アメリカでのバイリンガル教育

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子供にバイリンガルになってほしいという思いは、どこに住んでいても親の共通の願いであるのに変わりない。だが実際にアメリカに住んでみると、バイリンガルの壁は想像以上に高いことに気づく。特に情報過多の現在では、さまざまな情報に振り回されがちだ。そこで各分野の専門家にバイリンガル教育の実態について話を聞いた。
(ライトハウス・ロサンゼルス版 2005年5月16日号掲載)

バイリンガルとは?

モノリンガル×2ではない完全なバイリンガルは稀

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バイリンガルという言葉が市民権を得て久しいが、近頃では「セミリンガル」や「バイリミテッド」などという新語まで登場し、単に2カ国語が理解できるだけでバイリンガルとは呼べない、という風潮すら出てきた。そこでまず、バイリンガルの定義について、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校、アジア‐アメリカ研究学部で日本語教育を専門とする教育学博士・ダグラス昌子助教授に話を聞いた。

「バイリンガルというのは、単純にモノリンガルの力×2ではありません。完全なバイリンガルというのは、2つの言葉が話されている国に同時に住んで、2つの言葉も文化も同時に習得していて成り立つものです。ですので、あくまで理想ではありますが稀と言えます」。

バイリンガルと言っても、例えば言語AとBの言語力が同じ強さで存在するわけではなく、シチュエーションによって言語Aが強くなったり、言語Bが強くなったりするのだと、ダグラス助教授は話す。家庭で話す言葉はA、学校で使う言葉はB、という場合などがその例だ。

バイリンガルにもいろいろなタイプがある。国際結婚などで両親の第1言語が違う場合に、生まれた時から2言語で同時出発するのが「同時バイリンガル」。両親とも日本人だけれど、プリスクールで英語の環境に入るなど、3~4歳頃に第2言語が時期を外して入ってくるのが「早期継起バイリンガル」。5歳以降に第2言語が入ってくるのが、「後期継起バイリンガル」と呼ばれる。

また第2言語で話を聞くことはできるけれど、話すのが難しいケースを「聴解型バイリンガル」、日常会話程度の話ができるのが「会話型バイリンガル」、両語とも読み書きできるのが「読み書き型バイリンガル」になる(注:バイリンガル研究者・中島和子教授の分類)。

こうして見ると在米日本人の大多数が、タイプの違いはあっても何らかの形でバイリンガルであることがわかる。何も日英両語でビジネスまでこなす言語力を持つ人だけを、バイリンガルと規定するわけではない。要は種類の違いなのだ。だがアメリカに住みさえすれば、誰もが日米両語ペラペラになるわけではないのも事実。

「日本で『アメリカに駐在が決まった』と言うと、『いいですね、日米両語が上手になれて』などと言われますが、アメリカに行けば何とかなる、というものではありません。家で日本語を使い、学校では英語で勉強していても、自然にバイリンガルになるわけではなく、保護者と教育機関が意図的に介在してなるものです」(ダグラス助教授)。

個人の能力や性格に加えて、社会におけるその言語のステータスも影響力が大きいとダグラス助教授は指摘する。ステータスの低い言語は、たとえ母語であっても子供は捨ててしまう。そこで次章では、日々の生活でどのようなことに親が気をつければ良いのか、バイリンガルな子供に育てる際の心構えを、子供の年齢や家庭環境などに照らし合わせて考えてみよう。

幼児と小学生の対応の仕方

「ぼうふら現象」は親子のコミュニケーション欠如から

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両親が日本人で、アメリカ生まれ、あるいは乳児期に渡米した場合、両親が日本語を話すので、生まれて最初に覚える言葉は日本語。どこで英語を取り入れるかがポイントになるが、就学時における子供の負担を少なくするために、第1言語の発達の基礎時期(5歳ぐらいまで)を過ぎてから、プリスクールなどで徐々に英語に慣らしていくのが良いようだ。その際には、先生に「日本語だけで育ててきたので、英語はわかりません」と事情を説明し、友達はできたか、楽しくしているかなど学校生活の様子を知らせてほしいと頼んでおこう。

