UCアーバインの入学取り消し問題

カリフォルニア大学アーバイン校(UCアーバイン)が、2017年秋入学予定の学生のうち500名の入学を取り消したことが、17年7月28日付の「Los Angeles Times」で報じられました。入学取り消しは、必要な書類が提出されなかったなど学生側の問題だと大学は説明しましたが、通常は入学手続き後に取り消しとなるケースはまれで、本当の理由が他にあることが明白だったため大きな議論となりました。
 
受験生は複数の大学を受けるため、大学も定員より多くの学生に合格通知を送ります。各大学は、過去のデータを基に歩留まり(入学率)を予想し、合格通知の数を決めます。受験生は、合格した大学の中から進学する大学を1校決めて5月1日までにデポジットを納め、大学の籍を確保します。つまり5月1日の時点で、入学する学生数が確定します。
 
UCアーバインでは、17年秋の入学目標6250人に対して、最終的に7100人の入学登録がありました。つまり定員より850人も多く入学させてしまうことになります。許容範囲ぎりぎりで運営をしている州立大学にとって、数百人も多い受け入れは、学生寮の部屋の確保や一般教養のカリキュラムの見直し等で深刻な問題を引き起こします。
 
このことが500名の入学取り消しと無関係ではないことは明らかです。UCアーバインのハワード・ギルマン総長の鶴の一声で入学取り消しの判断は覆され、500名の入学は最終的に認められましたが、UCアーバインのアドミッションの身勝手な行動が受験生に与えた不安は計り知れません。
 
UCアーバインが、17年の秋に入学を希望する学生から受け付けたアプリケーションは10万4000件です。これは、UCLAとUCサンディエゴに次いで、全米で3番目に多い数です。UCアーバインは、3万1000人に合格通知を送りました。入学目標は6250人ですから、歩留まりを20%と予想したと考えられます。しかし実際の歩留まりは23%だったわけです。
 
UCLAとUCサンディエゴの間に位置するUCアーバインは、両校のアドミッションの影響をダイレクトに受けます。 UCLAとUCサンディエゴのアプリケーション数が増えれば、最終的にUCアーバインに流れてくる学生数も必然的に増えます。歩留まりの見誤りが大問題を引き起こしました。

 

サウスカロライナ大学の対応

歩留まりの見誤りは、UCアーバインだけに限ったことではありません。サウスカロライナ大学も、今秋に入学する学生数が、当初予定していた5300人を大幅に上回り、6000人を超える見込みとなりました。サウスカロライナ大学も、歩留まりを3%程度低く見積もってしまったということになります。
 
サウスカロライナ大学の場合は、バスケットボール効果だと言われています。17年3月に開催された男子バスケットボールの決勝トーナメントで、サウスカロライナ大学の男子チームがファイナルフォー(準決勝)に進出し、女子チームは優勝しました。主要なスポーツの成果が学生の大学選びに影響するケースは少なくありません。
 
ただし、サウスカロライナ大学は、入学を取り消すことは一切せずに、学内できちんと対処することを宣言しました。近隣のアパートを借り上げてスタッフを配置し、学生寮として使えるようにしました。また、一年生が履修する可能性の高いクラスを増やすために、教員採用に奔走しました。

 

ウェイトリスト活用の可能性

このような〝オーバーエンロールメント〞を避けるために、多くの大学はウェイトリストを活用しています。ウェイトリストとは、欠員補充のための〝補欠学生リスト〞です。大学は歩留まりを考慮しながら、あえて少なめに合格通知を送り、その他のボーダーラインの学生をウェイトリストに載せます。そして、5月1日以降、定員に達するまでウェイトリストから学生を繰り上げ合格させます。
 
例えば、ジョージ・ワシントン大学は、毎年1000人超を繰り上げ合格にしています。ワシントンDCでは、定員を上回る人数を入学させることが禁止されており、この地域の大学は合格通知を意図的に少なく送っているのです。
 
UCアーバインの一件を教訓として、ジョージ・ワシントン大学と似たような戦略をとる大学が今後増えることが考えられます。受験生にとって、自分がウェイトリストに載せられる可能性が高まりますが、合格できなかったと嘆くのでなく、まだチャンスがあると考えて、繰り上げ合格の可能性を高めるための対応を検討することが重要です。
 
(2017年9月16日号掲載)

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