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ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

気軽に相談、任せて安心
日本語が通じる弁護士・法律事務所(1)

Lighthouse編集部

何事もなく、平穏に日々を暮らしたい。
でもいつ何時、トラブルに巻き込まれるかわからない。
そんな時、頼りになるのが弁護士や法律事務所。
普段なかなか接することのない存在だが、いざという時の強い味方だ。

そこで、私たち日本人がよく関わる法律の基礎知識と、
日本語でサービスを提供する弁護士・法律事務所を紹介する。




移民法の基礎知識

スティーブン・ユア弁護士

移民法は、アメリカで外国人として暮らす我々日本人にとって、
日常的に接点のある法律だけになじみが深い。
ここでは、要点のみを簡単にまとめた。


移民法は、アメリカ国外から入国し、短期・長期的にアメリカに滞在する人を規制することを目的とした法律である。私たち日本人がアメリカで生活する上で避けて通れない法律であるため、1番相談する率が高いのもやはり移民法弁護士であろう。

移民ビザは、移民ビザと非移民ビザとに大別される。移民ビザは、アメリカ市民権を持たない外国人が、永住を目的として発給されるビザである永住権、いわゆるグリーンカードである。非移民ビザは、最終的には母国へ帰る意図で、限られた期間規定された目的でのみアメリカへの入国を許可するビザで、その種類は渡米目的別に20以上ある。

移民法弁護士の相談受け付け範囲は、永住権、労働ビザ、労働許可、企業内転勤、学生ビザ、結婚、市民権、強制送還、国際的に起こる子供の誘拐などが挙げられる。

「移民法は頻繁に改正されるので、皆さんがアメリカに長く滞在したいと思ったら、早めに計画を立てることが重要です」と、移民法を手がけるスティーブン・ユア弁護士は話す。

既に多くの日本人が知っている通り、2007年4月から最も一般的な労働ビザであるH-1Bビザが、応募数多数につき申請の段階で抽選になってしまった経緯がある。1年に1度しかないH-1Bビザ受け付けに外れてしまった場合はどうなるのだろう?

「まだ滞在ステータスが残っていて、本人の条件が合えば、E-1、E-2、J-1、H-3などを申請することもできます」と、同氏。

また、ビザの有効期限を失念して、更新手続きが遅れてしまったりして、オーバーステイ期間ができてしまった場合でも、180日以内であれば、救済の可能性は残っているとのこと。

「オーバーステイしない限り強制送還にはならないと思われがちですが、たとえばDUI(飲酒運転)で2度逮捕されると、強制送還になる可能性があります。飲酒運転は、本来刑事事件となりますが、当事者が外国人の場合は、我々移民法弁護士もこれに関わってきます。

大半の日本人の皆さんは、日本にいる時に1度も弁護士と関わる必要がなかったでしょうし、アメリカでも弁護士事務所は敷居が高そうで、わからないことやトラブルを抱えていても問い合わせしづらいかと思います。でも、私たちは皆さんをヘルプし、夢を叶えるための弁護士なのです。第三者の経験談など、不確かな情報を鵜呑みにして行動することは、時として合法的なアメリカ滞在を危うくする危険性があります。不明な点があれば、まずプロフェッショナルである私たちに相談してみてください」と、同氏。



協力:スティーブン・ユア法律事務所
☎714・368・1656(日本語ライン)
Web: www.urelaw.com
E-mail: contact@urelaw.com
17731 Irvine Blvd. #201-B, Tustin



家族法(民法)の基礎知識

アダム・モルウディ弁護士

アメリカでは、離婚の際に財産の分割や養育費、
子供の親権などを巡って裁判が起きることがある。
家族法は、こういった夫婦間での争いを裁く法律。他人同士の争いを裁く一般的な民法との違いに関連させながらまとめてみた。



夫婦仲が悪くなった場合、まずはマリッジカウンセラーや心理学者に相談する。それも上手く行かず、夫婦生活の修復が不可能という際にお世話になるのが、家族法を専門とする弁護士。ウエストロサンゼルスのアダム・モルウディ弁護士に、日本人にはなじみの薄い家族法について聞いてみた。

「私が扱う離婚訴訟では、99%が調停不可能なケースです。カリフォルニア州では離婚を提起するのに、特別な理由や説明の必要がありません。夫婦のどちらかが『愛が冷めた』というだけで、離婚訴訟を起こすことができるのです」。