ただし慌てて英語を覚えさせようとして、家庭で会話に英語を混ぜるのは禁物だ。家ではあくまでも日本語で通すのが肝心。それは就学年齢で渡米してきた場合にも当てはまる。

「最近は現地校でもESLで、バイリンガル教育のトレーニングを受けた先生が多くなりました。以前はトレーニングを受けていない先生に『英語が弱いので、家で英語を使うように』と言われることがありました。すると親は慌てて、会話に英単語を混ぜ、構文は日本語、単語は英語という日本語でも英語でもない、どちらにも属さない言葉を使うといったこともありました。英語と日本語は使い分けることが大切で、会話に両語を混ぜるのは危険です」(ダグラス助教授)。

現地校に通っていると英語は自然と強くなるので、家では日本語と決めたら、何があっても日本語で通す。親が英語と日本語をミックスするのは避けるべきだと、ダグラス助教授は訴える。

英語でもない日本語でもない、何を言っているかわからない状態を「セミリンガル」と呼ぶ。子供の場合、一時的にセミリンガルになることは珍しくない。「年少の場合、周りの人間がその言語でコミュニケーションすることで、年齢相応の言語力に戻る」(『言葉と教育:海外で子供を育てている保護者の皆様へ』[海外子女教育振興財団]・『バイリンガル教育の方法』[アルク]・共に中島教授著)と指摘している。今年は日本、来年はアメリカというような極端な生活をしない限り、一時的にセミリンガルになることはあっても、永続的に続くことはほとんどないとのこと。それよりも怖いのは、「ぼうふら現象」(カニングハム公子の研究)と呼ばれるコミュニケーションの欠如からくる症状だ。

「ぼうふら現象とは、幼稚園くらいの年齢の子が、日本語でもなく英語でもない言葉をブツブツつぶやく症状を言います。これはセミリンガルの極端な例ですが、周囲とのコミュニケーション不足によって、子供が日本語との接触の極端に少ない状態で起きる現象です」(ダグラス助教授)。

小学生では何が大切か見極めることも必要

バイリンガル子育て03_ダグラス助教授

「バイリンガルはすべてがバラ色ではありません」(ダグラス助教授)

小学生で渡米した場合、現地校に入り、突然英語での学校生活が始まる子供たちのストレスは計り知れない。土曜日の補習校はこのような子供たちにとって有益だと、ダグラス助教授は指摘する。

「週に1度でも日本と同じ環境に戻ることができる補習校は、子供にとってホッとできる場所になります。また日本語で話ができる友達もできる。そういう環境に子供を置いてやることも大切です。補習校に入れたから英語の習得が遅くなるというデータはありません。子供に言語の使い分けを教えるのは、家に入る時に靴を脱ぐのと同じ要領だと考えれば良いでしょう」。

バイリンガル教育における原則は、1人1言語。母親が日本語ならすべて日本語、父親が英語ならすべて英語で通すことが肝心だ。だが国際結婚の場合はどうすれば良いのだろう?例えば母親が日本人だと、子供との会話は日本語で通せるが、夫が日本語を話さない場合、夫婦の会話は英語になる。それなのに母子の会話を完全に日本語で通してしまうと、家族全員が揃った時に、母子の会話を夫が理解できず、夫をコミュニケーションから除外することになってしまう。

「父親がいない時は日本語で、父親がいる時は英語で、とシチュエーションで使い分けるようにしましょう。日本語の伸びは低くなるかもしれませんが、日本語を話す友達を探すとか、別の方法で補うようにすれば良いのではないでしょうか」(ダグラス助教授)。

日本語のマンガやゲームなども、日本語との接触や日本語を使うという動機付けをするために有効。ゲームの攻略本は日本語の物しか与えない、英語のテレビは1日1時間だけだが日本語のテレビは1時間以上でもOKというような工夫をしている家庭もある。

