ライトハウス
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ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

生き生きシニアライフ
リタイア後を豊かに生きる(2)

Lighthouse編集部


ダウンサイズで生活をシンプル化
色んなことにチャレンジする

村井芳郎さん(60歳)夫妻
啓子さん(60歳)

「70歳まで働き続けたい」と話す村井夫妻。子供の独立を機に5ベッドルームの一軒家を売却、引退に先駆け2ベッドルームのシニア向けコンドミニアムへの「ダウンサイジング」を敢行した。「アクティブな老後のために、生活をシンプルにする」ことを決めた。

引っ越しで気持ちを整理

 村井さん夫妻は昨年6月、3人の子供全員が独立したのを機に、長年暮らしたロミータ市の5ベッドルームの一軒家を売却、トーランス市内にある55歳以上を対象にしたシニア向けコンドミニアムを購入して転居した。「2ベッドルームなので最初は圧迫感がありましたが、慣れたらこちらの方が快適です。光熱費や水道代も以前の3分の1程度ですよ」と芳郎さん。

 引っ越しを機に、荷物も大幅に整理した。「たくさん捨てましたね。捨てるかどうかの判断基準は、今後20年間で使うかどうか。使わないと思うものは、思い入れのある品でも思い切って捨てました」(芳郎さん)。荷物を整理して引っ越すことで、第2の人生に向けた気持ちの整理もつけた。生まれ育った家がなくなると知り、子供たちの心境は複雑だったが、「これはパパとママの子育ての卒業式」と、最終的には夫妻の決断に賛成した。

 4階建てのコンドミニアムには、100を超えるシニア世帯が暮らしている。プール、ジャグジー、フィットネススタジオに加え、住人たちが集うコミュニティールームも完備されている。また、スーパーやレストラン、病院までが徒歩圏内という利便性も魅力だ。「ここなら、年をとって車が運転できなくなっても安心ですから」と啓子さん。「治安もいいし、とっても静かです。皆さんフレンドリーで、ご近所付き合いも活発。お友達もたくさんできました」。

 広い家からコンパクトなコンドミニアムへの住み替えを断行した最大の理由は、掃除や庭の手入れ、修繕など、家のメンテナンスにかかるエネルギーとコストを削減し、生活を簡素化すること。「大きな家に住んでいると、それだけでエネルギーが必要です。5つもベッドルームがあれば、掃除だって大変ですし、庭の水撒きだってひと仕事。その点、集合住宅は楽。これまで家事にかけていたエネルギーや時間を、趣味や遊び、ボランティアに使えるようになりました」と、啓子さん。


海外移住も視野に

 「70歳までは仕事を続ける」という芳郎さんは、10年後に引退したら夫婦で世界中を旅して回りたいと夢を語る。「クルーズ船に何度か乗って楽しかったので、また夫婦でクルーズ旅行に出かけたいですね」。また、この新たな住まいを拠点に、スペインやニューヨークなど、世界各地に長期滞在することも考えている。「住んでみたいのはスペイン。気候もいいし、暮らしやすそうでしょう。違う文化の中で暮らすのは、刺激的で楽しそう」。一方、啓子さんはニューヨークで暮らしてみたいと話す。「演劇にコンサートにお買い物と、楽しい毎日が過ごせそう。ニューヨークならヨーロッパ旅行も手軽ですし。娘と息子が住んでいる沖縄にも長期滞在したいですね。このコンドミニアムなら、鍵を1つかけるだけで出かけられる。そんな手軽さが、海外移住さえ可能にしてくれるのです」。

 「アメリカでは、シニアライフを充実させるため、自分自身を『Reinvent』、つまり再構築するという考え方があります。引退後に俳優になる人もいるし、シェフの勉強を始める人もいる。そういう人たちのために、教育機会もたくさんあります。私たちも『Reinvent』して、第2の人生の先にある第3の人生を構築し、存分に楽しもうと考えています」と芳郎さん。

 引退後にビジネスを立ち上げることも視野にあれば、健康のために太極拳を始めることも考えているという。ボランティア活動にも今まで以上に積極的に取り組みたいと話す。長年やりたいと考えていたことに、引退後なら気軽にチャレンジできる。ダウンサイズで生活がシンプルになったからこそ、身軽にさまざまなことにチャレンジできる、というわけだ。



