カリフォルニア州の州立大学、CSUとUCの違いは?

A. 教育の役割が分担され、全米トップレベル。しかし、州の財政難に要注意

松本輝彦(INFOE代表)

カリフォルニア州立の大学

カリフォルニア州は人口に比例して大学進学希望者が多いため、2年制と2つの4年制の大学システムが州により作られ、州の財政援助を受けて運営されています。

カリフォルニアの大学システム

システム コミュニティーカレッジ カリフォルニア州立大学 カリフォルニア大学
California Community Colleges (CCC) California State University (CSU, Cal State) University of California
(UC)
年数 2年生(短大) 4年生 4年生
過程 準学士 学士・修士 学士・大学院(修士・博士)
キャンパス数 110 23 10
在籍学生数 290万人 40万人 学部 18万人
大学院 4万人
高校卒業生 トップ約30%が進学 トップ約15%が進学
学部生
年間授業料
(概算)
 CA州民: $26/unit
 留学生: $249/unit
 (El Camino College, 2010)
 CA州民: $4,810
 非州民追加額: $8,928 (12単位)
 (CSULB, 2010-11)
 CA州民: $11,868
 非州民追加額: $22,021
 (UCLA, 2010-11)
生活費他 $15,000 $15,000
Home Page www.cccco.edu www.calstate.edu www.universityofcalifornia.edu
特徴 世界最大の大学システム キャンパスが多い 全米のトップレベル
カリフォルニア
マスタープラン
公立短期教育機関
ユニバーサル教育機関
学部課程教育機関
マス型高等教育
大学院教育と研究機能
エリート型高等教育

 

コミュニティーカレッジ

2年制(短大)のカリフォルニア・コミュニティーカレッジ・システム(CCC)は、幅広い地域住民を対象にさまざまな教育の機会を提供しています。高校卒業生には基礎的教育・職業訓練と4年制(大学)へ転進学(transfer)のための準備教育を行ない、地域の成人には教養・趣味から職業能力の向上を目指した生涯教育を提供しています。

転進学準備クラスの受講は、一般的に高校卒業資格(Diploma)があれば可能です。CCC在学生の約1割が転進学を目指し、そのおよそ半数が、所定の単位と成績を取得して、4年制大学へ転進学を果たしています。

4年制の州立大学

毎年、カリフォルニア州の高校卒業生の成績上位約3割が、4年制大学であるカリフォルニア州立大学(CSU: California State University)かカリフォルニア大学(UC: University of California)のどちらかに進学しています。この2つの大学システムの大きな違いは、表の「カリフォルニア・マスタープラン」に示した、CSUとUCの役割の違いにあります。

1960年に州議会で制定された「カリフォルニア・マスタープラン」で、学部4年間での実務的な教育を中心とするCSU、より高度で理論的な大学院生への教育と大学自体の研究の促進を目指すUC、とそれぞれの大学の役割分担を決めました。

2つの大学システムの役割は今でも基本的に守られながら、教育・研究で非常に多くの成果を収めてきました。現在は、全米のみならず世界の大学教育・大学改革のモデルとなっています。

大学選びに当たっての注意

CSUとUCのもう1つの特徴に、それぞれのシステムを統一して管理運営する機関があり総長がいますが、ひとつひとつのキャンパスが独立した大学のように理事会・学長を持つ運営方法があります。そのため、同じCSU/UCでも、キャンパスによって、大学・学生数の規模、学部・専攻分野などの教育内容、キャンパスライフまで非常に幅広い差があります。

大学・キャンパス選びや進学では、CSUとUCだけではなく、それぞれのキャンパスでの教育・学生生活の違いをよく理解することが必要です。

最近の状況:財政難

ここ数年の国と州財政の危機が、大学の運営に深刻な影響を与えています。特に、この2年の州立大学への州補助金の大幅な削減は、入学定員・開講クラス数・教職員の削減と授業料・諸経費の高騰を招いています。そのため、進学希望者には、入学への競争が厳しくなり、卒業までの年数が長くなるなどの影響が顕著になっています。

