中学生の子供を残したまま、日本へ帰国する方法は?

Q. 中学生の子供を残したまま、日本へ帰国する方法は?

駐在5年目で、そろそろ帰国する予定ですが、9年生の息子はアメリカに残りたいという強い希望があり、できれば希望を聞いてあげたいと思っています。生活面、学校面、ビザの面などにおいて、具体的にはどのような方法があるのでしょうか?

A. 多くの問題や不安も。乗り越えればかけがえのない経験に

松本輝彦(INFOE代表)

1番の問題はビザ。ベストな選択を

お子さんが「アメリカに残りたい」というのは高校卒業までの残留と理解して、お答えします。

アメリカ残留のためには、ビザが1番の問題になります。お子さんが保護者の家族としてのビザで滞在している場合は、その保護者が日本へ帰国された後、お子さんが1人で残ることができるビザの取得が必要です。いくつかの方法を見てみましょう。

■学生ビザ
お子さん1人で残留される場合、留学生(F-1)ビザの取得が一般的です。留学生ビザは、在籍する学校からI-20という書類を発行してもらい、それを法務省や日本のアメリカ大使館へ提出して発行してもらいます。

問題は、公立の学校区(School District)は実質的にI-20を発行しないことです。1年間だけ滞在を認めてI-20を発行する学校区もありますが、非常にまれです。一方、私立の学校の場合、その学校が事前に移民局からI-20の発行を認可されている必要があります。その認可を受けている学校は、必ずしも多くありません。

こんな事情から、どうしてもアメリカで高校を卒業したいならば、公立の高校から、I-20発行許可を得ている私立校に移る必要があります。しかし、アメリカは私立校への希望者が多く、いつでも私立校へ入学というわけにはいかないようです。

「残りたい」という子供は「今の学校に」という条件をつける場合が多いのですが、お子さんの場合はいかがですか?

■お母さんがビザ取得
お母さんが留学生となるか就職するかしてビザを取得し、お子さんもその家族としてのビザを取得する方法です。お母さんは、英語学校やコミュニティーカレッジなどに、フルタイムの学生として通学して成績を維持し、ビザを保持しなければなりません。または、お母さんが持っている技術や能力を認めて、働けるビザの取得をサポートしてくれる雇用主を探さなければなりません。

■グリーンカード取得
滞米中に家族全員のグリーンカード(永住権)を取得する方法です。駐在員の方であれば1~2年で取得された方もおられるようです。お子さんが高校卒業後にアメリカの大学に進学する希望を持っている場合、滞在資格だけではなく、公立の大学での永住権の有無による授業料の差を考えて、会社の協力を得て永住権を申請しているご家庭も見られます。

住まい探しは根気よく、安心して残せる場所を

生活面では、住まいが1番の問題です。ホームステイすることになると思いますが、保護者が安心でき、残る本人も納得でき、さらに、元気のいい高校生を自信を持って引き受けてくれるファミリーを見つけるのは一仕事です。

通学方法の確保も大変です。ホストファミリーが学校までの送迎を引き受けてくれなければ、お子さん自身が車で通学しなければならない場合も出てくるでしょう。

また、学校によっては、18歳以下の場合に法律上の保護者(Guardian)を要求する場合もあります。指紋を取られたり、さまざまな書類にサインをしたり、法律上の責任を持つことを嫌って、気が変わるホストもあります。高校生の行動に、法律上の親権者として、保護者に代わって責任を取るには、大きな決断が必要です。

また、その他にも、お子さん個人の問題も出てきます。アメリカでは高校生は独立した人格として扱う傾向が強く、両親に依存して育った日本人の子供が自己管理できなくて、苦労するケースが多く見られます。そんな場合、学業成績にその影響が出てきて、なんのために残したかわからなくなってしまいます。

頑張った後には、帰国子女入学への道も

以上、高校生を単独で残留させる場合に気をつけなければならない点を挙げてみました。解決しなければならない問題や、心配や不安はたくさんあります。しかし、それを乗り越えて、現地校で卒業までがんばった高校生をたくさん知っています。その子供たちにとって、1人でアメリカで生活した経験はかけがえのないものです。そして、現地の高校を卒業して、帰国子女入試で日本の大学へ入学するという、大きなチャンスもつかんでいます。

情報:日英のバイリンガル教育を行ない、日本人の高校生をいつでも受け入れ、留学生ビザの取得が可能なアメリカの現地校には、Los Angeles International School(☎310-373-0430、www.LA-INTER.org)があります。

(2005年6月1日号掲載)

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