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日本語の通じる歯科医院ガイド
(2009年3月1日号掲載)

Lighthouse編集部

アメリカの歯科事情基礎知識
アメリカの歯科医は、日本以上に専門化が進み、その技術は世界トップレベルと言える。

ここでは、私たちが一般的にお世話になることが多い、
小児歯科、矯正歯科、インプラント、審美の分野での基礎知識をまとめてみた。




《小児歯科》

歯の美容、健康にこだわるアメリカでは、小児の頃から定期的に歯科にかかる。ソーテルで一般・小児歯科を開業する、ソーテル・ファミリーデンタルのエミリー・ウォン歯科医に話を聞いた。

「小児歯科というと一般的に3歳から12歳までの子供を対象としています。一般歯科との違いは『予防に重点を置く』『早期発見・治療』の2点にあると言えます」と、ウォン歯科医。ちなみに、米国小児歯科学会では、通常1歳から歯の検診を受けるよう推奨している。

1つ目の「予防に重点を置く」というのは、虫歯の予防、歯並びやかみ合わせの問題の予防などが挙げられる。
 
「子供も大人と同じように6カ月ごとのデンタルチェックアップとクリーニングを受けることが重要です。そして、虫歯の予防で欠かせないのが、歯磨きとフロスですが、子供は自分でできないことが多いですよね。ですから、保護者の方が正しい歯磨きやフロスのかけ方をしっかりとマスターし、お子さんに教えてあげることが大切なのです。また、子供の場合は、6カ月ごとに強い歯質を作るフッ素塗布を行うところが大人と異なる点です」と、ウォン歯科医は話す。

やがて永久歯に生え替わるからと言って、乳歯のケアを軽んじてはいけないと、ウォン医師は強調する。「小さな頃から乳歯のケアを行うということは、すなわち正しく歯をケアする習慣を、早いうちから身に付ける


取材協力:
ソーテルファミリーデンタル
Emily Kwong, D.D.S.

☎310・479・8833
2130 Sawtelle Blvd. Suite 210A
Los Angeles
www.sawtellefamilydental.com



《矯正歯科》

歯科の専門分野の1つとして確立している矯正歯科。アメリカは、技術的に世界で1番進んでおり、年齢に関わりなく誰もが当然できるものとして、広く一般化している。トーランスの歯科矯正専門医、野口伸一歯科医に話を聞いた。

「歯列矯正は、健康や見た目など、より質の高い生活を送るのに必要なことです。アメリカでは、健康で美しい歯を持つ『デンタルIQ』の高い人は、すなわち社会的ステータスが高い人だとみなされる傾向があります。きちんとした身なりをするのと同様、歯並びは就職や昇進にも影響を及ぼしかねない、重要な印象を周りに与えます」と、野口歯科医。日本人は、生まれ持った身体を、人工的に手を加えることに心理的な抵抗感を感じる人が多く、矯正をためらうことが多いとも言われる。

アメリカでは矯正は常識ということだが、まず成長期の子供の場合、7〜8歳の時点で受け口や出っ歯などの原因となる、骨の不正を良くするための「フェイズ1」矯正を行う。そして、11〜14歳で永久歯の歯並びを整える「フェイズ2」矯正を受ける。「成人でも矯正は十分できますが、矯正できる程度には限界があります。ですから成人の場合は治療範囲を限定し、かみ合わせを直したいのか、歯列を整えたいのか、ルックスを重視するのか、治療目的を明確にすることが重要」と、野口歯科医。

さて、実際の矯正だが、ワイヤーを使うブレースや透明なアライナーを使用する「invisalign」、その併用など、色々種類がある。「ワイヤーブレースは100年以上の歴史があり、依然として歯列の矯正には最も効果があります。しかし、特に成人の場合は、目立つのがイヤだったり、短期間で完了させたい、費用の制限があるなどの条件があります。ですから、我々歯科矯正の専門医は、患者さん自身もなかなか自覚できていない医療学的に必要な治療を行うと同時に、『こうありたい』という希望条件をしっかり聴き取ります。

最短で最大の効果を出せるよう選択肢を提示する、道案内人の役目をしています」と、野口歯科医は説明する。

気になる矯正期間とその費用だが、子供のフェイズ1矯正はおよそ2千〜3500ドル。成人の矯正だと、程度や地域差もあるが平均4千〜6千ドル程度、口腔外科治療が必要な場合は7千ドル以上となる場合もある。期間は、従来は2年から2年半かかっていたが、現在は技術の進歩により1年から2年弱まで短縮されているとのことだ。

「矯正は最初に自分に合った正しい治療プランを専門医と一緒に作ることが、時間と費用を節約する最大のカギです」と、野口歯科医はアドバイスする。


取材協力:
野口歯科矯正専門医
Shinichi Noguchi, D.D.S., M.S.