(2010年9月1日号掲載)

Q. カリフォルニアの公立大学、その特徴は?

高校生の子供がアメリカの大学への進学を希望しています。カリフォルニア州にはさまざまな公立大学があると聞いています。それらの大学の特徴を教えてください。

A. UC、Cal State、コミュニティーカレッジの3システム

松本輝彦(INFOE代表)

12年生の秋は、アメリカの大学に出願するシーズンです。ご質問にありましたカリフォルニアの公立大学について、大まかに紹介します。

カリフォルニアの公立大学

カリフォルニア州は、全米で最も人口が多い州です。その州民に平等に高等教育を受ける機会を与えるため、3つの公立大学システムが設置されています。これらはすべて州によって設置され、州の公的資金援助を受けて運営されています。

コミュニティーカレッジは、誰でも学べる地域のカレッジとして位置づけられています。高校卒業資格があれば正規の学生(Fulltime Student)として登録でき、所定の必要単位を取得すれば準学士号(Associate Degree)を取得できます。在学中の単位の取り方により、4年制の大学に編入(Transfer)することも可能です。

カリフォルニア州立大学(Cal State)とカリフォルニア大学(UC)は、ともに4年制大学ですが、前者は実務的な教育を行う大学、後者は研究中心で理論的な教育の大学と大まかに分けることができます。取得できる学位(Degree)は、Cal Stateは学士号(Bachelor)、修士号(Master)で、UCはそれに加えて博士(Doctor)課程があります。

どちらも、非常の多くの学問分野から専攻を学べますが、キャンパスにより取得できる学位や専攻分野は異なります。出願時に要求される条件(Eligibility)はUCの方がCal Stateに比べて厳しく、入学の難易度は高くなっています。全米のレベルでも入学が難しい、人気のある大学です。

最近はCal State、UCともに、入学がだんだん難しくなってきています。また、入学後も在校生が多いので、希望クラスの受講が困難で、卒業に5年を要する学生も多く見られます。また、授業料の高騰が著しく、比較的安いコミュニティーカレッジで最初の2年間を学び、編入後、4年制の大学を目指す学生が増えてきています。

出願・入学の手順

2007年秋学期へのCalStateとUCへの出願は、今年の11月30日で締め切られます。出願には、10・11年生の受講科目と学業成績(GPA)・統一試験の成績などの提出が必要です。1通の願書で、複数のキャンパスへ出願できます。大学は出願書類を審査の上、来年の2、3月に合否の通知を出願者へ郵送します。07年5月1日付で、どの学校へ進学するかを決定し、大学へその旨を連絡します。そして6月の高校卒業後、最終成績を大学に送り、夏から秋にかけて大学に入学し、講義を受け始めます。

授業料

ここで紹介した大学は州の税金でサポートされていますので、カリフォルニア州の住民かどうかで授業料に非常に大きな差があります。授業料を決めるための州民かどうかの判定は、ビザの種類と州内での居住歴によって決められます。一般的に、学生が市民権か永住権を持っている場合か、保護者がEビザかLビザを保持している21歳以下の子供の場合で、入学の直前に1年間カリフォルニアに住んでいると、州民の授業料が適用されます。子供が21歳になると保護者のビザではなく、留学生(F-1)ビザへの切り替えが必要となり、非住民追加額(Out-of-State Tuition)の支払いが発生します。住民かどうかの判断は各大学が独自に行い、同じ大学システムでも、キャンパスによりその判断が異なる場合があります。

授業料以外の面でも、アメリカの大学は、同じシステムでもキャンパスによって、出願や入学などの詳細が大きく異なります。ここで紹介したことは、その概要に過ぎません。必ず、各大学ホームページで、詳細を確認してください。

(2006年10月16日号掲載)

Q. 2012年以降のUC系入試は?

UCの入学が大変だそうですが来年と2012年からはどうですか?