シニア向けハウジング

55歳以上が対象
コンパクトで快適な住居

取材協力
出相一英
Remax Palos Verdes Realty
450 Silver Spur Rd., Rancho Palos Verdes
☎310-703-1884
www.deaiteam.com

現在、55歳以上のみが居住できるシニアハウジングの開発が進んでいる。シニアハウジングとは何か、購入に際しての注意すべき点は何かなど、Remax Palos Verdes Realtyの出相一英さんに聞いた。

 シニア向け専用住宅というと、アリゾナ州など他州にある印象を持つ読者も多いが、実はトーランス市はシニア用住宅の開発が盛んで、市内9カ所にシニアハウジングがある。「トーランスは気候や交通の便が良く、高齢者にはぴったりです。日系ビジネスが集中していますから、特に日本人の高齢者には最適ですね」と出相さん。
 シニアハウジングのほとんどはコンドミニアム形式。ユニット内は車イスでも移動できるよう、段差がない造りになっている。高齢者が1人、あるいは夫婦だけで暮らすのが基本のため、1ベッドか2ベッドルームのコンパクトサイズが中心で、3ベッドルームのユニットは少ない。また、コミュニティールームやライブラリーなど、高齢者ニーズを配慮したところもあるが、実際には一般的なコンドミニアムとそれほど変わらない。「外見だけでは、シニア向けとはわかりません。なかには、住民同士の交流を促進するイベントや、趣味のサークル活動に熱心なところもあるようです」と、出相さんは言う。
 前述のように、シニアハウジングは55歳以上であることが基本的な入居ルール。だから、購入者や世帯主が55歳以上でも、55歳以下の子供や孫と同居できない。ただし、同居する夫婦の一方が55歳以上の場合と、55歳以上の入居者が日常の世話を必要とする場合に、ケアギバーとして同居する人のみ入居できる。
 このように、制限があるシニアハウジングだが、メリットは多い。1つは、同等の物件に比べやや価格が割安に設定されていることだ。「家族や子供がいないので、静かなのもいいですね。車がなくても生活できるよう、店や病院に近い市街地に建てられているものが多く、利便性が高いのもメリットです」(出相さん)。なお、売却時に不利なのではと心配する人もいるが、「今後、こうした高齢者向け住宅の需要は拡大すると考えられるので、その心配は特にないでしょう」とのこと。
 シニアハウジングの選び方について、出相さんはこう語る。「引退後、どういうライフスタイルを送りたいのかを考え、物件を選ぶことが大切。また、10年後、20年後の自分の健康状態を想定し、徒歩圏内にどんな施設や病院、サービスがあるのかなど、細かくチェックすべきでしょう。お子さんがいらっしゃる方は、お子さんのお住まいから近い物件が、何かと便利でしょうね」。
 家族で暮らしてきた一軒家を売却し、コンパクトなシニア用コンドに住み替える人は増えている。第2の人生の拠点をアクティブなシニアが集まる、シニアハウジングに求めてみるのも一案かもしれない。


コウハウジング

ふれあい重視の新スタイル
コウハウジングの魅力とは

取材協力
菊入弘行
VIVACE International, Inc.
4500 Campus Dr. #650, Newport Beach
☎949-474-8088
www.vivace-intl.com

共通の目的やライフスタイルを追求する人が集まり、共有施設を中心としたコミュニティーで暮らす「コウハウジング」。北欧で生まれたこの新しい住まいスタイルが、日米で注目を集めているという。「コウハウジングの基本は助け合いと触れ合い。シニアにはぴったり」と話す、コウハウジング・コーディネート会社、VIVACE International, Inc.の代表、菊入弘行さんに話を聞いた。

