アメリカ大学進学ガイダンス

将来のキャリアステップであるアメリカ大学進学について、サンフランシスコ・ベイエリアを拠点に、中・高校生の進学指導や大学生・大学院生のキャリア指導を行う教育コンサルタントが、大学進学の準備から、日本の大学との違い、奨学金制度などについて解説します。
 
コラムニスト:原田 誠
三菱総合研究所のコンサルタントを経て、渡米。進学とキャリアのコンサルタントとして、グローバルな活躍を目指す学生の指導と育成に携わるとともに、教育機関向けのコンサルテーションや講演活動を行っている。 筑波大学第三学群基礎工学類卒業、フロリダ大学ウォリントン経営大学院MBA修了。

原田 誠
原田 誠◎MACS Career & Education代表

ライトハウス電子版アプリ、始めました

コミュニティーカレッジの復活

(2024年3月号掲載) 減り続けた学生数 近年、大学に進学する学生は減少傾向にありましたが、2023年秋は増加に転じました。パンデミック以降、コミュニティーカレッジに進学する学生が大幅に減りましたが、23年秋は2.6%増と、わずかながら上向いています。 パンデミックを機に、難関大学のアプリケーションが急増し、アメリカの大学全体が活気づいていると思われがちで … »アメリカ大学進学ガイダンス「コミュニティーカレッジの復活」の続きを読む

外国人留学生のトレンド2024

(2024年2月号掲載) IIE(国際教育研究所)によると、2022-23年度のアメリカの高等教育機関の留学生は105万7188人で、これは全学生数の5.6%を占めています。 多様性を高める留学生 アメリカの大学にとって、留学生は極めて重要です。どの大学も、アメリカ人学生とは異なるカテゴリーで留学生のアドミッションを行い、優遇します。 留学生は、大学の多様性 … »アメリカ大学進学ガイダンス「外国人留学生のトレンド2024」の続きを読む

2023-24年度の大学アドミッション速報

(2024年1月号掲載) 2023-24年度のアドミッションは、12月までにEarly Admissions(早期出願)がほぼ締め切られ、アドミッションサイクルの終盤を迎えました。アメリカ連邦最高裁判所が、23年6月28日に「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」は合衆国憲法に違反すると判断してから、初めてのアドミッションです。アドミッションで … »アメリカ大学進学ガイダンス「2023-24年度の大学アドミッション速報」の続きを読む

AIを使ったエッセイ作成と大学の入学審査

(2023年12月号掲載) 2022年11月にChatGPTが一般ユーザーに公開されて以来、AI(Artificial Intelligence)は、大学のアドミッション担当者にとって関心事となりました。生成AI( Generative AI)で作ったアプリケーションをどう評価すべきかという課題に加え、アドミッション担当者自身が、AIを活用して業務の効率化を … »アメリカ大学進学ガイダンス「AIを使ったエッセイ作成と大学の入学審査」の続きを読む

Common App 2023-24(2)アプリケーション・エッセイ

(2023年11月号掲載) 近年は複数の大学で共通で利用できるアプリケーション・サービスを採用する大学が増え、中でも、最も多くの大学で採用されているのがCommon App(コモン・アプリケーション)です。 出願書類の中で最も重要なのがエッセイで、Common Appでは、パーソナル・ エッセイとアディショナル・インフォメーションの2種類があります。この二つ … »アメリカ大学進学ガイダンス「Common App 2023-24(2)アプリケーション・エッセイ」の続きを読む

Common App 2023-24(1)アファーマティブ・アクションの対応

(2023年10月号掲載) 2023年8月から、Common App(コモン・アプリケーション)が新年度に切り替わりました。24年秋入学を目指す12年生が対象となります。 アメリカの大学では、出願をオンラインで受け付けるのが一般的です。近年は複数の大学で共通で利用できるアプリケーション・サービスを採用する大学が増え、最も多くの大学に採用されているサービスがC … »アメリカ大学進学ガイダンス「Common App 2023-24(1)アファーマティブ・アクションの対応」の続きを読む

混迷を深めるカレッジスポーツ

(2023年9月号掲載) 2023年8月4日、アメリカを代表するカレッジスポーツのカンファレンス(競技連盟)のひとつであるPac-12が、事実上崩壊しました。この日、Oregon、Washington、Arizona、Arizona State、Utahの5校が、Pac-12から他のカンファレンスへ移籍することを発表したのです。すでに移籍を決めたUCLA、U … »アメリカ大学進学ガイダンス「混迷を深めるカレッジスポーツ」の続きを読む