またダグラス助教授は、日本語の本を読み聞かせるのも非常に大切だと強調する。日本にいる子供でも、日常会話にない語彙は本から学ぶ。次はどうなるのだろうと仮説を立てたり、話の筋を追ったりなど、本を読むことは認知力発達に貢献し、それが学校での学習の基礎作りにもつながる。

「私はいつも日本語と英語の習得は、相撲の土俵での競り合いだと言うのですが、子供が英語を話すから、日本語だと時間がかかって面倒と、ついつい押されてしまうと、日本語の習得はそれまでです。低学年の頃までは1日に何回も『日本語で』と繰り返すことになりますが、親ががんばって辛抱強く使い通さなければなりません」(ダグラス助教授)。

子供の日本語レベルに対する親の期待度の違いで、同じ日本語を話す両親であっても、子供のバイリンガル度に差が出る。日本語は「日常会話がわかればいいレベル」を期待するのか、「仕事に使えるレベル」を期待するのかで、おのずと親からの支援の度合いも異なってくる。また、それぞれの年齢に合った親の努力が必要で、それは大学に入るまで続けなければならないとダグラス助教授は強調する。長期にわたる、親の根気強いサポートが必要なのだろう。

学習言語の変化に伴う弊害

英語での学習言語力は伸びるのに5~11年

バイリンガル子育て04

子供のバイリンガル教育においてもう1つ注意しなければならないのは、家族関係や学習能力に悪影響が出る危険性をもはらんでいる点だ。第2言語で教育を受けるということは、言語の習得以外にも影響をおよぼす。

言葉の力には2種類あり、1つは会話力で、もう1つが学習言語力だ。会話力と学習言語力の習得には差があるため、在米期間が短い場合は、現地校へ入れるのか日本人学校に入れるのか熟慮したい。また親と子の第1言語が違うために生じる落とし穴もある。ダグラス助教授によると、アメリカで英語を第2言語として習得する場合、3~4年もすると会話においては「この子は英語がわかるようになった」と思えるが、英語の学習言語力が伸びるにはさらに年数が必要だそうだ。第1言語での就学経験が2~3年あると、学習言語力が伸びるのは5~7年、就学経験がなければ7~11年かかるというウェイン・トーマス博士とバージニア・コーリア博士の研究結果もあるという。

例えば小学校3年生で渡米して5年後に帰国するケースでは、英語は話せるようになっても学習に必要な英語の力は伸びず、また日本語での学習言語力も日本にいる同年齢の子供と同レベルにならない状態で帰国することになる。駐在員家庭にとって、これは深刻な問題だ。

「日本の企業は、小さい子供の方が適応が早いだろうという理由と、年齢が上になると受験もあるため、高校生の子供を持つ家庭よりも小学校低学年の子供を持つ家庭を派遣しがちです。これは教育の観点から考えると問題があり、低学年は日本語を学習言語の背骨にしなければならない時期なので、日本で学校に行く方が望ましく、高校生ならすでに背骨ができているので、最初は苦労するかもしれませんが、低学年での言語環境の変化に比べると学習言語の発達は早くなります」(ダグラス助教授)。

ダグラス助教授は、ジム・カミングズ博士のバイリンガル研究者の言葉を借りて、「言語は氷山の一角のようなもの」だと言う。水面に出ている一部が日本語であり、別の一部が英語なのだとか。水面に出ている部分は違っても、水面下では同じ氷山を共有している。言語もそれと同じで、言語の根底にある力、水面下の共有部分に当たる根本的な認知力は、日本語でも英語でも共通のもの。この認知力が1つの言語で確立していると、もう1つの言語に移行できる。だが根本的な認知力を養う時期である低学年で言語環境が変わると、在米期間に両言語での認知力が伸びないので、帰国した時の負担が大きくなる。

「バイリンガルが、すべてバラ色ではないことを知っておく必要があります。世間では成功している例ばかりが目に付きますが、そうではないケースもあります。子供が低学年で渡米し、5年で帰国することが決まっている場合、もし私の子供なら、日本語の発達を重視して全日制の日本人学校に入れますね。そうすると帰国後に軟着陸できますから」(ダグラス助教授)。

