ライトハウス
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ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

学ぶ意思を尊重する
アメリカ高等教育の仕組み(2)

Lighthouse編集部


入学から卒業まで

アメリカの大学入試SAT
留学生の第1関門TOEFL

アメリカでは日本のような入学試験はない。その代わりに、SATという民間の試験を利用することがほとんどだ。そのため、毎年アメリカでは、200万人の受験生がSATを受験している。

その中心になるのがSATリーズニング・テスト(SAT Reasoning Test)。国語(英語)の読み書きと数学で、今まで勉強してきた能力を計るだけでなく、今後、大学での教育に耐えうるかどうかを見極めることが目的である。一般的には11年生(ジュニア)または12年生(シニア)の年に受けることになる。

かつてSAT兇箸靴特里蕕譴討い寝別槓未離謄好箸蓮現在、SATサブジェクト・テスト(SAT Subject Test)に名前が変更になっている。その目的は、受験する大学に対して、国語、歴史、数学、理科、外国語の能力を示すことにある。この試験は特定の教科書や教育方法とはまったく関係なく、独自のものであり、出題内容も毎年変わるが、出題範囲は現行のカリキュラムに沿っている。大学によって要求される科目が異なるので、事前に調べておくこと。

他にもACT(American College Testing)と呼ばれるテストもあるが、受験する際にどのテストが必要なのか、こちらもしっかり調べておく必要がある。

一方、留学生に必要なのが、TOEFL。これは1964年に、英語を母国語としない人々の英語力を測るテストとして、アメリカの非営利教育団体であるEducational Testing Service(ETS)によって開発されたもので、アメリカの大学では留学生の英語能力を測るテストとして、広く認知されている。

2005年9月から導入された新形式の「TOEFL iBT」は、英語でのコミュニケーションに必要な「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つの技能を総合的に測定するものとなっており、英語をどれだけ「知っている」か、ではなく、「使える」かに焦点を当てている。

詳しくは、国際教育交換協議会のサイト(www.cieej.or.jp/toefl/toefl/navi.html)を参照のこと。



卒業までの
長く険しい道のり

日本の大学は入学が難しく、アメリカの大学は卒業が難しいとよく言われる。実際には、アメリカの大学も学校によっては入学も難しい。確かに黙って講義を受けて、ノートを取っていれば単位がもらえるというわけではないアメリカの大学は、難易度の問題もさることながら、講義に積極的に参加するシステムに慣れない日本人にとっては、卒業はさらに難しく感じられるだろう。

また、入学式があり、丁寧にオリエンテーションがある日本の大学とは違い、ある程度のナビゲーションはあるものの、万事自分で行わなければならないアメリカの大学では、自分が注意していないと、卒業に必要な単位を取り損ねていたというケースも出てくる。

大学の卒業式は5月。実際、その年の8月までに単位が揃えば、その年度での卒業ということになるので、いわば「卒業見込み」で卒業式に出席することが可能だ。正装して卒業式に出席し、仲間たちと大騒ぎしたものの、必要単位が足りなかったので卒業には至らず、10年以上経ってから昇進などの際に、卒業証明書がないことがわかり、実は「中退」だったことが判明するという悲喜劇もある。

アメリカの大学や大学院は、日本のように4月に入学して、4年後の3月にその多くが卒業するというような画一的なものではなく、卒業の時期は学生が単位を履修・習得したスピードによって大きく異なる。

また、入学した学校と卒業した学校が違ったり、途中で複数の学校から単位を取ったりすることはざらで、そういった場合、ますます自己管理が重要になってくる。もちろん大学側でも学生の習得単位は管理しているが、学生がどんな履修計画を立てるべきか、ということまでは教えてくれない。専攻を変更する時、編・転入学する時には、自分が習得した単位数だけではなく、その単位が編・転入に使えるのかどうかを事前に調べておく必要がある。特に、コミュニティーカレッジから4年制大学へ編入する際には要注意だ。大学によっては、認めない単位があるし、編入先によっては成績も重視されるからだ。履修計画を立てたり、編・転入をしたりする際には、各校のカウンセラーに必ず相談しよう。



日本人留学生
正規留学への道

アメリカに住んでいても、日本国籍で、日本の高校を卒業していれば、アメリカの大学では留学生になる。留学準備に必要な期間は、一般的に大学・大学院への留学の場合には約1年半前から、語学留学の場合でも約半年前から準備をすることが望ましい。特に、ビザ取得は年々難しくなっている。既にアメリカに住んでいる場合には、移民法弁護士に相談することをすすめする。

留学の事前情報に関しては、日米教育委員会(www.fulbright.jp)が両国間の教育、文化、学術交流を推進する目的で設置した「留学相談サービス」の利用が便利だ。電話での相談(103-3580-3231、月〜金・午後12時〜5時)の他、東京にある資料室では、アメリカの大学のオンライン・カタログ、留学計画や大学選択に役立つ参考図書などを閲覧することができ、大学・大学院留学に関する説明会を東京、札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、福岡、沖縄などで実施している。メール(eas@fulbright.jp)での問い合わせも可能だ。

また、アメリカ大使館領事部(☎03・5354・4033)では、ビザ取得に関する24時間音声・FAX情報サービスを有料(クレジットカードによる課金制)で行っている。メールによる回答サービスも有料で行われているので、詳細は大使館ビザサービスのウェブサイトで確認のこと。



生涯一学生
リカレント教育

リカレント教育とは、1973年にOECD(経済協力開発機構)が発表した「リカレント教育–生涯学習のための戦略–」に基づいている。それによれば、「リカレント教育とは、血液が人体のなかを循環するように、教育が個人の生涯にわたって循環すること、すなわち、労働等他の諸活動と交互に教育を行うこと」となっている。日本では、92年の生涯学習審議会による「4つの課題」などによって、言葉だけは知られているが、残念ながらそれは、厳しく言えば社会人を対象にした入試制度の改革やサテライト・キャンパスの設置等にとどまっている。

アメリカの場合、基本的に入試がなく、さらに、労働市場の流動性が高いため、社会人になってからも大学に戻り、キャリアアップを図ったり、ステップアップのために資格コースを履修したり、まさに「リカレント」が盛んに行われている。MBA取得講座などはその好例だ。大学側も、セメスターの枠にとらわれない集中講義や夜間クラスを豊富に準備し、単位互換も盛んに行うなど、ニーズに応えている。

あるコミュニティーカレッジで行われている、夜間集中コースの日本語講座上級クラスをのぞいてみると、昼間や夜中に職を持つ30〜60代の生徒が十数人、日本人の先生から熱心に会話や文法を学んでいた。日本が好きで学ぶ人もいるが、コミュニティーカレッジ卒業のための単位を揃えている人、大学中退後20年目にしてUCへの編入学を目指して単位を積み重ねている人など、目的はさまざまだ。

コミュニティーカレッジでは、そのような授業に入学を希望する外国人にも、TOEFLなしで門戸を開いている。自分の興味がある講座だけの受講も可能なので、チャレンジしてみてはどうだろうか。ただし、英語と数学の能力テストを受けることが義務付けられている。