アドミッションテスト最新情報2023-24年版

(2023年8月号掲載) 2023年3月、アイビー・リーグのColumbia Universityが、今後も永続的にテストオプショナルを続けると発表したことに注目が集まりました。アメリカの大学では、入学審査の際にACTまたはSATの成績の提出を求められる場合があり、これらのテストは、アドミッションテストと呼ばれています。アドミッションテストが出願要件の場合、 … »アメリカ大学進学ガイダンス「アドミッションテスト最新情報2023-24年版」の続きを読む

非永住学生の大学進学(2)奨学金の獲得方法

(2023年7月号掲載) 前回、アメリカに非永住ビザで滞在している学生が、アドミッションで優遇されることについてお伝えしました。市民権や永住権を持つ学生と比べて、非永住ビザの学生は合格しやすくなると共に、より多くの奨学金が大学から提示される可能性があります。ただし、非永住学生が奨学金を獲得する方法は、アメリカ人学生と少し異なります。今回は、学費を考慮した非永 … »アメリカ大学進学ガイダンス「非永住学生の大学進学(2)奨学金の獲得方法」の続きを読む

非永住学生の大学進学(1)日本人学生の価値

(2023年6月号掲載) 家族の海外転勤などで一時的にアメリカに滞在している学生の中には、アメリカの大学に進学したいと考える方が少なくありません。しかし、入学審査でアメリカ人と競争できる力があるのか、たとえ合格しても学費が払えるかなど、進学に不安を感じる家庭も多く見受けられます。 非永住学生のアメリカの大学進学は難しく感じるかもしれませんが、ダイバーシティー … »アメリカ大学進学ガイダンス「非永住学生の大学進学(1)日本人学生の価値」の続きを読む

10年生が終わったら始める大学進学準備

(2023年5月号掲載) 「大学進学準備は、いつから始めたら良いですか」とよく聞かれます。一概には言えませんが「一般的には10年生が終わったら」とアドバイスをしています。大学のアドミッションで最も重視されるのが11年生の成績です。高校4年間の成績全てが評価の対象となりますが、現実的に評価される最後の成績は11年生です。また、大学のリストアップと絞り込みを行う … »アメリカ大学進学ガイダンス「10年生が終わったら始める大学進学準備」の続きを読む

大学のランキング離れ

(2023年4月号掲載) 大学ランキングは、順位が少し上がるだけで、アプリケーションが増えたり、優秀な学生が獲りやすくなったり、大学には重要なマーケティングツールです。U.S. News & World Report(以下U.S. News)は、1983年から全米の大学や大学院のランキングを毎年発表しています。高等教育の専門家は、ランキングがエリー … »アメリカ大学進学ガイダンス「大学のランキング離れ」の続きを読む

淘汰される小規模大学

(2023年3月16日号掲載) アメリカ国内で相次ぐ統廃合 2022-23年度のアドミッションでは、大学出願者数が過去最高を更新しました。海外からの出願増など、アメリカの大学は、景気の良い話題に溢れています。ところが、経営難でキャンパスを閉じる大学もあります。 カリフォルニア州オークランドのHoly Names Universityは、23年春学期で大学を閉 … »アメリカ大学進学ガイダンス「淘汰される小規模大学」の続きを読む

Early Decision(ED)のケーススタディー

(2023年2月16日号掲載) 近年のアドミッションの特徴の一つに、早期締切でアプライする学生の増加が挙げられます。パンデミック以降、難関大学への進学がさらに難しくなったこともあり、アドミッションで有利になるEarly Decisionの利用者が増えているのは特筆すべき点です。 Early Decision(ED)の特徴 アメリカの大学の出願には、一般締切( … »アメリカ大学進学ガイダンス「Early Decision(ED)のケーススタディー」の続きを読む

カナダのリベラルアーツ・カレッジ

(2023年1月16日号掲載) アメリカの大学教育で特徴的なのがリベラルアーツ教育です。特定の職業に直結する専門知識や技術の会得のみに注力するのではなく、幅広い教養の修得を重視することで、さまざまな分野で活躍できる人材を育てます。アメリカのリベラルアーツ・カレッジは、最先端のリベラルアーツ教育機関として世界で認知されています。一方、カナダではUniversi … »アメリカ大学進学ガイダンス「カナダのリベラルアーツ・カレッジ」の続きを読む

