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移民法最新事情2008【PART 2】

Lighthouse編集部


【PART 2】永住権取得のための基礎知識と最新情報
永住権取得のための基礎知識と手続きに関する最新情報を解説

●永住権[ グリーンカード ]
永住権は移民ビザというカテゴリーに属し、取得にあたっては、アメリカ市民や永住権保持者との結婚など、家族をスポンサーにした方法と、雇用を通して雇用主をスポンサーとする方法の2つがある。それぞれ優先順位や年間発給数が定められており、申請方法に応じて取得までにかかる時間が異なる。


◎雇用を通した永住権申請の場合

 雇用主にスポンサーになってもらって永住権を申請する場合は、雇用主、出身国などにより、EB-1(第1優先枠)、EB-2(第2優先枠)、EB-3(第3優先枠)といった5つのカテゴリーに区分されている。年間発給数はそれぞれのカテゴリーにおいて、申請者の家族を含めて16万件となっている。
 EB-1(Employment-Based First Preference)は、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ分野等で類稀な能力を有する者、大学または研究施設のある企業の研究者、管理職または会社幹部としてアメリカへ赴任する人となっている。永住権申請の際に、労働局からの労働許可(Labor Certification)を得る必要がないので、早い段階で永住権を取得できる。
 EB-2(Employment-Based Second Preference)は、該当するのはアメリカの修士号や博士号を持つ専門家。ただし、米国大学の修士号や博士号を持っているからといって、自動的にEB-2にカテゴリー分けされるわけではなく、永住権申請をする職種と直接的な関連がなければ認められない。また、学士号しか保持していない場合でも、申請職種と関連した職務経験が5年以上あれば、修士号のレベルとみなされ、EB-2に該当すると認められる。
 一方、EB-3(Employment-Based Third Preference )は、Skilled Workerと呼ばれるカテゴリーだ。これに当てはまるのは専門職、もしくは技術を有する労働者で、学士号を持っているか2年以上の就労の経験がある者が対象。H-1B所有者のほとんどがこの枠に該当する。
 雇用を通じてグリーンカードを申請する場合は基本的に、(1)労働許可(Labor Certificate)申請、(2)雇用ベース移民ビザ申請、(3)永住権申請の3段階で行われる。第1のステップは労働省(Department of Labor)から労働認可を取得することになるが、この手続きを早めるシステムとして、2005年3月に導入されたのがPERM(The Program Electric Review Management)と呼ばれるものだ。
 PERMは雇用開発局(EDD: Employment Development Department)と労働省(Department of Labor)での労働許可申請(Labor Certification Application)をオンライン処理することにより、一気に時間短縮するために導入された。郵送による申請も受け付けるが、ほぼインターネットで申請が行われる。
 また、PERMでは求人広告は申請前に要求されており、一般の新聞2紙の日曜版に2回出す、雇用開発局に30日間の求人広告を出してもらうなど、期間が以前に比べて短くなった。ただし、職名・職務内容が、労働局が定義するProfessional Positionに該当する場合、前述した新聞の日曜版のほか、3つの追加求人募集活動が必要となる。
 労働許可申請の主な目的は、該当職種が米国内で人材が不足していることを証明することにある。スポンサー企業は求人募集活動を行った結果、米国市民や永住権保持者である求職者の中には適格な人材がいないことを、求人広告出稿によって証明しなくてはならない。
 さて、画期的なシステムとして大きな注目を集めたPERMだが、その効果は出ているようで、過去には約2年6カ月もかかっていた労働許可取得までの期間が、約2カ月と大幅に短縮された。早い人の場合は2、3週間で労働許可が取得できることもあるという。広告出稿から結果が判明するまでにかかる期間が約2カ月なので、労働許可取得までの期間は3〜4カ月ということになる。

“優先日”が有効に
ならないと進まない

 労働許可取得後に行うのが、雇用ベースの移民ビザ申請。ここでは、労働許可申請が認可されたこと、スポンサー企業が労働局に提出した最低給与額を支払う能力があること、外国人労働者に適合する優先分野を立証すること、さらに外国人労働者がその分野の申請条件を満たしていることを証明する。すなわち、永住権のスポンサーをする企業の審査がここで行われることになり、具体的にはI-140(Immigrant Petition for Alien Worker)と呼ばれる書類を提出して申請する。
 雇用ベースの移民ビザ申請と同時に次のステップに進むこともできる。次のステップの目的は、申請者である外国人の健康状態・犯罪歴・経済力を含む、総合的なバックグラウンドの審査を行うことだ。国内で行う申請はステータス変更申請(Adjustment of Status)と呼び、米国内で非移民ビザから、永住権へステータスを変更する手続きとなり、I-485(Application to Register Permanent Residence or to Adjust Status)と呼ばれる書類を提出して行う。なお、国外で行う申請は、米国大使館手続き(Consular Processing)と呼ばれ、米国外で永住権を取得する手続きとなる。どちらも、目的は永住権を取得することだが、申請方法や期間・適用される法律が異なっている。
 以上の手続きが完了した後、通常2、3カ月で、Employment Authorization(就労許可)とAdvanced Parole(再入国許可)が取得できる。労働許可は一般的にWork Permitとも呼ばれるもので、これを取得した後はスポンサー企業において、合法的に働くことができる。また、渡航許可があれば、再入国ができるため、国外への旅行や出張が可能になる。なお、就労許可、再入国許可の有効期限はいずれも1年間。そのため1年以内に永住権が取得できない場合は、延長申請をする必要がある。
 さて、永住権取得までにかかる時間だが、これは前述のカテゴリー、EB-1〜3によって大きく変わってくる。特定のビザカテゴリー、もしくは国籍について、永住権発給数の制限を超えてしまう場合は、ウェイティングリストが作られ、申請日別に優先順位を付けて手続きが進められる決まりになっている。この日付がPriority Date(優先日)と呼ばれるもの。日付は、労働認可が労働局でファイルされる日と同日となる。
 Priority Dateが関係してくるのは、前述のI-485の申請だ。I-485に関しては、Priority Dateが有効にならないと申請することができないルールになっている。なお、I-140に関しては、就労許可取得後、6カ月以内に申請しなければならないので注意。「以前はいつ申請しても良かったのですが、最近の法改正により、6カ月以内に申請しないと就労許可が無効となります」(レビン弁護士)。
 現在有効になっているPriority Dateは、国務省が毎月発表する公報「Visa Bulletin」で公開されている。2007年12月付のVisa Bulletinによると、EB-1とEB-2は、現在の優先日が有効になっているため、労働許可取得後、すぐに次のステップへ進むことができる。一方、EB-3の優先日は02年10月15日(中国、インド、メキシコ、フィリピンの国籍保有者についてはこの限りではない)となっている。つまり、労働許可取得後、約5年もここで足止めを食わされる計算になる。

