ライトハウス
Magazine Information

ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

自然災害対策マニュアル(1)

Lighthouse編集部

太平海に面し、山に囲まれたカリフォルニアは豊かな自然に恵まれている反面、自然災害の危険にさらされている。断層の上にあるため、地震とはいつも隣り合わせ、乾燥した気候のもとではいつ山火事が発生するかわからない。「天災は忘れた頃にやってくる」とはよく言ったもの。常日頃から対応策を講じて、いざという時に備えたい。今回は災害の種類と対策をまとめてみた。

(2005年9月1日号掲載)


地 震 [ Earthquakes ]

1994年のノースリッジ地震で崩壊した、
ロサンゼルス市のアパート
(c) Robert A. Eplett/OES CA

最も予測のつかない災害
十分に準備し家族で認識を

 太平洋プレートと北米プレートの接触するサンアンドレアス断層が南北に貫くカリフォルニア州は地震が多い。南カリフォルニアでは、94年に起きたノースリッジの地震を始め、過去15年にマグニチュード7クラスの地震が3回も起きている。他の自然災害と違い、地震は予測できない。日頃から避難計画を立て、非常時持ち出し品を備えておくことが大切である。

 地震で死傷する1番の原因となるのが、崩壊した建物や家具などの転倒によるもの。ノースリッジ地震の際も建物の崩壊は数カ所で、被害総額の大半は転倒した家具などによるダメージだった。日頃から各部屋のどこが安全で、どこが危険かを家族で認識しておくこと。本棚や食器棚など倒れる恐れのある家具は留め金などで固定しておく。ベッドやソファーの側や上にかけた額縁や鏡は落ちる可能性があるので置かないようにするか、しっかり固定する。

 実際に地震が起こった場合、まずは安定したテーブルや机の下に入ってかがみ、両腕で顔全体を覆う。近くにテーブルがなければ戸口や家の角に避難し、鏡や額、ガラスのあるところを避ける。キッチンを使用している場合は、速やかに火を消すこと。ガス漏れにより爆発する可能性があるため、ロウソクやマッチを使わず懐中電灯を使用する。

 高い建物の中にいる場合も机などの下に入り、窓際から遠ざかるようにする。指示があるまで建物の中にいること。電気が切れる可能性が高いのでエレベーターには乗らない。モールやデパートなど多くの人が集まる場所にいる場合は、外に出ようとして慌てないこと。大勢の人が同時に同じことを行い混乱が生じる可能性がある。商品の陳列した棚からは離れ、何か覆いになるものを見つけてかがむ。


揺れを感じたらまず
外に飛び出さずかがむ


 いずれにしても、屋内にいる場合は慌てて外に飛び出さない。落下物が当たって被害に遭う方が建物の下敷きになるよりも危険性が高いためだ。屋外にいる場合は建物や電柱、木などから離れ、なるべく広いところで身をかがめていること。運転中の車にいる場合は、電柱や電線のあるところは避け、慎重に車を路肩などにとめる。揺れが収まるまでは車の中でシフトレバーをパーキングにして待機し、ラジオの緊急放送から情報を得る。

 揺れがいったん収まったら、まず自分の身体に怪我がないか確認する。長袖、長ズボンと丈夫な靴、軍手を身に着け、さらなる危険の可能性から身を守る。周りの人に怪我がないか確認し、火災やガス漏れが発生していないか調べる。トイレや洗面所は排水溝にダメージがあるか確認してから使用する。薬品や可燃物、危険物がこぼれた場合は速やかにふき取る。

 電話の使用は緊急事態を知らせる場合以外は避けたい。消防・警察の連絡など救援活動に支障が多く発生するからだ。携帯電話の場合、震災時は通話が殺到したり中継塔が倒壊したりして使用不能になる可能性が高いので、復旧の早い公衆電話か電源につなげる必要のない電話を使用すると良いだろう。市内通話は使用不可となってしまうので、州外に親戚など家族で共通の連絡先を作っておけば、家族がばらばらになった際の安否の確認が取れる。

