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カイロプラクティック・オフィスガイド
(2005年10月16日号掲載)

Lighthouse編集部

身体に痛みを感じたら、気軽に門戸を叩けるカイロプラクティック。日本人には比較的なじみのある治療法と言える。薬で痛みを消すのではなく、歪んだ骨を調整することによって、さまざまな症状を回復させることができる。

(2005年10月16日号掲載)

今回は、日本語の通じるカイロプラクティック・オフィスを紹介しよう。


カイロプラクティックとは?

「骨のストラクチャーだけでなく、偏食、ストレス、
電磁波、環境問題などは、すべて免疫力を弱めます」
(ジョー先生)

骨のズレを治して
自然治癒力を高める


 カイロプラクティックと聞くと、鍼灸と同じような感覚で東洋医学だと誤解しがちだが、実は110年前にアメリカで生まれた治療方法だ。

 D・D・パーマーは、手のエネルギーを利用した治療を研究していたが、ある時、耳が聞こえなかった用務員の背骨を矯正したところ、用務員は聴力を取り戻した。これがきっかけとなって考案されたのが、カイロプラクティックだ。「カイロ」とはギリシャ語で「手」、「プラクティック」とは「技術」という意味で、「カイロプラクティック」とは、手を使って椎骨のズレを正常に戻すことにより、本来持っている自然治癒力を高めて健康体を取り戻す治療法で、アメリカでは国家試験と州試験によるドクター免許が必要だ。

 椎骨とは背骨のことだが、脳から出た神経や血液は、背骨に沿って全身に流れ、筋肉や内臓にエネルギーを送っている。だが骨がずれて神経を圧迫すると、エネルギーが全身に伝わらなくなる。

 「ちょうど電線が1軒1軒の家に電気を伝えているようなもので、変電所で事故があると停電になります。それと同様に、骨がずれて神経を圧迫すると、身体の隅々にエネルギーが伝わらなくなるのです」と説明してくれたのは、イースト・ウエスト・カイロプラクティック・アキュセラピークリニックのロバート・ジョー先生。パーマーの考案以来、数々の研究がなされた結果、ジョー先生は6つの観点から診断するとのこと。

 「1つ目がストラクチャーのチェックで、脊椎の歪み具合を調べます。2つ目は栄養分の状態を調べるために血液検査。栄養が悪いとミネラル不足となって身体が衰えやすくなるのです。3つ目は精神的な問題。ストレスが多いと副腎が衰えやすくなります。副腎は身体の中で痛み止めを作ったり、ミネラルバランスを整えたりする働きがあるため、ここが衰えると筋肉がつりやすくなったり、痛みを感じやすくなったりします。4つ目が電磁波チェックで、いつもコンピューターに触っていたり、携帯電話を身近につけたりしていると、電磁波が身体に入り副腎に影響します。5つ目が、身体の中にある毒素、最後に鍼のツボでどの内臓が弱っているかをチェックします」(ジョー先生)。


「弱い部分を強化しない限り、再発する
可能性がありますし、予防にはなりません」
(吉見先生)

姿勢や運動の癖が
骨の歪みの原因


 現代社会では、腰痛や肩こりで悩む人が多いが、なぜ骨は歪んでしまうのだろうか。

 「骨と骨の間には水が入った風船のようなクッションがあります。これを椎間板といいますが、椎間板は20代後半から乾燥し始めます。40代後半になると骨と骨との幅が狭まり、椎間板に圧力がかかります。圧力がかかり過ぎると風船がつぶれたようになり、骨の間にある穴を通っている神経を圧迫するため痛みを感じるのです」とジョー先生。

 ぎっくり腰も、重い物を突然持ち上げてなるのではなく、普段の運動不足や姿勢の悪さが一因とのこと。足を上げる筋肉である大腰筋は、1日中座っていると短くなったままの状態で硬直してしまう。すると弾力が失われ、立った瞬間につったり、硬直して腰骨を前に引っ張り、筋肉の力で関節がずれる。身体を支えている仙骨がずれると、ぎっくり腰になってしまうのだ。

 「重い物を持ち上げる時は、自分でわかっているのでそれなりに対応した持ち上げ方をしますが、意外とコンセントを抜くとか、床のティッシュを拾うなど、何げない動作の時に起こしやすいものです」(ジョー先生)。

 骨は積み木のようなものだが、筋肉や靭帯が引っ張ると積み木はずれてしまう。少々のズレなら普通は自然に治るが、ズレがひどくなると痛みが出るのだそう。

 「骨が歪んでいても、多少歪んでいるだけでは痛みを感じません。歪みがひどくなって構造的なゆとりがなくなると、最後の1ミリの歪みで神経に触ったり、靭帯を傷めて、初めて痛くなるのです」と語るのは、スポーツ整体カイロプラクティックの正美先生だ。

 「車のブレーキと同じで、ブレーキパッドが磨り減っていても普段はわかりませんが、最後の1ミリが磨り減って金属同士が当たり、変な音がすると、初めて磨耗していたことに気づきます。『昨日まで何ともなかったのですが』というのはそのためで、歪みがひどく構造的に限界がきていると、くしゃみをしただけでぎっくり腰になる人もいます」(吉見先生)。

