大学ランキングの裏側に潜む大学の意図とは?

秋になると、大学への出願を控えた高校生は、大学から次のようなプロモーションを受け取ることがあります。
「おめでとうございます。あなたは簡易アプリケーションで受験できる学生に選ばれました。通常のアプリケーションにあるエッセイを堤出する必要はなく、また今すぐ出願すれば、特別に受験料を無料にします。」
 
学生にしてみれば、「大学は優秀な学生に出願してもらうために学生を評価しており、自分はそれに選ばれた」と考え喜ぶものです。しかし、大学がこれらの通知を出す本当の理由は、ほかにあります。今回は、この手紙の背景にある大学ランキングについてお話しします。

簡易アプリケーションは競争率アップのため?

名門私立大学でアドミッションに関わってきた専門家の話を前回ご紹介しましたが、その方が大学ランキングについてこう話していました。
  
「大学ランキングは受験生にとって価値はありませんが、大学にとってはマーケティング戦略上、極めて重要です。ですから各校とも、ランキングを上げるためにさまざまなことに取り組んでいます。」
 
つまり、ランキングが上がれば知名度が上がり、優秀な学生を獲得しやすくなりますので、大学はランキング向上のための努力をしているわけです。ランキングは、大学から堤出されたデータや独自に収集したデータに重み付けをして数値化したものから作られます。最も知られているのは『US News & World』の大学ランキングですが、ここでは学生の満足度や卒業率など、7つの項目の評価を基に作られています。
  
この中で、アドミッションが特に注目しているのが難易度(Selectivity)です。ランキングへの影響が大きいことが理由のひとつですが、アドミッションが操作しやすいことも理由です。受験者数が増えたり合格者のGPAやSATの平均点が高くなれば、難易度が高まったと評価されます。
  
最初に述べた大学からのプロモーションは、実は難易度を上げるための手段なのです。受験者数が増えれば、合格率が下がり難易度が上がるため、大学はアプリケーションのハードルを下げてなるべく多くの学生が出願できるようにします。プロモーションでは、あたかも選ばれた学生のみに連絡をしたように書かれていますが、必ずしもそうとは限りません。その大学に入る学力がない学生でも、受験してくれれば母数を増やすのに役立ちますし、難関大学を目指す学生が受験してくれれば合格者の平均GPAやテストスコアを高めるのに役立ちます。結果、大学の難易度向上に貢献してくれます。
  
こういった難易度の操作は一例であり、各大学ともランキングを高めるためにさまざまな工夫を凝らし、莫大な費用をつぎ込んでいるのです。以前、大学は入学率(歩留まり)を高めるためにウェイトリストを積極活用しているという話をしましたが、この入学率を高めるのもランキングを操作するための手段のひとつなのです。
 
このように大学ランキングの裏側を知れば、ランキング自体が受験生に意味のないものであることは明白です。しかし、出願する大学を選ぶ際にランキングに左右される学生が非常に多いことも事実。大学側も、ランキングが学生に価値がないことを知りながら、他校との競争上やむを得ずランキングゲームを続けているのです。

自分だけのランキングを作る

では、受験生はどう対応をすべきなのでしょうか。まず取り組むことは、"自分のランキングを作る"ことです。雑誌のランキングは、所詮他人が作ったもの。自分にとって大切なのは、アドミッション担当者の操作によって『US News & World』で選ばれた大学ではなく、自分自身で評価して選んだ大学です。自分にベストフィットの大学を探し、その中で自分だけのランキングを作りましょう。
  
もう一つ重要な取り組みは、簡易アプリケーションの誘いに乗らないことです。アドミッションの目的は、自分をしっかり評価してもらうこと。そのためには、簡易アプリケーションではなく通常のアプリケーションを使い、エッセイをきちんと書いて評価してもらいましょう。そうすれば、単に母数を増やすだけのアプリケーションではなく、その大学にとって大切な受験生のアプリケーションとしてしっかり評価してもらえるはずです。なお、通常のアプリケーションを使っても、受験料無料等の他のプロモーションはそのまま適用されます。
  
(2012年10月16日号掲載)

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