 家屋の破損がひどい場合や防災関係機関から指示があった場合は避難所へ行くこととなるが、その際に家のどこかに避難場所を知らせるメモを貼っておく。保険などの重要書類や避難持ち出し品、薬などを持参する。ペットは衛生上の理由から避難所に連れて行くことができないので、十分な水と食糧を残し、家の安全な場所に置いておき、家に帰れるまでペットの様子を見に戻る。

 大きな地震の後は何度か余震が発生する。余震の規模は本震を下回るのが通常だが、さらなるダメージが発生しないとも限らない。ラジオやテレビなどで状況を把握していきたい。


●カリフォルニア州で起こった主要な地震

94年1月17日 Northridge(M6.7)
死者57名、負傷者11,000名、被害総額400億ドル
92年6月28日 Landers(M7.3)/Big Bear(M6.7)
死者1名、被害総額9300万ドル
92年4月25日 Humboldt County(M6.9)
被害総額6000万ドル
91年6月28日 Sierra Madre(M5.8)
死者1名、負傷者30名以上、被害総額3350万ドル
90年2月28日 Upland(M5.5)
負傷者38名、被害総額1040万ドル
89年10月17日 Loma Prieta(M7.1)
死者63名、負傷者3757名、被害総額59億ドル
87年10月1日 Whittier-Narrows(M5.9)/余震(M5.3)
死者8名、負傷者200名、被害総額3億5800万ドル
86年7月8日 Palm Springs(M5.9)
被害総額530万ドル
84年4月24日 Morgan Hills(M6.2)
負傷者27人、被害総額1000万ドル
83年5月2日 Coalinga(M6.4)
負傷者47人、被害総額3100万ドル
52年7月21日 Kern County(M7.7)
死者12名、負傷者18名、被害総額5000万ドル
06年4月18日 San Francisco(M8.3)
死者700〜800名、被害総額4億ドル


津 波 [ Tsunami ]

ロスアラミトスにある州危機管理サービス局。
ここでさまざまな災害の現場から迅速に情報を
集め、対策の指揮を執る

沿岸地震が起こった後は
LA沖にも発生の可能性

 2004年12月26日に起きたスマトラ島沖地震は、マグニチュード 9.3を記録した。平均で高さ10メートルに達する津波が数回、インド洋沿岸に押し寄せ、22万人以上の死者を出した。

 カリフォルニア州では去る5月14日に北部のユーリカ沖でマグニチュード7・2の地震が起こり、アラスカ津波センターより津波警報が出された。幸い死傷者はなく、被害も報告されなかったが、カリフォルニア州が津波の恐れのある地域であり、日頃から備えておく必要があることが改めて認識された。

 実際に、カリフォルニア州の海岸部では1812年より80回もの津波に見舞われている。うち14回は3フィート以上の高波が上がり、その中の6回が災害をもたらした。最も大きかったのは1964年のアラスカ地震による津波。北カリフォルニアのクレセント市を中心に、12人の死者と3400万ドルの被害を出した。

 津波は沖合では時速450マイルから600マイルものスピードを出すが、波長が100マイル以上と非常に長いため海上では感じられず、航行する船舶に被害はない。しかし、陸に近づき水深が浅くなるにつれて津波は急激に高さを増し、最低でも海抜100フィート、2マイル以上内陸にまで遡上する。実際には10〜20フィートの高さでも、人命にかかわる大きな被害を及ぼす。津波の主な原因は地震であるが、海底の地滑りや火山の噴火なども津波をもたらす。

 津波は地震が20秒以上続いた場合に発生する可能性が高く、最初の波よりも後から来る波の方が大きいことが多い。波は5分から90分の間隔で、連続して起こる。最も被害の大きいエリアは海抜25フィート以下、海岸線より1マイル以内の地帯とされている。