2022-23年度の大学アドミッション速報

(2022年12月16日号掲載) 2023年に卒業する12年生は、9年生と10年生でオンライン授業を経験するなど、新型コロナウイルスの影響を受けましたが、11年生以降は、通常の学校生活に戻りました。キャンパスツアーも復活して、パンデミックによる制約のない進学準備ができています。 パンデミックによりオンラインの大学説明会やバーチャルツアーが普及し、また、パンデ … »アメリカ大学進学ガイダンス「2022-23年度の大学アドミッション速報」の続きを読む

アドミッション・インタビューの受け方

(2022年11月16日号掲載) アメリカの大学では入学審査でアドミッション・インタビュー(面接)を行う場合があります。今回は、面接の受け方についてお話します。 オンラインが主流の面接 面接は、大学のアドミッション担当者が行うこともありますが、多くの大学は卒業生に面接官を依頼します。卒業生との面接は、大学職員の視点ではなく卒業生の視点で話が聞ける点で学生にと … »アメリカ大学進学ガイダンス「アドミッション・インタビューの受け方」の続きを読む

エンジニアリングが学べる小規模大学

(LA版2022年10月16日号掲載) 米教育省の調査によると、エンジニアリングは、アメリカの大学生が選ぶ専攻の中でトップ4に入る人気の分野です。しかし、エンジニアリングは州立大学などの大規模な総合大学に多く、少人数クラスで質の高い教育が受けられる小規模大学やリベラルアーツ・カレッジでは、エンジニアリング専攻を有する大学は限られます。ですが、学部でリサーチの … »アメリカ大学進学ガイダンス「エンジニアリングが学べる小規模大学」の続きを読む

CoalitionとCommon Appの違い

(LA版2022年9月16日号掲載) アメリカの大学にアプライ(志願)する際、複数の大学で共通で利用できるアプリケーション・サービスを利用する場合が多く、中でも、最も多くの大学に採用されているサービスがCommon App(www.commonapp.org)です。 しかし、共通アプリケーション・サービスはCommon Appだけではありません。2016-1 … »アメリカ大学進学ガイダンス「CoalitionとCommon Appの違い」の続きを読む

ファイナンシャル・エイドの基礎(2)タレントベースの奨学金

(LA版2022年8月16日号掲載) アメリカの大学の学費は極めて高いですが、ファイナンシャル・エイドを得て、学費を下げて進学するのが一般的です。ファイナンシャル・エイドでは、ニードベースやメリットベースの奨学金を獲得する学生が多いですが、課外活動などにおける特別な能力が評価され、奨学金を獲得する学生もいます。このような奨学金を、タレントベースの奨学金といい … »アメリカ大学進学ガイダンス「ファイナンシャル・エイドの基礎(2)タレントベースの奨学金」の続きを読む

ファイナンシャル・エイドの基礎(1)ニードベースとメリットベース

(LA版2022年7月16日号掲載) アメリカの大学進学を考える上で忘れてはならないのが学費の問題です。物価上昇の影響もあり、学費は高騰しています。大学によっては年間8万ドルに上る学費を楽に払える学生は多くありません。 アメリカでは、経済的な理由で学生から学ぶ機会を奪うべきではないという考え方が根付いています。そのため、さまざまななファイナンシャル・エイド( … »アメリカ大学進学ガイダンス「ファイナンシャル・エイドの基礎(1)ニードベースとメリットベース」の続きを読む

FAFSA リニューアル 最新情報

(LA版2022年6月16日号掲載) アメリカの大学の学費は高額なので、多くの学生はファイナンシャル・エイドを得て進学します。ファイナンシャル・エイドにはさまざまな種類があり、その中で、学費全額を自費で支払うのが困難な学生が不足分(ファイナンシャル・ニード)の一部または全部を負担してもらう制度が、ファイナンシャル・ニードベースの奨学金です。 そして、このファ … »アメリカ大学進学ガイダンス「FAFSA リニューアル 最新情報」の続きを読む

