やる気の育て方

船津 徹(TLC for Kids代表)

「うちの子は何事にもやる気がありません」。小学校3~4年生頃の子どもを持つ親の相談を受けることが多くあります。もともと、この子どもたちにやる気がなかったかというと、そうではありません。幼い頃は、遊びも学びもやる気満々で取り組んでいた子どもたちです。
 
日本語と英語、日本とアメリカ。二つの言葉と文化の中で生きる子どもたちは、親の想像以上に多くの挫折、困難、苦労、ストレスを経験します。そして障害にぶつかる度に自信が削られ、そうした経験が積み重なると、学校に行っても家に帰っても、楽しいことがないと感じるようになるのです。
 
人のやる気は楽しさから生まれます。楽しさは、自分の価値を周りが認めていると気付いた時に大きくなります。まずは親が子どもの「強み」「良い面」を発見して引き出してあげましょう。どんなささいな面でもいいので、見つけたら大げさに認めて、褒めてあげてください。

子どもを信頼して頼る

親が子どもを必要として頼りにすると、子どもは自分の力を認めてくれるお父さんやお母さんを強く信頼するようになります。この信頼が、子どもの心に自信を復活させます。人は、社会や他人に必要とされる働きをして感謝されたとき、心が満たされます。そして、社会や他人が必要とする知識と技術を磨くことが勉強や習い事の意味だと分かると、やる気が大きくなっていきます。
 
もっと家事や雑用の手伝いを子どもに頼みましょう。そして「◯◯ちゃんがいて助かったわ!」と大げさに喜んでください。子どもはそうした対応をするお母さんを信頼します。自分を必要としてくれるからです。英語が苦手な保護者は子どもに通訳を頼みましょう。そして助けてもらう度に「本当に頼りになる!」と感謝の気持ちを伝えてください。
 
また子どもを頼りにするだけでなく、親も子どもをサポートしてあげてください。現地校の勉強で苦労していたら、家庭教師を雇ったり、塾に通わせたりしてサポートしましょう。英語力を身に付け、現地校の授業についていくことは子ども一人の努力では困難です。親がサポートすることで、子どもは「必ずお母さんやお父さんが助けてくれる」という安心感を得ることができます。

親子の雑談を増やす

家庭では親子の会話に注意しましょう!小さい時は何げないおしゃべりを楽しんでいたのに、小学校高学年になる頃からだんだん親子の会話が少なくなっていきます。もともと親子の会話というのは雑談や世間話がほとんどなのですが、子どもが成長するにつれ、親子の何げない日常の会話が減っていくのです。
 
その一方で「宿題やったの?」「勉強はうまくいっている?」「今日は誰と遊んだの?」「何時に帰ってくるの?」という尋問が増えていきます。親の話に、子どもに共感しようという姿勢がないと、会話が徐々に指示や指図調になり、子どもは会話を嫌がるようになります。
 
「今日、ママお財布忘れちゃって大変なことになったの」という、どうでもいいような話題を話すことを心掛けましょう。子どもの気持ちと、お母さんの気持ちが共感できる雑談を増やすと、子どもとの会話が増えます。雑談は子どもの心をリラックスさせ、気持ちを楽しくします。もっと親子の雑談を増やしましょう。

スキンシップを増やす

子どもの自信を回復させ、やる気を高める特効薬が、スキンシップです。お父さんやお母さんに抱っこしてもらったり、頭をなでてもらったり、足をマッサージしてもらったりすると、子どもは安心します。そして、肌の触れ合いを通して心地良い刺激を与え続けると、子どもの心は明るく楽しくなります。子どもがふさぎ込み、元気がないときには、やさしく抱きしめたり、マッサージをしてあげたりしてください。それだけで気力が充実し、やる気が戻ります。
 
(2017年2月1日号掲載)

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