離婚訴訟で争われることが多いのは、扶養費(Alimony)、養育費、親権、財産の分割(不動産やビジネス)とのこと。裁判では、宣誓下でお互いが言い分を主張したり、文書で提出する宣誓証言(deposition)が行われる。親権を巡る争いの場合は、両親の主張よりも、裁判官が子供にとって何がベストであるかを考慮することによって判決が下される。「カリフォルニア州は、子供の福祉・教育に対する意識が高いので、判決でも両親の事情より、子供の事情が最優先されます」。

一般の民事訴訟と離婚を巡る訴訟の違いは、争いが結婚している夫婦間の場合は家族法の範疇、他人同士である場合は、民事訴訟となる。「ちなみにカリフォルニア州では、アメリカで結婚していない夫婦であっても、外国で結婚していれば、夫婦と認めています」。

民事訴訟では、ほとんどの場合、陪審員が裁判に参加しますが、離婚訴訟の裁判では裁判官のみです。「陪審員がいませんから、裁判官が判決のすべてを決めるわけです。ですから、離婚訴訟に臨む際には、裁判官を知ることが重要になります。私たち家族法の弁護士は、その裁判官が過去にどんなケースで、どのような裁定を下したか、必ず判例を勉強しています」。

離婚訴訟の法廷は、「Court of Equity」と呼ばれ、他の民事訴訟や刑事訴訟の「Court of Law」と理念が異なるという。

「Court of Equityでは、公明正大さ、公平さ、平衡が重視され、裁判官の裁量が非常に広いのが特徴です。一方、Court of Lawでは、明文化された法律に厳格に従い、裁判官の裁量がほとんどありません。離婚法廷では、先ほどお話ししたように陪審員もいないわけですから、裁判官の裁量次第で判断が左右されるわけです」。


日本人の場合は
DVケースに注意


裁判官の裁量次第の判決が下る離婚法廷だが、一般の民事訴訟と同様、判決に不満があれば、上級裁判所に訴え出ることができる。「ただし、その場合、裁判官の判断に不満があり、納得できないという理由ではなく、裁判官が裁量権を濫用しているということが理由となりますので、一般の裁判より控訴が難しいと言えます」。

また、同じようなケースでも毎年異なる判例が出て来るところも、裁判の行方を混沌とさせる点。「裁判官を知ることも重要ですが、日々、最新の判例を研究することが欠かせないですね」。

離婚訴訟でユニークなのは、訴訟を起こすための弁護士費用を相手の負担にできる点だ。「例えば、夫が10万ドルの財産を持っていて、妻は財産をまったく持っていないというような場合。離婚訴訟を起こしたいが弁護士を雇えない妻は、夫に対して弁護士費用の負担を求めることができます。一般の民事訴訟では、勝訴した際に弁護士費用を相手に負担させることはできますが、訴えを起こす際に負担を求めることはできません。『あなたと裁判がしたいからお金を払って』というわけです。これは、平等な法へのアクセスを保障する考えから採用されているのです」。

さて、日本人が抱える家族法関連のトラブルで多いのが、DV(Domestic Violence:家庭内暴力)のケース。殴る、蹴るといった明かな暴力が対象となるのはもちろんだが、声を荒げたり、腕を掴むといった夫婦ゲンカの範疇に思われる行為も、相手が訴えればDVとなる。

「本人や近所の人が警察にDVの通報をすると、刑事事件として扱われます。ここで問題となるのは、アメリカ人であれば、刑事裁判の結果、罰金で済むことが、市民権を取得していない日本人の場合は、移民局によって国外退去処分が下されることがあるのです。こうなると、我々家族法の弁護士ではどうすることもできません。一時の夫婦ゲンカの結果、夫婦離散という事態が、実際に起こっています。DVは許されることではありませんが、まずアンガーマネージメントなどカウンセリングを受けられてはいかがでしょうか?」。

アメリカに住む外国人である、我々日本人は、くれぐれも注意しておきたい。



協力:アダム・モルウディ法律事務所
☎310・207・0430(英語)
E-mail: moloudilaw@yahoo.com
12400 Wilshire Blvd. 4th Fl.
Los Angeles



ビジネスロー(会社法)の基礎知識

イニゲンバーグ弁護士

アメリカでビジネスを始める、駐在事務所を開設するといった場合に必要になるのが、ビジネスロー(Business Law:会社法)の基礎知識。「顧問弁護士を雇う」と言うと、まるで大企業の話のようだが、従業員が1、2人の会社でも、会社法に精通した弁護士に相談しておいた方が、トラブルを事前に回避できるため得策と話すのが、日本人クライアントを多数抱えるジョン・イニゲンバーグ弁護士。

