護士は、飲酒運転に対する罪の軽減を訴え、被告人が最低でも車で勤務することができるよう、免許停止の期間を短くしたり、リストリクテッド・ライセンスが取れるよう、DMVに働きかけます」(バーナル弁護士)とのこと。

 最後にバーナル弁護士は、特に雨の時期や、暗くなる時間が早くなるサマータイム終了直後に事故が増えるので気をつけてほしい、とアドバイスしてくれた。

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 車の故障も交通事故も、ちょっとした不注意が原因であることがほとんど。日頃から、適切なメンテナンス、安全運転に十分に気をつけるとともに、いざという時のための知識と備えを、一人一人がしっかりと持っておきたい。

(2005年4月16日号掲載)