 骨のアライメントと関節のはまりがしっかりしていれば、ぎっくり腰にはならない。ぎっくり腰や椎間板ヘルニアが「癖になる」というのは、応急処置だけで済ませているから。歪みが限界にきて、最後の1ミリで痛みを感じる場合、この1ミリさえ矯正すれば痛みは取れることもあるが、ストラクチャーを元からきちんと矯正しないと、次にまた1ミリずれたら、同じ結果になってしまう。

 「バキバキと音を立てて調整しても、歪んだ骨が1回で元通りになるわけではありません。1回で動くのは、通常1〜3ミリ。例えば、第5腰椎が後方に25ミリずれて痛くなった人も、23、24ミリまでは痛みを感じないこともあり、2、3ミリ矯正すれば痛みが取れることもありますが、それでは根本的な解決にはなりません。大切なのは、身体をコントロールできるようになるための知識を持つことです。気をつけて自分の身体を見ているとで骨のズレがわかるようになります」と吉見先生。


ストレッチと
正しい姿勢が鍵


 せっかく骨を調節しても、骨がずれる原因になった姿勢や運動の癖、食生活など、普段の生活態度を改善しないと、またずれてしまう。

 「筋肉や栄養など全体的なバランスを整えていかないと、いくら骨を矯正しても筋肉の持つ力は強いので、また筋肉に引っ張られてずれることがあります」とジョー先生も警告する。そのためカイロプラクティック・オフィスでは通常、正しい姿勢や家庭でできるストレッチを教えてくれ、食生活の指導をしてくれるところも多い。

 骨が歪む一因に、姿勢の問題があると両先生は声を揃える。正しい姿勢とは、「立った時に、耳と肩とヒップの大腿骨が一直線に並ぶような姿勢」だとジョー先生。お腹の筋肉に力を入れるだけで、この姿勢に近づくとのことだ。腹筋を締めるだけでも、腰痛予防につながる。また座っている時は、背もたれに背中がつくように深く座り、腰にサポーターを当ててお腹を引き締める。足は90度の角度よりも、少し膝が上がるようにすると足の筋肉に負担をかけない。

 コンピューターに1日向かっているような仕事では、2時間に1回は休んでストレッチをする。コンピューターを使うと手を上げっ放しの状態になり腋の下の筋肉を使うので、腕を頭につけて、別の手で頭の方に押すと効果的。少し歩いたり、足の上げ下げをするだけでも筋肉は伸びる。

 「骨の歪みに年齢は関係ありません」と吉見先生。食生活を改善し、正しい姿勢とストレッチをしていれば、90歳でも良い姿勢を維持している人もいるとか。「骨が歪んでいると、老化も早くなる」(吉見先生)というから、普段から正しい姿勢を心がけたい。


首の骨専門のカイロ

「脳や脳幹に最も近い上部頚椎は、
生理学的にも神経学的にも、
最も重要な場所です」(ギル先生)

上部頚椎がずれると
全身の骨までずれる?


 一般のカイロプラクティックとは一線を画している治療に、上部頚椎専門カイロがある。「上部頚椎」とは首の骨のこと。首の骨の歪みを矯正することによって神経の圧迫を取り除き、自然治癒力・免疫を上げてゆく治療法だ。

 上部頚椎専門カイロ、ギル・カイロプラクティックの和男ギル先生に話を聞いた。

 「首の骨は全部で7つありますが、上から2つが特に重要です。この場所は人間の身体の中で1番重要な脳・脳幹に最も近く、約100億本もの神経が集まっています。首の骨を折るとたいていの場合、死に至るのはそのためで、この神経を傷つけると半身不随になる可能性があります。また首は他の部分と違い上下・左右・前後と自由に動くため不安定で、衝撃に弱いという弱点があります。上部頚椎がずれると、全身の骨が次々とずれていきます。一般に頚椎のズレとまったく関係ないと言われる腰痛も、そのほとんどは上部頚椎のズレに原因があると言われています」とギル先生。

 交通事故などでムチ打ちになった時などは自覚があるが、通常は首の骨がずれても痛みを感じない。ほとんどの人が身体の不調を感じながら、これに気づかずに生活している。しかも首の骨がずれやすい年齢は0歳から10歳くらいまでだという。

 「子供が中耳炎を起こしやすい、病気がち、発達の遅れが気になるといった場合も頚椎の歪みが原因という場合があります」(ギル先生)。

 首の骨のズレを治すと、なぜ頭痛や腰痛など、その他の症状まで和らぐのか? 上部頚椎で神経の圧迫が取れると、それだけで神経伝達が良くなる。そして全身の骨が矯正されることによって、各所で圧迫されていた神経が正常に働くようになり、その結果、内臓や筋肉にエネルギーが行き渡り、機能が回復するというメカニズムだ。

 「カイロのドクターは、骨のズレを正すことにより生命力や回復力を蘇らせるお手伝いをするだけです。さまざまな症状が治っていくのは、ご自分の治癒力のおかげです」(ギル先生)。

 カイロプラクティックは、立派な科学。なぜ効果的なのかという改善のメカニズムは論理的だ。腰痛や肩こりの人だけでなく、長年の持病を抱えているという人も、カイロとは関係ないからと諦めずに、カイロプラクターに相談してみては。