 コウハウジング。耳慣れない言葉だが、従来型のコンドミニアムやゲート・コミュニティーとどう違うのだろう。「コウハウジングには戸建て、タウンハウス、コンドミニアムと、さまざまな形状がありますが、入居希望者が集まってLLCを作り、事業主になって住宅開発をするのが最大の違いでしょう。また、共有施設を中心に、助け合いと触れ合いのある暮らしを目指すのが特徴です」と菊入さん。
 規模は10戸から30戸程度。各居住空間は独立しているため、一般的な集合住宅と見た目はそれほど変わらないが、特徴は中央に作られた共有施設にある。入居者の希望やタイプに合わせ、レクリエーションルームや共有キッチン、ゲストハウスなどが作られ、ここが入居者たちの触れ合いの拠点となるのだ。
 完成した住居を購入するのと違い、計画段階で入居を決め、入居者の希望に合わせて建設されるのも特徴だ。「入居者1人1人の意見をとりまとめるのは現実的ではないので、コーディネーターである私たちがあらかじめ大枠のプランを用意しますが、間取りやデザインなどは入居者の意見を反映することができるのです」と菊入さんは続ける。高齢者や障害者が入居するのであれば、バリアフリーにすることももちろん可能だ。
 また、隣に誰が引っ越ししてくるかわからない一般的な集合住宅とは異なり、コンプレックス内に暮らすのは皆顔なじみ。「プライバシーは大切にしながらも、住人同士が互いに助け合い、触れ合って暮らします。コウハウジングはシニア専用ではありませんが、家で過ごす時間が長いシニアの方々にとっては、理想的な住まいスタイルと言えるのではないでしょうか」(菊入さん)。現在、日本語を話す人対象のコウハウジングのプロジェクトが、サウスベイを拠点にいくつか検討されている。ヴィヴァーチェでは、毎月説明会を開催しているが、やはりシニアの関心が高いようだ。
 ご近所付き合いのない都会暮らしは、寂しい上に不便。気軽に助けを求められる人、話し相手になる人、共通の趣味を楽しめる人が近所に集まっていれば、老後生活は何倍も安心で楽しいものになる。全米で人気を得ているコウハウジングに興味のある人は、1度説明会に参加してみてはいかがだろうか?


ソーシャルセキュリティーの基本

米国年金も前途不安
日米社会保障協定を知る

参考ウェブサイト
●ソーシャルセキュリティー
www.ssa.gov
●社会保険庁
www.sia.go.jp
●日米社会保障協定に関する詳細
www.sia.go.jp/seido/kyotei/kyotei06.htm
●国民年金って何?
www.nenkin.go.jp
●日米年金サポートセンター
http://homepage2.nifty.com/nenkin-support/
※米国在住者の日本の年金請求をサポートする団体

日本では老後のための年金が用意されているが、アメリカでは一体どうなっているのだろうか? 最近の日米での年金事情も踏まえ、アメリカの年金の種類やその仕組み、支払い方法などを考えてみよう。

 アメリカの公的老齢年金制度はソーシャルセキュリティー(Social Security)と呼ばれ、アメリカ国内で就労するすべての者は、ソーシャルセキュリティー税を納める義務がある。ソーシャルセキュリティーの受給有資格者となるには、最低10年間就労しソーシャルセキュリティー税を納め、40クレジット以上の獲得が必要となる。
 高齢化社会の到来で、ソーシャルセキュリティーが満額受給できる年齢が引き上げられた。2008年1月現在、1937年以前に出生の人は、65歳で満額を受け取れるが、それ以降に生まれた人は年齢が上がり、60年以降に生まれた人は67歳となっている。
 ソーシャルセキュリティーは62歳からの繰り上げ受給もできるが、その場合、一定率の受給額減になる。逆に受給開始を遅らせることも可能で、その場合は受給額増となる。
 ソーシャルセキュリティーは日本の国民年金と同様、政府が現役世代からの税金を運用し、引退者に分配するという仕組みだ。しかし、08年には、全米で7800万人いるといわれる団塊世代が引退を始め、30年後の高齢者数は現在の2倍になると見られ、またソーシャルセキュリティー税を納める被保険者と受給者の割合も、現在の3.3対1から、32年には2.1対1に減少する。
 05年10月1日施行された日米間の社会保障協定により、日米両国で働く者、あるいは過去に働いていた者にとっては、社会保障制度が大幅に改善された。これは、両国での社会保険料の二重支払い防止、また日米での年金加入期間を通算し、年金保険料の掛け捨てを防止するために結ばれた協定だ。同協定に含まれるのは、アメリカではソーシャルセキュリティー、障害年金および遺族年金で、日本では社会保険料(医療保険料の一部を含む)および老齢年金、障害年金、遺族年金など。ただし、国民年金基金、任意加入の企業年金である厚生年金基金は適用外。これまでは一方の国で年金を一時的に支払っていても、加入が短期として年金を受けられず、掛け捨てになってしまうことも多かったが、今後は日米の年金加入期間を相互に通算し、年金受給権を獲得できるようになる。
 また、これまでは日本在住者がソーシャルセキュリティーを請求する場合や、アメリカ在住者が日本の年金を請求する場合は、相手国の年金担当窓口に直接申請する必要があったが、この協定により、居住国の年金担当窓口で相手国の年金を申請できるようになった。


