読み書きの力をつける

船津 徹(TLC for Kids代表)

バイリンガル子育ての落とし穴に「英語の読み書きの力」があります。「現地校に通っていれば学習に必要な英語力は身に付くだろう」と、家庭でのサポートを怠ると、満足な読み書きの力を身に付けることができず、学業に遅れが目立つようになります。子どもが身に付ける英語力には「生活英語力」と「学習英語力」があります。「生活英語力」は日常生活で必要な英会話力。「学習英語力」は現地校の授業で要求される読解力、論理的思考力、ライティング力など、高度な認知と思考を伴う英語力です。
「生活英語力」は英語ネイティブとの関わりの中で獲得する力で、現地校に2~3年通えば大抵の子どもは身に付けることができます。社交的な子どもほど早く身に付きますから、家庭では社会性を重視した子育てと環境作りを心掛けましょう。
一方、「学習英語力」は現地校に何年通っても自然に身に付くことはありません。先生の指導や親のサポート、そして子ども自身が努力して獲得する力です。英語を第二言語で学ぶ子どもの学習英語力が、その子どもの学年レベルに達するには5~10年必要と言われています。

 

サイトワーズを教える

読み書きのサポートは「読む力」からスタートします。読む力を育てる特効薬が「サイトワーズ」と呼ばれる頻出単語を教えることです。アメリカで最も一般的なのが「Dolch SightWords」と呼ばれる220語のリストです。インターネットで簡単に手に入りますから、リストを子どもの目に付く場所に張っておきましょう。 サイトワーズは一目で認識できる(読める)ように訓練することが大切です。フラッシュカードやスマートフォンのアプリなどを利用して瞬時に読めるように練習しましょう。サイトワーズは読めて、正しく書けるようにサポートしてください。 「Dolch Sight Words」の次は「DrFry’s 1000 Instant Words」と呼ばれる1000単語の習得に取り組みます。Dolchリストと重複する単語が含まれますが、復習と捉えてください。1000単語が読めて、書けて、意味を理解させましょう。

 

簡単な本を多読させる

サイトワーズを覚えると簡単な本が読めるようになります。でもまだ読む力は十分に身に付いていません。英語の本をストレスなくスラスラと読めるようになるまで、家庭でも積極的に読書をしましょう。子どもが読書力を身に付けるには簡単な本の多読が効果的です。難し過ぎる本を与えると本嫌いになるので注意してください。抵抗なく英文を読めるようにすることが目的ですから、簡単過ぎるくらいが適切なレベルです。本は教育的な内容のものである必要はありません。子どもが楽しめる本を見つけましょう。 英語の本には読書レベル(例:小学1年はRL1)が記載されています。親子で図書館に行き、読書レベルを確認した上で本を借りることを習慣にしましょう。読書レベルがはっきりしない場合、最初の数ページを読ませてください。1ページに読めない単語が4~5個以上ある場合、難し過ぎる内容なので多読には不向きです。

 

英文法を教える

書く力を育てるには「文法の指導」が効果的です。日本の小学校で日本語の文法を詳しく教えないように、現地校でも文法はあまり指導しません。日常会話や読書を通して基礎文法は身に付くと思われているからです。しかしバイリンガルの子どもは正しい文法ルールを知らないケースが多いのです。文法は、日本語の文法教科書でなく英語のワークブックを使って教えましょう。ワークブックは「Scholastic」や「Spectrum」など、定番のもので構いません。主語、述語、冠詞、前置詞などの難解な日本語より、英語で教えた方が子どもにとって理解しやすいのです。文法ルールを覚えると書く力がグンと向上します!
 
(2017年3月1日号掲載)

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