「コーポレーション、LLC(有限会社)、パートナーシップといった、設立する会社の形態に合わせてご相談に応じます。一般的に多いのが、コーポレーション設立で、これを規制するのが『Corporate Law』ですね。また、日本人のクライアントから会社設立に際して多い相談が、ビザの取得について。移民法も併せてご相談に応じています」。また、既にカリフォルニア州に会社を設立しており、他州に新たに事務所を設立するといった場合、異なる法律の規制を受けるので、この点も十分に注意が必要とのこと。

小さな会社でも、事前に相談しておいた方が得策という例の1つに、トレードマークの申請があると同弁護士。「お金をかけてデザインした会社のロゴや社名が、既に登録されていたり、似たものが存在していた場合、ロゴデザインに費やした費用や新たに社名を変更するために時間を浪費することになります。トレードマークの申請のご相談をいただくことで、それを事前に回避できるのです」。

会社設立後も、経営に関する記録の維持やアップデート、各種契約書の作成と見直し、ライセンス取得、内部規定の設定など、会社経営に関しても法律問題は多数発生する。「企業活動を規制するのは、州法や連邦法といった外的規制だけでなく、経営者や取締役会などを規制する内部規定があります。特に複数オーナーによる会社の場合、内部規定を定めておくことで、恣意的経営やオーナー間での訴訟が起きるのを避けられます」。

労働者の権利が強いカリフォルニア州では、雇用契約書や雇用ハンドブックの作成についての相談も多いとのこと。また、元従業員が転職・退職後に会社の内部情報を漏らさないよう、コンフィデンシャル・アグリーメントをしっかり締結しておくことが企業財産の防衛に不可欠だ。

「会社法は複雑で、多岐に渡っていますが、法をしっかりと理解し、遵守することが何よりも大切です。経営が順調で、誰もがハッピーな時は問題になることは少ないですが、誰かが不満を感じた時に、訴訟問題は起きてきます。不況の時期こそ、ルールをしっかりと定め、何が正しく、何をしてはいけないかをはっきりさせておくことです」。


協力:アポ&イニゲンバーグ法律事務所
☎310・229・9296(日本語)
E-mail: info@pacrimlaw.com
1925 Century Park East Suite2120
Los Angeles



争いを穏便に解決する
「調停」という手段

「調停(裁判外紛争解決手続き)」とは、民事の紛争を正式裁判になる前に当事者間で話し合って穏便に解決する手段である。カリフォルニア州公認の調停人資格を持つ日本人、協和コミュニティー調停サービスのロッキー森さんに、調停について聞いてみた。

「民事訴訟で1番多いのが、お金がらみの裁判。第三者から見ると『なぜ、こんなことで裁判に?』というケースが多いのです。当事者は感情が入っているので、裁判になると当初の目的が見えなくなり泥沼化することも。裁判となりますと、勝ち負けがはっきりしますから、負けた方は遺恨が残り、相手に対して敵意を抱くこともあります。調停はどちらが正しく、どちらが間違っているかを判断する場ではないので、合意に達した後も当事者間の関係が続けられます」。

このように、森さんのような調停人は、裁判に入る前に第三者として当事者間を仲裁し、お互いにとってベストな結果になるよう導くわけだ。また、裁判では弁護士と裁判官との対話だけで、当事者同士が直接話し合うことはないが、調停では調停人を交えて直接対話ができる。そのため通常は、正式裁判よりも解決が早く(通常、金銭問題は1時間〜90分、離婚調停は2〜3回程度で和解成立)、裁判所や弁護士などへの費用が節約される上、調停場所や日程は当事者で決められるのがメリットだ。

「裁判になると判決はパブリックレコードとして記録に残ります。法律上、調停は和解内容が外部に公開されることがありませんし、たとえその後、裁判になったとしても、調停過程で話したことは、法廷では証拠として認められません。穏便、内密に紛争を解決できるわけです」。

また、金銭を巡る民事裁判で勝訴したとしても、裁判官は取り立てはしてくれないので、相手に支払い能力がなければ、必ずしも判決通りの金銭を得られるとは限らない。敗訴した側も、その後7年間はクレジットレコードに悪影響が出ることは必至。調停で支払い能力に合わせてペイメントスケジュールを組むなどした方が、お互いにとって得な場合もあるということだ。

裁判に臨む前に調停で解決を図ることも、選択肢の1つとして考えておきたい。




協和コミュニティー調停サービス
☎310-487-2126(森さん)
E-mail: kyowa-chotei@hotmail.com




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(2009年2月1日号掲載)