メディケアと介護保険

メディケアを補完するには
民間の高齢者医療保険が得策

取材協力
安岡忠展
ダイワ保険代理店
21515 Hawthorne Blvd. Suite 440, Torrance
☎310-540-8595
www.daiwainsurance.com

65歳になれば、高齢者向けの公的医療保険の「メディケア」が利用できる。しかし、メディケアですべてがカバーされると安心していて良いのだろうか。高齢者のための医療保険と介護保険について、ダイワ保険代理店の代表、安岡忠展さんに話を聞いた。

 65歳以上の高齢者や身体障害者を対象にした公的医療保険制度であるメディケアは、メディケアタックス/ソーシャルセキュリティーを10年以上納めていれば受給できる。メディケアは入院費用をカバーする「パートA」、外来医療費をカバーする「パートB」、処方箋薬を対象とする「パートD」の3つに分かれており、Aは保険料がかからないが、Bは月額96ドル40セントの保険料が必要。民間保険会社が提供するDは、各社プランにより料金は異なる。
 メディケアは、医療費すべてをカバーするものではなく、「長期入院などの場合、自己負担額が大きくなる可能性もあります。メディケアを補完する民間会社の高齢者向け医療保険に加入しておいた方が良いでしょう」と、安岡さんは話す。
 メディケアを補完する高齢者向け医療保険には、大きく分けて「Advantage Plan」と「Supplement Plan」の2種類がある。Advantage Planは、メディケアを利用した際の自己負担額を低く抑えるプランで、プランによっては保険料がかからないものもあるなど、全般的に保険料が低いのが特徴だ。ただし、ネットワーク内の医療機関でしか利用できないなどの制限がある場合も多い。
 一方Supplement Planは、メディケアがカバーしない部分を補完する保険。こちらも民間保険会社のプランに加入することになるが、自己負担額が低く抑えられる分、保険料がAdvantage Planに比べて高い。
 「一概には言えませんが、健康で医療費がそれほどかからないならAdvantage Plan、頻繁に医療機関を利用するならSupplement Planが好都合です。本来は、多くのプランをじっくり比較検討し、自分に合ったプランを選ぶしかないのですが、すべての商品を比べるのは困難ですから、信頼できる保険代理店に相談するのがベストです」と安岡さん。
 それでは、介護に必要な保険はどうか。メディケア、民間の高齢者向け医療保険ともに、病気の治療が対象で、介護費用はほとんどカバーされない。65歳以上でナーシングホームの入居率は48.6%、自宅介護率は71.8%(The Long Term Care Handbook, 1998より)というデータもあり、介護対象の「ロングタームケア保険」の加入も検討すべきだ。
 「介護費用がかさみ、財産を使い切ってしまう例もあります。少しでも負担を減らすためにも、加入しておくべき保険でしょう」と安岡さん。保険料は、被保険者の健康状態、年齢、給付金、保障期間などで大きく異なるが、若い時に加入しておけば、保険料が安くなる。「歳をとればとるほど保険料は高額となり、健康状態によっては加入を拒否されてしまうことも。40代になったら、加入の検討をおすすめします」(安岡さん)。