☎310・540・2113
4201 Torrance Blvd. Suite 430
Torrance
www.noguchiortho.com


《インプラント》

歯科矯正の技術と並び、技術的にここアメリカが世界のトップレベルなのが、インプラント。インプラントとは、抜歯した後の歯槽骨(あごの骨)にチタン製のネジ(デンタルインプラント)を埋め込み、ポストと呼ばれるネジで結合させ、クラウンをまるで自分の歯のように固定する技術。

1万5千件以上のインプラント臨床経験を持ち、インプラント専門医に技術講習なども行っている、トーランスのジェイソン山田歯科医に、インプラントの基礎知識を聞いた。

「入れ歯ですと、取り外してクリーニングなどのケアをしなければなりませんし、かみ合わせで不快感が出ることもあります。歯茎が衰退して作り直しをしなければならないこともあります。健康な歯と歯をつないで差し歯を入れるブリッジですと、健康な歯を削らなければなりません。そして、耐用期間が7〜8年程度ですから、不具合が出ればやり直しとなります」と、山田歯科医。

これら入れ歯、ブリッジの欠点を補うのがインプラント治療だ。「インプラントは、当院では35年保証を付けている程、耐用期間が長いのが特長です。また、あごの骨に埋め込んだインプラントは骨と一体化しますから、自分の歯で噛むのと、感触はまったく変わりません」と、山田歯科医は話す。

実際の施術の流れは、検査から始まる。X線でのチェックなどを念入りに行うとのこと。「歯周病があると、インプラントをしても周りの歯から抜け落ちてしまいますから、そちらの治療が先決」(山田歯科医)。あごの骨がインプラントを埋め込むには薄過ぎる場合は、人工骨を当てて厚みを出す必要がある。

インプラントを入れる施術は、1本20分程度。部分麻酔で行われ、親知らずを抜くのとそれほど変わらないという。インプラントが定着するのに、上あごで約3〜4カ月、下あごで約2〜3カ月かかる。定着後にクラウンとインプラントの間の土台となるポストをはめ込む。その後は、一般歯科医でクラウンをはめてもらえば終了だ。

インプラントは、山田歯科医のような専門医もいるので、手術とは言え安心できる。他と比べての短所は、耐用期間は長いが初期費用がかかる(クラウン別で1本2200ドル程度、人工骨施術は別)のと、治療時間は短いが、治療スパンが長いことが挙げられる。

「まずはインプラント専門医と相談して、インプラントを選択するのか、他の治療を選ぶのかを選択したら良いと思います」と、山田歯科医。


取材協力:
ジェイソン山田歯科医院
Jason Yamada, D.D.S., M.S.

☎310・320・5661
23000 Crenshaw Blvd. #202 Torrance
www.jasonyamadadds.com



《審 美》

白い歯が輝く笑顔が美の象徴というくらい、重要視されているのが歯のエステティック(審美性)。日米の歯科医師免許を持ち、美しい歯の実現のため、日々研鑽を積んでいるトーランスの歯科医、北誠一郎歯科医に一般的な審美治療について聞いてみた。

「審美歯科」とは、自然な歯の形や色を再現することを重視する治療のこと。

審美治療でまず挙げられるのが、虫歯の治療に用いられる詰め物。日本で虫歯治療をすると、目立たない奥歯は、銀の詰め物で治療されることが多い。それを自然な歯と同じ、白い詰め物に換える治療だ。治療料金は1本あたり、約150〜250ドル程度とのこと。

「ただ違う素材に詰め替えるだけの単純な治療に思われるかも知れませんが、治療部分に湿気があるだけで不具合が出たりします。しみたり痛みを感じたり、かみ合わせがおかしくなったり、場合によっては虫歯が拡大してしまうこともあります」と、北歯科医は話す。

