ライトハウス
Magazine Information

ライトハウスの特集

アメリカでの教育・進学、ビザ・法律、市民権・永住権、観光・レジャー、求人・仕事、グルメ・レストランなど、現地情報誌「ライトハウス」の過去の特集をご紹介。

夢を実現させた経営者たち(4)

Lighthouse編集部

独立・起業はアメリカンドリームの1つでもあり、日本よりもはるかに一般的だ。しかし、いざ起業しようとしても、不景気な昨今では相当の勇気が必要。ためらう人も多い。今回は、そんな時だからこそ、独立・起業した経営者たちに、彼らの軌跡や今後の展望を前向きに語ってもらった。


映像制作プロデューサー
小林和範さん

NOSCO USA INC.社長
愛知県名古屋市生まれ。信州大学教育学部卒業後、語学研修のため渡米。カレッジでブロードキャスティング・ジャーナリズムを学び、映像制作の仕事へキャリア変更。96年にNOSCO USAを立ち上げ、映像企画・制作・コーディネート業務を展開する。

会社名:NOSCO USA
業務内容:映像企画・制作・コーディネート業務、広告代理店業務
従業員数:5人
創業年:1996年
ウェブサイトwww.noscousa.com



起業のきっかけ

英語教師になるため日本で教員免許取得後、語学研修のため渡米しました。当時は、子供たちに感動を与えられるような教師を目指していましたが、テレビという媒体を使って良い番組を制作すれば、より多くの人に感動を与えることができると思い専攻を変更しました。カレッジ卒業後は、インターンやフリーランスで番組制作の基礎を学びました。

フリーで仕事をしていた時、日本のテレビ制作会社社長に気に入ってもらい、起業するならサポートしようと言われました。会社を持つことで経営を学び、より大きな仕事に挑戦したいという気持ちがあったので、そのチャンスをしっかり掴もうと思いました。当時は自分1人で仕事をこなし、フリーランスのスタッフを使うというスタイル。プロジェクトによっては前金で制作費の一部がもらえるので、それを上手く回転させることができ、運良く大きな資金を必要とはしませんでした。会社設立には、半年くらいかかったと思います。


ビジネス運営のプロセス

今では笑い話ですが、当時アメリカで最大手の制作会社で、デビッド・フィンチャーやマイケル・ベイらの有名監督を多数抱える会社に、ダメもとで飛び込んだんです。そんな大きな制作会社でも、日本語を話せるスタッフがいるわけじゃないので、社長に自分をセールス・レップにしてくれと懇願しました。3度目の交渉の結果、OKが出たのです。その後、すぐに日本に行き、代理店や制作会社で営業をしました。大手制作会社のレップということで色んな人に会うことができましたが、間もなく、その会社が倒産。そして、連絡先を失った日本の代理店が私に仕事を依頼してきたのです。大きな会社の看板を失ったわけですが、あの時ほど自分の力を試されたことはありません。目の前にある仕事を誠実に丁寧にこなした結果、仕事が入るようになりました。

同時にアメリカで仕事をする難しさも学びました。以前、B'zのミュージックビデオを手掛けた際、アメリカの大手制作会社に依頼したのですが、撮影の直前になって制作費をつり上げてきたのです。しかし、土壇場での不当な要求に屈するわけにはいきません。そこで日本側を説得し、別の会社とディレクターを探しました。その時出会ったのが、まだ新人だったマーク・ウェブ。今ではMTVで監督賞を多数獲得する有名ディレクターの一人です。才能あふれる新人監督と小さな制作会社でも、誠心誠意全力を尽くしてくれたスタッフのお陰で素晴らしい作品ができたのです。

この例で、アメリカで仕事をする上で契約がいかに大事か思い知らされました。そのほか、映像使用の権利を明確にしたり、事故や機材の故障に備える保険に加入することが、制作会社の大きなリスクマネージメントとなると思います。このような理不尽な話はよくありますが、仕事の大小に関わらず、筋が通らない仕事はしたくないんです。常に誠意を持ち、筋を通してきたプライドがあるからだと思います。こんな性格なので商売は下手ですが、色々な人に助けていただき、番組制作やコーディネーションに留まらず、広告代理店業務やイベント運営など色々な方面の仕事が入るようになりました。

仕事をする上でユーモア精神も大切にしています。「ユーモア」は現場の潤滑油になり、スタッフの雰囲気も良くなり、良い結果を生むことが多いからです。



独立の喜びと苦しさ

自分が手掛けた番組や作品を多くの方が観て、感動してくれた時が1番うれしいですね。

それは私が教師から職種を変えた動機でもあるからです。小さな会社でも従業員を抱える責任の重さは常に感じています。でも、それは集団の強さにもなるし、従業員に教えられることも多いので日々勉強です。



これから目指すこと

日本だけでなく、アメリカでもエンターテインメント、教育、環境分野でのイベントを企画したり、人々に感動を与えられる番組や作品を制作したいと思います。



《成功のポイント3カ条》
1 誠心誠意
2 情熱
3 ユーモア



キャリアパス
----------------------------------------------------------------------------
1990年 信州大学教育学部卒業後、
     語学研修のためUniversity of California, Irvine校へ入学
1991年 Orange Coast CollegeのBroadcasting Journalism科に転入
1993年 同校修了後、ロサンゼルス国際学園小学校教諭を務める
1994年 一時帰国し再渡米後、映像分野でのインターン、
     フリーランスとして経験を重ねる
1996年 NOSCO USA INC.設立