デジタルSATの概要

(LA版2022年5月16日号掲載) SATはACTと同じく、大学受験でスコアの提出が可能なアドミッションテストです。SATを主催するカレッジボートは、既存の紙ベースで行われてきたSATを、コンピューターベースに切り替えると発表しました。 (1)デジタルSATのフォーマット コンピューターベースのテストには、リニア型とアダプティブ型があります。リニア型は、全 … »アメリカ大学進学ガイダンス「デジタルSATの概要」の続きを読む

大学の合否先送り戦略(2)受験生が取るべき対応

(LA版2022年4月16日号掲載) 大学の思惑 大学は、ボーダーラインの学生の合否をすぐに決めず、ウェイトリストに載せる、アーリーデッドラインからレギュラーデッドラインに先送るなどで、時間をかけて学生を選ぶようになったと前回お話ししました。今回は、受験生が取るべき対応方法を解説します。 大学が合否判断を先送りする目的の一つが、入学意思の見極めです。大学は、 … »アメリカ大学進学ガイダンス「大学の合否先送り戦略(2)受験生が取るべき対応」の続きを読む

大学の合否先送り戦略(1)パンデミック後の現状

(LA版2022年3月16日号掲載) アメリカの大学のアドミッションは、常に変化し続けています。中でも、最近、受験生を悩ませているのが、各大学の合否先送り戦略です。 ウェイトリストの積極活用 一昔前まで、アプライした大学から学生が受け取る結果は合格か不合格だけでした。しかし、近年、各大学がウェイトリストを積極的に活用するようになりました。ウェイトリストとは、 … »アメリカ大学進学ガイダンス「大学の合否先送り戦略(1)パンデミック後の現状」の続きを読む

難関化する州立大学

(LA版2022年2月16日号掲載) パンデミック以降、州立大学が難関経験化したと耳にします。実際、2020-21年経験度のアドミッションでは優秀な学生が経験州立大学に合格できないケースが多く経験見受けられました。なぜ州立大学が難関化したのか、原因を探ります。 アプリケーションの増加 21年秋入学のUniversity of California(以下UC) … »アメリカ大学進学ガイダンス「難関化する州立大学」の続きを読む

音楽専攻学生の大学選び

(LA版2022年1月16日号掲載) 今回は、アメリカの大学で音楽を学びたい学生の大学選びについてご説明します。音楽を主専攻とする学生の進学先は、コンサバトリー(音楽学校)と大学の音楽学部の2つに大別できます。コンサバトリーは音楽を専門に学びたい学生に魅力的です。一般教養も含め、学習の大半が音楽に関わる内容で、音楽漬けの学生生活が送れます。ニューヨークのJu … »アメリカ大学進学ガイダンス「音楽専攻学生の大学選び」の続きを読む

新世代の高等教育 パンデミック後の大学教育の進化

アメリカの高等教育は、これからの時代にふさわしい教育を模索しています。パンデミックは、大学教育を見直すきっかけになったと言えるかもしれません。 普及したオンライン教育 アメリカの大学教育は、2020年3月に全てオンラインに移行しました。20年の秋学期から対面授業を行ったリベラルアーツカレッジの対応力が高く評価された一方で、長期のオンライン対応を余儀なくされた … »アメリカ大学進学ガイダンス「新世代の高等教育 パンデミック後の大学教育の進化」の続きを読む

Common App 最新情報 (3)パンデミックの影響

Common Appは、全米約900校が採用する大学の共通アプリケーションシステムです。2020-21年度は、105万人の学生がCommon Appを利用して600万件のアプリケーションを提出しました。Common Appが20-21年度の提出状況を公表したので、パンデミックがどのようにアプリケーションに影響を及ぼしたかを紹介します。 居住地域による影響 2 … »アメリカ大学進学ガイダンス「Common App 最新情報 (3)パンデミックの影響」の続きを読む

Common App 最新情報 (2)変更点および記入方法

大学出願アプリケーションの中でも、最も多くの大学に採用されているCommon Appは、毎年8月1日に新年度版を出します。各大学のアプリケーションの締め切りや、各大学が個別に提出を要求するエッセイの内容などがアップデートされますが、今年はそれに加え、個人情報を記入する欄に変更がありました。主なものを紹介します。 LGBTQ+学生への対応 性別欄は、回答必須の … »アメリカ大学進学ガイダンス「Common App 最新情報 (2)変更点および記入方法」の続きを読む