次に挙げるのは、「ラミネートベニア」。付け爪のようにポーセリン(セラミック)の板を歯の表面に貼り付け、きれいな歯の形や白さを実現する施術だ。「ラミネートベニアは、ベニアを貼り付けるために、健康な歯の表面を削らないといけません。ですから抵抗を感じる方もいます。また、ベニアの耐用期間は大体5〜10年くらいですから、貼り替えが必要になります」と、北歯科医は説明する。施術料金は、1本あたり約800〜1200ドルとのこと。

そして、白い歯を実現するホワイトニング。ドラッグストアで購入できる「オーバー・ザ・カウンター」のホワイトニング剤は、近年急速に普及している。「日本では処方箋が必要なレベルの強力なホワイトニング剤も、こちらでは手軽に買えます。しかし、カスタムフィットではないので、ムラができたり、痛みを感じる程しみたりすることもあります」と、北歯科医は注意を喚起する。

歯科医で歯型を作り、ホワイトニングジェルを処方してもらって自宅で行うのが、ホームホワイトニング。そして、歯科医院でジェルを塗布してもらい、光線を当てて白くするのがオフィスホワイトニングだ。「歯の1本1本の表面を診断し、丁寧に塗布する歯科医の技術が必要となります。施術後は1〜2年は白さが保てます」と、北歯科医。料金は光線の照射とジェルの塗布回数によって異なるが、1回の施術の相場は400〜800ドル程度とのこと。

「審美歯科は、料金よりも内容を重視して選ぶことです。リサーチをして情報を事前に仕入れ、友人や知人にオススメの歯科医を紹介してもらうのも良いでしょう。『審美はアート』ですから、自分で納得できる良い審美眼を持ったドクターに施術をお願いすることです」と、北歯科医はアドバイスしている。


取材協力:
北歯科医院
Seiichiro Kita, D.D.S.

☎310・326・3600
3222 Sepulveda Blvd., Torrance



《自然な透明感を実現した審美技術》
「ジルコニア・クラウン」

他の健康な歯と同様、治療した歯も自然に見えるようにしてほしいというのは、治療を受けた者の切実な願い。最新の審美技術「ジルコニア・クラウン」では、健康な歯と同様の自然な仕上がりを実現している。その実体について、アーバインに医院を開業する佐藤規久歯科医に聞いてみた。

従来のクラウンは土台に金属を使っていて、その上にセラミックを焼き付けるという手法で作られている。その次の世代のクラウンは「オールセラミック・クラウン」と呼ばれ、土台と表面がセラミックで一体化した物だ。

オールセラミックになって審美性は向上したが、土台が陶材のため強度が弱かった。それを改善するために、強度と耐久性にも優れたジルコニアを土台に使った「ジルコニア・クラウン」が開発された。

「『ジルコニア・クラウン』は、透明感が得られ、光が当たった時に、クラウンと隣の健康な歯が同じ光の透過性で自然に見えます。」と、佐藤歯科医。

従来のクラウンでは、白い陶材が中間部では厚くなるが、根元に近くなるほど薄くなり、金属の土台の色が根元に見えるため、笑った時にクラウンの根元に黒い線が見える。これが従来のクラウンの最大の問題点だったが、オールセラミックと同様ジルコニア・クラウンでは土台が白色なので心配ない。特に人目が気になる前歯の治療では、従来のクラウンではなくジルコニア・クラウンが好まれるとのこと。また、土台に金属が使われていないので、金属アレルギーを気にする人にも向いている。

「ジルコニア・クラウンは、アメリカでは保険が適用されます。日本では従来のクラウンでさえ保険外治療。一般的に1本10〜12万円はかかります。しかしアメリカでは、従来のクラウン、オールセラミック、ジルコニアのどれを使っても、自己負担額は異なるものの保険対象です」と、佐藤歯科医は話す。

なお、佐藤歯科医は、ジルコニア・クラウン治療の際、ホワイトニングについても説明するそうだ。「前歯1本だけ白くなっても、多くの方は満足されません。『笑顔を作る』ということを基本に考え、最終的に患者さんに喜んでいただけるように事前によく話し合うようにしています」。


取材協力:
佐藤ファミリーデンタル
Norihisa Sato, D.D.S.

☎949-654-5554
4950 Barranca Pkwy. #110, Irvine
www.satofamilydental.com



(2009年3月1日号 掲載)