渡米時や帰国後の適応力には個人差がある。子供の性格や能力なども要因になるので一概には言えないが、高校で渡米するケースに比べて、小学校低学年では危険性が高くなるという事実は知っておきたい。子供の言語の背骨が親と違うと、学力以外にもさまざまな弊害が出てくる。思春期の大切な時に、子供とコミュニケーションが取れなくなる可能性は無視できない。そういった症例は数多くあるとダグラス助教授。

「移住1世で生活に追われている家庭では、親が共働きで仕事を掛け持ちしたりして家にいないケースが多々あります。子供が高校生くらいになって友達との付き合いが増えると、第1言語ができなくなってしまい親子のコミュニケーション断絶が起きるケースも少なくありません。うまくバイリンガルに育った子は、思春期にアイデンティティーを失わずに過ごせますが、親とコミュニケーションができない子供は、非行に走りやすいとも言われています」。

言語能力はスポーツと同じ。1度覚えたスキルは忘れない

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よく「母語を大切に」と言うが、2カ国語を使い分ける子供にとって、どちらが母語になるのだろう。生まれて初めて覚えた言語が母語というのが専門家の定義ということだが、ダグラス助教授はこう付け加える。

「日本で育つ日本人の子供のようにモノリンガルの環境では、子供の時の第1言語が母語で1番強い言語、それが生涯続いていきます。英語での生活が長くなるにつれ、英語は2番目に覚えた言語だが1番強い言語、日本語は母語だが2番目に強い言語となり、放っておくとそのうち日本語はなくなってしまいます」。

また駐在家庭の悩みの1つにあるのが、帰国後の英語力の維持だ。せっかく苦労して身につけた英語も、年齢が低いほど忘れ去られるのも早い。英語環境から長期間遠ざかった子供たちが再び英語を習得する場合に、幼い頃の記憶はいくらかのメリットがあるのだろうか。

「言語のスキルはスポーツのスキルと同じです。使わないとすべて忘れてしまうのかというと、そうでもないという研究結果があります。再びどの程度習得できるようになるかは、子供のレベルや努力によって個人差がありますが、ゼロから学ぶ子と比べると習得スピードが違うと報告されています」(ダグラス助教授)。

ただし言語は子供の発達と同じように個人差があるとダグラス助教授。「子供の発達すべてにおいて言えることですが、人と比べてはいけません。その子のペースで進むことが重要なのです。子供は前から引っ張るのではなく、後ろから押して育てる。それを心掛けておきましょう。バイリンガル教育に関しては、第一人者の中島和子教授の著書、『言葉と教育:海外で子供を育てている保護者の皆様へ』(海外子女教育振興財団)と『バイリンガル教育の方法』(アルク)に詳しい説明がありますのでぜひご一読ください」。

ダグラス助教授の話にもあったように、子育ては気が遠くなるほどの根気を必要とする。子供が育つのを後ろから見守ることほど、難しいことはない。親であれば、ついつい口を挟んでせかしたり、子供のささいな進退に一喜一憂しがちだ。2カ国語を自由に操ることができれば、それは素晴らしいことに違いない。だが日本では、バイリンガルの成功例ばかりに脚光が当たっているのも事実。またモノリンガルの国・日本では、バイリンガル教育の実態を把握し切れていないという現状もある。バイリンガル教育を考える前に、子供に何を期待するのか、子供が何に向いているのか、また家族にとって何が大切なのかを、家族で一緒に考えることも必要なのではないだろうか。

子供の負担とストレス

言語の発達も考慮に無理せずできる範囲で

「言語力が普通か、それ以上の子供はバイリンガルに挑戦しても問題ありませんが、言語の発達の遅い子供がいるのも事実で、そういった子供はチャレンジしてもストレスが増えるだけです」と語るのは、臨床心理学者のスティーブ小林博士。

