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行政の危機管理 & 在留届の提出

Lighthouse編集部


「災害があっても時が経つと忘れてしまう。
定期的に見直すことが大切」(レニックさん)

地域単位から州全体まで
行政の危機管理

 行政では災害時の体制をどのように整えているかを知るために、州危機管理センター・南カリフォルニア地区担当のグレッグ・レニックさんを訪ねた。危機管理センターは、州全体を3つの地区に分け、内陸地区はサクラメントを拠点に、北カリフォルニア地区はオークランドを、そして南カリフォルニア11郡はロスアラミトスが拠点となっている。

 「カリフォルニア州危機管理局(OES)は、サクラメントに緊急時の情報処理や指揮を執る危機管理センターを設置し、緊急時の対応計画の作成から実際に発生する災害やテロなどのあらゆる危機への対応を行っています」。

 標準危機管理システムとして、災害の規模と必要性に応じて、地域単位のField、市や郡などのLocal、郡をまたがるOperational Area、南カリフォルニア全体のRegional、そして州におよぶStateと5段階で対応。1つの市のリソース(警察や消防、医療機関など)で対応しきれない場合は他の市に援助を要請し、それでも間に合わなければ郡や他の郡からも援助を頼む。州で対応できない場合は連邦政府の危機管理局(FEMA)がかかわり、他州からの援助を要請することとなる。

 ロスアラミトスのセンターには有事になると12人のスタッフが出動し、情報収集や応急対応を指示するが、いつでも連絡が取れるよう常に電話・ページャー・ラップトップコンピューター・サテライトシステムと複数の連絡手段で待機している。センターのコンピューターが停電で使えなくなる可能性もあるため、壁面のボードにも災害時の状況を色のついたカードで随時貼り変えていく。緊急時の情報共有だけでなく、人的支援や資金援助を含めて州と各地域との連携が迅速で緊密に取られているが、私たちはまず各自で対策を講じると共に、各コミュニティーでの対応を知っておくべき。

 「住んでいる市のウェブサイトや電話帳で、所轄の消防署や避難所などの場所を確認しておいてください。また家庭だけでなく、オフィスでの対策も大切。有事に従業員や顧客をいかに守るか、重要書類の控えはあるか、災害後に速やかに営業が再開できるプランがあるかなど、日頃から対策を立てておいてください」とレニックさん。

 「何か起こると準備しますが、時が経つにつれその意識は薄れてしまいます。キャンペーンを打ち出し、リマインドすることも私たちの役目です」。危機管理局では昨年より5月を災害月間とし、シュワルツェネッガー知事のマリア・シュライバー夫人が顔となり、キャンペーンを行っている。同局のウェブサイト(www.oes.ca.gov)で「10 Ways You Can Be Disaster Prepared brochure」がダウンロードできる。


「各自で迅速に正確な情報の収集に
努めてください」(出木場さん)

在留邦人の安否確認に有効な
在留届の提出を

 最後に、在留邦人に対する日本政府の対応について、在ロサンゼルス日本国総領事館の出木場勝領事に聞いた。

 「当総領事館が管轄する南カリフォルニアとアリゾナ州のエリアには、6万人以上の在留邦人がいます。万一の事故や事件・災害が発生した際には、提出された在留届をもとに皆さんの所在地や緊急連絡先を確認して援護活動を行います。病院などではプライバシーを侵害するとして、家族以外の人には誰が運ばれたか教えてくれません。在留邦人の居所を速やかに調べるために、ぜひ在留届の提出にご協力ください」(出木場さん)。

 また、04年6月より同総領事館では、「緊急メール配信サービス」を開始した。災害や事故・テロなどに関する必要情報が随時Eメールにて配信されるもので、総領事館のウェブサイト(www.la.us.emb-japan.go.jp)で登録して受信できる。「もちろんテレビやラジオ、州危機管理局のウェブサイトなどで各自迅速で正確な情報収集に努めてください」と出木場さん。さらに同総領事館では04年11月より、日系17団体を集め、日系コミュニティーとしての緊急時の対応について、緊急時の安否確認を含む情報交換のシステム構築を目的に、定期的に話し合いを行っている。


 いずれにしても、まずは自分でできるところから災害に備えたいもの。「備えあれば憂いなし」とはよく言ったもので、物質的な準備をはかることで、いざという時の心の準備もできる。万全な準備と対策は、全体の被害をより小さく抑えることにもつながる。日本では9月1日は防災の日、関東大震災の起きた日。これを機会に、家庭やオフィスで災害対策を考えてみてはいかがだろうか。


【取材協力】
American Red Cross
Los Angeles Chapter
☎213-739-5200
www.redcrossla.org

Governor's Office of Emergency Services
www.oes.ca.gov

在ロサンゼルス日本国総領事館
☎213-617-6700
www.la.us.emb-japan.go.jp

(2005年9月1日号掲載)