 津波の恐れのある地域では特に、日頃の備えが大切。自宅や学校、オフィスからの避難ルートを確認し、海抜100フィート以上のエリア、もしくは海岸から2マイル以上内陸のエリアを避難場所として選び、車ではなく徒歩で15分以内に到着できることが理想とされている。

 津波警報が出た場合、警察や消防隊の指定するルートで速やかに避難すること。地震が収まってから数分のうちに津波が押し寄せる恐れがある。津波が見える範囲は危険。津波を見ようなどと試みるのはもっての外である。

 情報は海洋大気局(NOAA)のラジオ放送などから入手し、沿岸警備隊、地元の警察や消防の指示に従って、安全宣言が出されるまで帰宅は慎む。水が引いてから建物に入るようにし、足元には十分気をつける。地盤が柔らかくなり、建物の沈下や壁や床の崩壊などが起こりうるからだ。また、汚染が心配されるため、衛生局などから指示があるまで水道水を飲んではならない。


野 火 [ Wild Fires ]

1993年11月に発生したトパンガキャニオンでの山火事
(c) Robert A. Eplett/OES CA

家の周囲に安全地帯を作り
類焼を極力避ける

 03年10月、南カリフォルニアで前代未聞の大規模な山火事が発生した。サンディエゴ、ベンチュラ、ロサンゼルス、サンバナディーノで次々と火災が発生、総勢1万4000人の消防士が10日以上にわたり消火に当たったが、75万エーカー、3701家屋、1人の消防士を含む24人の命を奪った。

 郊外や山間部に住む場合、野火の危険と常に隣り合わせである。カリフォルニアでは気温が高く乾燥した時期を「ファイヤーシーズン」と呼び(今年は5月30日より)、消防体制を強化している。野火は、いったん燃え上がると急速に広がる。各家庭で日頃から延焼を予防し、家財や生命を守るための対策を講じておきたい。

 火はまず出さないよう気をつける。子供たちにもよく教育し、マッチなどは手の届かないところに置く。家まで消防車が入って来られるだけの道が常に確保されているか確認する。車と徒歩で避難できるルートを何カ所か作っておく。近隣とも話し合い、協力して消火活動ができる体制を整えておくと心強い。

 家の周りに植える植物や屋根や塀の素材には難燃性のものを選び、家屋を延焼に強い状態にしておくことも大切。難燃性のあるULマークのペイントで外壁を塗り、こまめに木々を剪定するだけでも効果は違う。また、家屋の周囲30〜100フィートをセーフティーゾーンとして確保し、落ち葉や燃えやすい物を取り除いておく。庭のホースは敷地の端まで届く十分な長さに。火災報知器を各部屋に設置し、電池は毎月点検、年に2回は取り替える。消火器を備え、家族全員が使用法を把握しておく。

 万一、野火が付近に迫ってきたら電池式のラジオで被災状況や避難情報を入手する。車はガレージの中か避難方向に向けて広いところに駐車し、ガレージのドアと車の窓は閉め、キーを差しておく。電動ガレージは電源を切っておく。


1988年に起こった「フォーティーナイナー」
と名づけられた山火事の現場
(c) Robert A. Eplett/OES CA

 消防署や警察署などから避難勧告が出たら、速やかに退去すること。熱に強い綿や毛の長袖・長ズボンを身につけ、顔を覆う軍手やハンカチを持参する。

 また、避難まで多少時間があれば、窓やドアを閉め、厚手のカーテンは取ってしまう。ガスの元栓を閉め、パイロットランプも消す。壁際にある家具を部屋の真ん中に寄せ、パラソルやビーチチェアなど燃えやすい家具は室内にしまう。移動式のスプリンクラーがあれば、屋根の上に置き、家中をぬらしておくことも得策だ。しかし、身の安全を第一に考え、速やかに避難することを優先させよう。

(2005年9月1日号掲載)