A. 来年は経済危機の影響が大きく、その後は出願方法が変更されます。

松本輝彦(INFOE代表)

カリフォルニア大学(UC)

カリフォルニア州は、高校生の人口が多いので、カリフォルニア大学(UC: University of California、定員は高校の上位12.5%)・カリフォルニア州立大学(CSU: California State University、上位30%)・コミュニティーカレッジ(学生数200万人)の3つの州立の大学システムを設けています。

そのうち、UCは11のキャンパスを持ち、世界でトップクラスの教育・研究の質と量を誇っており、州内だけではなく他州や世界中の国々から優秀な学生が集まってきています。

現状と来年度は?

州政府の財政危機
世界中の経済不況の中、カリフォルニア州の財政が危機的状態です。この危機を乗り越えるために、税収の増加と大幅な支出削減が避けられません。

州の年間予算の約30%が義務教育(K-12)、約10%が高等(大学)教育に充てられています。州の税金で運営されている公立学校や州立の大学にも、経費削減による深刻な影響が出ています。

UCへの影響
州立大学であるUCシステムへの大幅な経費削減は、入学者数の減少、学費の値上げ、奨学金の減額、クラスの閉講などに現れてきます。

現在12年生の来年秋の入学申し込みは、この11月末で締め切られますが、各キャンパスで入学定員の削減が予想され、入学希望者にとっては厳しい戦いになります。また、入学後も希望のクラスの受講登録が困難になるなど、卒業までの期間が長くなる可能性も高くなります。

授業料値上げの提案
さらに、今後2年間で次の3段階の授業料値上げが検討されています。

①来年2010年初めの学期から約600ドル
②10年秋から約1200ドル
③11年秋から約1350ドル

②、③は現在の授業料の各15%に相当し、11年秋入学から「UCの年間授業料が1万ドル」の時代に入ることになります。これに加え、州外生追加授業料も年間2万ドル以上に値上げされることが予想されています。今後の報道に、十分ご注意ください。

12年からの変更点

上位9%は合格保証
各高校または州全体で上位9%の成績を収めた12年生はUCキャンパスへの進学が保証されることになります(ELCプログラム: Eligibility of Local Content Program)。

11年生修了時の受講科目と評点平均(CPA: Grade Pont Average)を各高校が州に報告し、このECLプログラムが適用される生徒が選ばれます。その生徒は希望するUCキャンパスに出願します。入学審査の結果、希望するキャンパスに合格できなかった場合は、別のキャンパスへの進学をすすめられます。

カリフォルニア州の高校卒業生の12.5%が進学できる定員をUCは目標としています。このELCプログラムで上位10%がUCに進学できるよう計画されています。そうすると、その差2.5%の定員枠に、上位9%の成績を取れなかった学生の出願が集中し、入学競争が激化することになります。

SAT Subject Testは不要
現在、UC出願時に提出しているSubject Test 2科目の成績提出が必要なくなります。しかし、Reasoning Test(英語・数学・エッセイ)はこれまで通り必要です。

受験科目削減は、高校生の統一試験受験の負担減少、学校での学習成績の重視などが主な理由です。

「楽になる」と喜ぶ日本人生徒も多くいますが、これまでの受験生のように、Subject Testの1つである「Japanese」で高得点を上げてUC入学を有利にするチャンスを失うことになります。出願にあたり「日本語ができる」をアピールしたい高校生は、「AP Japanese」を受験することになるのです。また、試験の数が減ることから、ひとつひとつの試験成績の重要さが増すことにもなります。

9、10年生は注意!
これらの変更は、12年秋の入学生、すなわち現在の10年生から適用されます。ですから、9、10年生は、今受講している科目やその成績がELCプログラムに使われるということをよく理解して、頑張ることが必要です。決して、「先の話」と思わないでください。

(2009年11月1日号掲載)

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