長期化する
EB-3での申請

 ところが、このPriority Dateはあくまで優先日であり、処理日ではない。移民局に大量の申請が集まっていて処理が追いつかず、5年前に申請された書類を処理しているのかと勘違いしがちだが、これはあくまで永住権発給数の制限を超えてしまったために、処理を保留せざるを得ず、そのために発生する待ち時間なのである。
 そのため、Priority Dateは必ずしも1カ月に1カ月分進むわけではなく、何カ月も日付が変わらないこともあれば、古い日付に戻る場合もある。逆に一気に日付が進むことも。「昨年7月には、EB-3のPriority Dateがすべて有効になったこともありました。ハイテク業界によるロビー活動の影響を受けたものだと思います。しかし、すぐにまた5年前の日付に戻されてしまいました。このように、Priority Dateの動きは予測不能。あまりやきもきせずに、長い目で見守るよりほかないでしょう」と瀧弁護士は話す。
 このように永住権取得までにかかる時間を予測することは極めて難しい状況だが、現在、Priority Dateが有効になっているEB-1とEB-2に関しては、申請から8カ月から1年で取得できると考えていいだろう。一方、申請者が最も多いEB-3に関しては、専門家の間でも見方が大きく異なる。
 「今日申請したとして、3年から6年」と予測するのは瀧弁護士。一方、レビン弁護士は「10年かかる」とかなり悲観的だ。「史上最悪の事態と言っていいでしょう。永住権発給数を32万件に増やすことも検討されているので、発給数が増えた場合は大幅に短縮できるでしょうが、現在の状況が続けば10年かかっても不思議はありません」とのこと。
 審査も厳しくなっている。「特に企業の審査が厳しくなってきていますね」と話すのは瀧弁護士。「会社が赤字の場合は難しいでしょう。移民局が指定する給与を支払うだけの純利益を出していることは最低条件です」。
 また、永住権をサポートする企業は、求人広告のコピーなどの資料を5年間保管しなければならない決まりになっているが、手続き期間中にオンラインフォームで不十分な点、不明な点を確認するため、労働省から監査が入ることもある。瀧弁護士は、昨今、この監査が増えていると指摘する。「オンラインで申請できるため、『求人広告を出さなくても、わかるはずがない』と求人広告なしで申請するケースもあるからです。監査が入ると、労働許可取得にかかる時間が長期化してしまうので、注意してください」。



◎家族がスポンサーになる永住権申請の場合

 家族がスポンサーになって永住権を申請する場合は、直接構成家族(Immediate Relative)か優先家族かによって、取得までの時間が異なる。
直接構成家族とは、
●米国市民の21歳未満の子供
●米国市民の配偶者
●21歳以上の米国市民の親
●米国市民の未亡人
などで、この場合は年間移民割り当て数の対象にはなっておらず、常時申請の処理が行われている。そのため、取得にかかる時間は比較的短く、米国市民の配偶者であれば、申請から4〜6カ月で永住権が取得できるという。
 「数年前には2年ぐらいかかっていたこともあったので、大幅に改善されたと言えるでしょう」と、レビン弁護士。ただし、永住権目的の偽装結婚を取り締まる目的で、結婚して2年間は、条件付き永住権(Conditional Green Card)として、2年間の有効期限が付く。2年後にまた書類を提出し、10年間有効の永住権をもらうことになる。
 優先家族の場合は年間移民割り当て数の対象になるため、Priority Dateが有効になるまで順番待ちをしなければならず、取得に時間がかかる。優先順位は次のように定められている。

第1優先者: 米国市民の未婚の子供
第2優先者: (1)永住権保持者の配偶者と子供、(2)永住権保持者の未婚で21歳の子供
第3優先者: 米国市民の既婚の子供
第4優先者: 21歳以上の米国市民の兄弟姉妹

 取得までにかかる時間だが、永住権保持者の配偶者の場合で約5年とのこと。「スポンサーとなる配偶者が市民権を取得すれば、この期間は6カ月に短縮できます。市民権取得を検討した方が良いでしょう」と、レビン弁護士はアドバイスしている。