通常、1歳頃には「パパ」「ママ」などの簡単な単語を発するようになり、2歳くらいには文を話し出し、3歳になると流暢に話すようになる子供もいる。ところが言葉の発達の遅い子が3歳頃にようやく言葉が出るようになったとしても、6歳の時点で専門家が調べるとやはり1~2年の遅れが認められるという。原因はさまざまだが、言語の発達が遅い子供にとってバイリンガル教育は普通以上に負担になる。そういう場合は言語を1つに選択する必要がある。

「駐在であれば、言語の発達が遅い子供はバイリンガルにこだわらずに、日本語に絞った方が良いでしょう。永住であれば英語を。家で日本語を話しても良いのですが、絶対に日本語と決め付けるのではなく、できる範囲で良いのではないでしょうか」(小林博士)。

またバイリンガルは必然的にバイカルチャーになるため、将来的にバイリンガルとしてのアイデンティティーを確立していく必要があると言う。

「両文化の架け橋になれるような社会の場を見つければ幸せですが、モノリンガルの社会にいては、せっかくの才能も発揮できません。バイリンガルは自分の才能を使える場を見つけた時に活かせるのです」(小林博士)。

では、小学生で渡米して、ある日突然、現地校に入れられる子供は、心理的にどんな影響があるのだろう。

「現地校に入るということは、大きな壁を乗り越えて知らない世界に入ることです。うまく適応できないと、言葉数が少なくなり、家では話しても学校では話さなくなります。英語を拒絶するパターンで、小学生に見られる症状です。反動で日本の文化を取り入れるようになり、ますますアメリカは嫌だと偏る子もいます」(小林博士)。

「よその子は2年経ってESLクラスから出て行ったのに、なぜうちの子は出られないのか」という場合には、精神的な問題がないか気を配ってみよう。能力はあっても、英語は嫌だという気持ちが強くて学べないため、精神的な問題が英語の習得に影響を及ぼす場合もある。その場合は精神問題を治すか、バイリンガルは忘れて日本語に集中した方が子供の負担を軽減できる。

帰国後の犠牲者も多い。肯定するのが成功の秘訣

バイリンガル子育て06_小林博士

「バイリンガル教育に向く子と向かない子がいます」(小林博士)

在米期間が長くなると、日本語を拒絶することがある。滞在が長いと子供はティーンエージャーになるため、反抗期に突入する。親に話をする時も英語しか使わなくなり、親が日本語で返事をしても、理解しているのに英語で続ける。その子にとって日本語を話さないのは、反抗期の作戦の1つだと小林博士は言う。

「反抗期は成長過程に避けて通れないものですが、一般的な反抗なのか程度がひどいのかは、親子の人間関係によるところが多いのです。離れていく必要性を認めずにコントロールし過ぎると、反抗もひどくなります。英語しか話さないのは、親と差をつけるための手段なのです」。

また国際結婚の場合は、生まれながらにバイカルチャーな環境で育っているため、国際的な自己の確立が必要だ。「両言語や文化、考え方を肯定できれば良いのです。自分の中にある半分の価値観を認められない状態は、本人にとっても辛いことです。両文化と言語を使って、それを肯定し、楽しめるようにするのが、真のバイリンガル教育ではないでしょうか」(小林博士)。

バイリンガル教育で子供を犠牲者にしないためには、親の理解が不可欠。「自分で自信を持っている内容が否定されると、気力も抜けるし、希望も失います。反対に子供の価値観を個性と受け止めて肯定してやると、成功するケースがあります。在米中も日本文化を維持し、里帰りするなどして日本との架け橋を作ると同時に、帰国後のサポートも重要です」と小林博士は話す。

子供がどの程度順応できるかは、親の適応性も影響する。親がアメリカは嫌だと思っていると子供も同じようになってしまう。親が帰国後、早く日本人のように振る舞わなければと焦ると、子供もそれを敏感に感じ取ってしまう。

帰国後の適応は、大学に留学した大人でも容易ではない。バイリンガル教育が必要以上に子供の負担になったのでは本末転倒。だが、成功例も数多くある。それぞれの子供に合った方法で、持てる力を伸ばしてやりたいものだ。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2005年5月16日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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