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ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

自然災害対策マニュアル(2)

Lighthouse編集部


洪 水 [ Floods ]

1997年に北カリフォルニアで起こった洪水。
モービルハウスも水浸しに
(c) Robert A. Eplett/OES CA

浸水・感電のほか
飲み水や食料の汚染にも注意

 雨期のカリフォルニアは時として、洪水や鉄砲水(Flash Flood)となって壊滅的な被害を与えることがある。都市化の進んだロサンゼルス一帯は特に雨が地面に染み込む量が少なく、下水などのインフラが大雨に対応していないため、降雨量が限度を越えると洪水を起こす可能性が高い。自分の住む地域の洪水履歴や危険な場所、避難ルートや避難場所を、市などに問い合わせて知っておくこと。

 雨が何日も続いている、何時間もどしゃぶりが続いている時はラジオやテレビで最新情報を入手し注意していたい。注意報(Watch)から実際の洪水が起こるまでには数時間から数日の余裕があるが、警報(Warning)が発令されたらあまり時間に余裕はない。注意報が発令されたら避難用具を集め、車のガソリンを補充しておき、いつでも避難できる態勢にしておく。家の外にあるベンチなどを1カ所に集めて固定。食料やペットは安全なところに集めておく。

 鉄砲水の場合は数時間から数分のうちに襲ってくることもあるため、注意報が出されたらただちに避難できる状態で待機しておくこと。そして、警報が出たら標高の高い土地に避難する。その場合、河川や用水路、排水溝などを避けるルートを選択しよう。

 避難時にはガスや水道の栓を閉め、電気のブレーカーを落としておく。時間に余裕があれば、電化製品のコンセントはすべて抜く。必要最小限の物だけを持って出る。指示された避難ルートをたどり、水のあふれた小川の側や道路は車であっても通らないこと。車には電気制御部分が多いため、SUVであっても浸水すると動かなくなる可能性が高い。車が動かなくなったら徒歩による避難に切り替えた方が無難だ。

 水が引いて自宅に戻ったら、ガスや電気が漏れている可能性もあるため、安全が確認されるまでは使用を避ける。ろうそくではなく懐中電灯を使う。水に浸かった電化製品は、感電の恐れがあるので完全に乾くまで使わないこと。汚染の危険があるため、水の浸かった食料は食べない。冷蔵庫は、扉を開けなければ電気がなくても4時間は温度を保てるが、それ以上になったら氷を入れるなどして冷気を保つ。水道水の使用は安全性が確認されるまで、市の衛生局からの指示を待とう。


地滑り [ Mudslides ]

豪雨の後は特に警戒
専門家まじえ予防措置を

 地滑りや土石流は豪雨や地震、火山の噴火などが起因して起こる。野火による焼け野原では、さほどの降雨量がなくても地滑りを起こすこともある。地滑りは傾斜の急な山の中腹などで発生し、時速10〜35マイルとスピードを上げて規模を増しながら、ふもとへ下りてくる。地滑りによる被害は、全米で年間に20億ドルの損害、25〜30人の犠牲者を出している。

 南カリフォルニアでは、山の斜面や海沿いに建った住宅が頻繁に崖崩れの被害に遭っている。市の土木課や州の地質調査などに問い合わせ、自分の住んでいる地域が危険かどうか確認しておきたい。過去に被害のあった地域、傾斜が急な土地、野火などで斜面の土がむき出しになったところは危険性が高い。また、日頃から家の周囲の斜面の状態を観察し、落石や地面の亀裂、木や標識の傾きなど、危険信号に注意したい。必要であれば、地質や建造物専門のエンジニアにアセスメントを依頼して、予防措置を取ることも得策だろう。

 地滑りの危険性の高い地域に住んでいる場合、豪雨の際には常に注意。テレビやラジオの最新情報に耳を傾けると同時に、木や電柱が倒れていないか、普段耳にしない地鳴りが聞こえてこないか、家の周囲の様子に気を配る。地滑りや崖崩れは局地的に起こることが多いため、危険を察知したら自らの判断で避難したい。

 避難する際は、土砂の流れる方向から外れた安全な方向にルートを取ること。落石に注意し、斜面や崖際の道路は極力使用しない。河川や排水溝の水量に注意を払う。水量が突然増減したり、水が泥で濁り始めたりしたら、上流で地滑りが起きたことを示す。鉄砲水や土石流が起こる可能性があるので、ただちにその場から逃れるようにする。

 地滑りが収まり、雨が止んでも、さらなる洪水や地滑りが発生する可能性があるため、許可が出るまで避難先にとどまっていること。また、負傷者がいないか、行方不明者がいないか確認する。家に戻ったら、建物の基礎部分や周囲の土地の被害をチェックする。浸食された土地にはただちに植栽を施し、鉄砲水の発生を防ぐ。地質の専門家に相談し、植栽や補強工事など、地滑りが起きた場合のダメージを少しでも低くするための対策を講じる。


準備・対策 [ Preparedness ]

「Make a Plan、Build a Kit、
Be Trainedの3つを実践してください」
(サマニエゴさん)

事前のプランと防災用具
訓練で1人1人がまず準備

 災害時に現場に出向いて援助活動を行うアメリカ赤十字。様々な災害に対する備えと対策について、グレーターロサンゼルスをカバーするロサンゼルスチャプター・広報担当のニコラス・サマニエゴさんに聞いた。

 「カリフォルニアでは、災害の備えをしている人は全体の30%と言われています。各自が事前に準備しておけば、パニックに陥ることもありません。災害に際して個人レベルで準備すべきことは、Make a Plan、Build a Kit、Be Trainedの3つです」。最初のMake a Planは、家や学校・オフィスで日頃から災害プランを立てておくこと。Build a Kitは避難用持ち出し品の用意。「そしてBe Trainedは、家やオフィスでの避難訓練のほか、応急手当や人命救助(CPR)のトレーニングを受けることを示しています。多くの人が被害を受け、道路などが不通になった場合、救急車がいつ来るかわかりません。一刻も早く家族の命を救うために、人命救助の方法を覚えておくことをおすすめします」(サマニエゴさん)。赤十字では応急手当や人命救助の4つのコースを設けている。


備えておきたい防災用具の例

 アメリカ赤十字は非営利団体の組織であり、運営はすべて寄付で成り立っている。ロサンゼルスチャプターには100人以上の職員のほか、7千人ものボランティアが所属している。火事などの人的災害を含め、災害時には消防隊と連動して、訓練された赤十字のスタッフが現場に乗り出し、医薬品や毛布などの物資の提供や救急活動、通信などを担当している。

 「家から避難しなければならない場合、避難所を設置するか宿泊場所を手配します。ケースワーカーが出向き、当面必要なものを買う費用を見積もり、Client Assistance Card瓩鯣行します」。このカードはどの店でも使用できる商品券のようなものだ。

 最後に、「赤十字では日本語を話すバイリンガルのボランティアを募集しています」とサマニエゴさんは付け加えた。

(2005年9月1日号掲載)