通学区域の違う公立学校への越境通学はできますか?

Q. 通学区域の違う公立学校への越境通学はできますか?

 

A. 学校区によりルールが違います。可能な場合も多くあります

松本輝彦(INFOE代表)

日米の教育の違い

日米の教育システムの違いは、国の行政機関である文部科学省が教育行政をコントロールする日本の「中央集権型」と、地域住民の声で教育が行われるアメリカの「地方分権型」に、その原因があります。

日本の教育を受けた保護者の皆さんは、「アメリカの公立学校は学校間格差が大きい」とよく言います。一方、アメリカの教育者は「日本の学校はどこへ行っても同じで、特徴がない」と言います。

学校区

「自分のことは、自分で決める」。この言葉はアメリカ合衆国とアメリカ人の建国以来のモットーです。

「自分たちの理想とする教育を子供たちに受けさせたい」という地域住民の意思を反映するために組織されたのが、学校区(School District)です。

アメリカの学校区は、行政区(郡や市など)から独立して地域の教育行政を担当しています。学校区の地理的な範囲は行政区と同じ場合が一般的ですが、小さな行政区をまとめて(Unified)より大きな学校区としている地域も多くあります。

学校区の運営は、地元住民により選ばれた教育委員(Board Member)が行います。そのため、学校区が運営する公立学校での教育は、地域住民の教育への考え方が色濃く反映され、学校区ごとに教育のレベルや内容の違い(格差)や通学のルールが大きくなります。

通学制度

◎通学区域制:
公立の学校区は、それぞれの学校の通学区域を設けているのが一般的です。入学や編入学の時に、「居住地を証明する書類」を持って行くことにより、(日本と同じように)お子さんが通学する学校が決まります。

◎学校選択制:
通学区域がなく、その学校区内の望む学校へ子供が通学できるシステム(Open District)を設けている学校区があります。

最近のアメリカでは、一般的だった通学区域制のルールを緩める傾向が出始めました。この学校選択制への流れは、大きくなり過ぎた学校間の教育レベルの差を解消するため、学校間の競争を促し、教育の質を向上するため、などを主な目的としています。また、この制度をさらに進めて、保護者自身が運営に参加し、より自由な教育を目指した公立学校である「チャーター・スクール」、私立学校も含めたより広いチョイスを提供する「バウチャー制」などが急激な広がりを見せています。

越境通学?

通学区域を越える「越境通学」には、同じ学校区内のほかの学校に通う場合と、異なった学校区の学校に通う場合の2つがあります。

◎学校区内の越境:
学校区内での越境を考えているならば、お子さんの学校区が「学校選択制」を採用しているか、確認してください。もし、「NO」なら、越境通学が許されるルールを調べましょう。

◎学校区を越えた越境:
保護者の勤務地はどこですか?保護者の勤務先の住所により、その地域、通学区域の学校に通えるルールを採用している学校区が一般的です。

学校区の事情で変わる?

アメリカの学校区は(日本と比べて)比較的小規模で運営されているので、さまざまな理由で通学のルールが変更される場合が多く見られます。最も大きな理由は、児童生徒数の急激な増減です。自由に学校が選べた学校区で急激に入学者が増えたため、通学区域制に戻すこともあります。もちろん、その逆も。

「学校区のルールではダメだが、うちの学校は、今年在校生が少ないから特別に転校を許可しましょう」と言う校長もいました。それぞれの学校の事情で、ルール以外の対応をしてくれるケースです。

このような「ルールはあるが、例外も」は、ルールに厳しい(?)アメリカ社会の特徴です。学校、教育も例外ではありません。

学校で相談を

お子さんの学校に、問題、不満があるならば、まず学校(校長)に相談に行きましょう。

校長・クラス担任・教科担当の先生方は、黙っていても、「どうしたの?」と声はかけてくれません。「お子さんの問題」を積極的に訴えて「交渉」しましょう。

(2010年5月1日号掲載)

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