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選べる!補修校・学習塾
(2006年2月16日号掲載)

Lighthouse編集部

 在米日本人にとって、子供を現地校に通わせるのは、子供を英語環境に触れさせるまたとない機会だが、日本語など日本の教育が気にかかるのもまた親心。数年後に帰国が決定しているのであればなおさらだ。

 南カリフォルニアには日本語で学べるの補習校や学習塾が数多くある。今回は、義務教育年齢にある子供たちを対象にした補習校・学習塾を紹介しよう。

(2006年2月16日号掲載)


ロサンゼルスエリアの補習校

在外子女は全米に約2万人
約半数は補習校へ


 文部科学省の調査によると、海外に在留する学齢段階の子供の数は5万4148人(2004年4月15日時点)で、何年かの在留の後で帰国したいわゆる“帰国子女”の数も、年間約1万2500人に達している。現在、日本政府の関わる在外教育施設として83の日本人学校が世界各地に設置されている。補習校に関しては1958年にワシントン補習授業校が設置されて以来、04年4月15日時点で世界56カ国に186校が設置され、文部科学省が教員を派遣する補習授業校は北米に31校ある。

 外務省の「管内在留邦人子女数調査」(04年4月15日時点)によると、北米には2万659人の学齢段階の子供がおり、そのうち全日制の日本人学校に通っているのは478人、現地校のみに通っている子供が8302人、補習校に通っているのは1万1881人で、補習校の需要の高さが目立つ。

 文部科学省の定義する補習授業校とは、「現地校、国際学校(インターナショナルスクール)等に通学している日本人の子どもに対し、土曜日や放課後等を利用して国内の小学校又は中学校の一部の教科について日本語で授業を行う教育施設。国語を中心に、補習授業校によっては算数(数学)、理科、社会などを加えた教科について、基礎基本を習得するための授業を国内で使用されている教科書を用いて実施している。補習授業校の年間授業日数は、40日から50日程度のところが多く、教科書の内容を精選して指導している」とある。

LAは駐在員の
ニーズに応えて開校


 ロサンゼルス界隈の補習校としては、日本政府の援助を得て69年にあさひ学園が開校。これは日本企業のアメリカ進出が本格化しだした50年代に、駐在員が日本語補習校の必要性を提唱し、現在のJBA(南カリフォルニア日系企業協会)支援の下で実現したものだ。

 当時はロサンゼルスに全日制の日本人学校はなく、現地校に編入させるのは駐在員たちのやむを得ぬ手段であった。しかし、その後も「せっかくアメリカで生活するのだから」との理由で現地校を選択する人も多く、帰国後の再適応のため、補習校に通わせる必要性は変わらない。


「効果的に学ぶためには家庭学習が
不可欠です」(村方さん)

家庭学習が前提
日本語強化の試みも


 あさひ学園はロサンゼルス界隈に全4校あり、日本企業の進出がめざましかった80年代後半には3千人以上の生徒を抱えていた。現在でも生徒数は全校で1500人を超え、世界最大の児童・生徒数を誇っている。

 「基本的には、帰国予定のある駐在員の子供たちが、日本に帰った後で教育にギャップが出ないようにするために、文部科学省の教科書を使用して教育支援しています」と話すのは、専務理事の村方清さん。

 授業があるのは土曜日のみ。朝8時45分に登校して、午後3時30分まで国語・算数(数学)・理科・社会、高校生はそれに小論文などが加わった授業を行っている。だが土曜日だけの授業で、日本のカリキュラム通りに授業を進めることは不可能だ。そのため家庭での学習は欠かせない。

 「家庭学習を前提にして成り立っており、土曜日の授業は家庭学習のためのガイダンスを与えているとも言えます」(村方さん)。


日本らしい学校行事も体験できる補習校
(三育東西学園の運動会)

アメリカ残留組対応の
日本語強化クラス


 時間的な制約のある中で、基礎的な内容を押さえながら効果的な学習を進めるために、教材内容を重点化させた教育方針を採っている。そのため文部科学省派遣教員が教育課程を編成し,そのカリキュラムに従って現地採用教員が指導に当たっている。

 また2年前から始まった同校の新しい試みに、国語に重点をおいたコースや学科がある。

 「近年はアメリカに残る人も多く、その子弟に対して補習校としてどう対応し、どのような教育を提供するかがチャレンジになっています。そのため独自の副教材を使った国語力強化のコースや学科も始まりました。この学科も家庭学習が必要なのは同様で、週1回の授業だけで身につくものではありません」(村方さん)。


「補習校は日本人の友達と交流できる場
でもあります」
(西浦校長)

新聞を読める日本語力を
中学卒業までに身につける


 西大和学園は93年、全日制の私立日本人学校として開校したが、父兄の要望に応える形で、02年6月に土曜日補習校を立ち上げた。

 「日本人として身につけておきたい基本的学習内容を定着させることを目的としています」と西浦将芳校長は話す。

 同校は、文部科学省認定の教材を使って、日本の教員免許を持つ全日制の教員を中心に授業を進めている。「日本で1年かけてこなす教科書を週1回で補っているので、大切なところを抜粋して教えています」(西浦校長)。「教科書レベルの基礎的な内容を定着させる」のが同校の目標だ。

 中学3年生まで約250人が補習校に通い、30人の教員が授業に当たっている。授業は4時間、午前中だけの授業だが、そのうち2時間を国語の授業に充て、日本語に力を入れているのが特徴だ。

 「目標はネイティブの日本語を身につけることにありますので、中学卒業までに新聞を普通に読める程度の日本語力を養います」(西浦校長)。

日本人の友達との交流は
情緒安定にも欠かせない


 西浦校長は補習校の存在について、学習面以外での重要性も主張する。

 「子供たちにとって、自分の考えや意思を、他者に言葉で伝えられるというのは、情緒安定に欠かせません。日本から来て現地校に入る子供は、文字通り突然英語の世界に放り込まれるわけですが、現地校に放り込めばバイリンガルになると思い込んでいる人が多いのは気がかりです。途中で教育言語が変わるというのは大変なことです。それが子供にとってどれだけのストレスになるのか、どれほど孤独にさいなまれるのか。その辺を親はもっと認識すべきではないか、という気がします。また、日本に帰った時の学力の遅れ、日本語の未発達などのリバウンドが非常に怖い。補習校に行けば日本人の友達と交流できる、そういう環境があるというのは、子供たちにとって非常に大切なことです」。

 同校では4年生以下の低学年は、全日制の日本人学校であるロミータ校舎を使用しているが、「平日は日本人学校として使っている施設ですから、校舎の中に一歩入れば、そこは日本です。掲示物や黒板、教材、教具など空間的なものが与える影響も大きく、授業だけでなく、環境まで日本の学校を体験できるのも当校の特徴です」と西浦校長は語る。

 両校とも、運動会など日本の学校行事もカリキュラムに盛り込まれており、日本の楽しい思い出が残る子供たちには、ホッとひと息つける場所にもなるのだろう。日本から来た子供たちにとって、同じような環境の友達と交流する機会があるというのは、アメリカに適応していく上でも重要な要素なのかもしれない。