アメリカの大学にリーズナブルな学費で進学する方法

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アメリカの大学は、その質の高い教育が世界的にも高く評価されていますが、一方で高騰する学費は、家計を圧迫する深刻な問題となっています。しかし、さまざまな手段を用いてリーズナブルな学費で進学する学生も少なくありません。今回は、リーズナブルな学費で進学する方法をご説明します。

COAとネットプライス

学費を理解する上で重要なキーワードがコスト・オブ・アテンダンス(COA)とネットプライスです。COAには、授業料だけでなく、寮費、食費、教材費、交通費など、大学に1年間通うのにかかる費用全てが含まれます。つまり、1年間の学費を全額自費で負担した場合の金額がCOAです。各大学のウェブサイトには、COAの金額が示されています。ただし、全ての学生がCOAの全額を負担して進学するわけではありません。そうした学生はむしろ少数派で、多くは奨学金などのファイナンシャル・エイドを得て、学費を下げて進学します。各学生が1年間大学に通うのにかかる実際の費用をネットプライスと言います。つまり、COAから奨学金等の額を引いた金額です。学費を考える上で重要なのは、このネットプライスです。リーズナブルな学費で進学するということは、言い換えればネットプライスが実際に支払い可能な範囲の大学に進学することになります。では、どのようにすれば、ネットプライスを抑えられるのでしょうか。以下にその方法を挙げます。

(1)COAが低い大学を選ぶ

COAの額は大学により大きく異なります。授業料を高く設定した上で、経済的に支払いが困難な学生には奨学金を提供するという大学は多くありますが、一方で最初から授業料を低く抑えて、誰でもリーズナブルな学費で進学できるようにしている大学もあります。例えば、ペンシルベニア州のグローブシティー・カレッジはもともとCOAを低く抑えているため、COA全額を自費で負担する場合でも、比較的リーズナブルな学費で進学できます。

(2)経済的ニーズをサポートしてもらう

経済的ニーズが大きい場合は、ニードベースの奨学金が充実している大学を選ぶのが得策です。家庭の所得が学生の学費を全額負担するのに十分ではないと判断された場合、不足分の一部または全部を大学が負担する制度がニードベースの奨学金です。マサチューセッツ州のアマースト・カレッジは、難関大学として有名ですが、ファイナンシャル・エイドが充実していることでも知られています。同大学は、学生の経済的ニーズを100%大学が負担し、その負担額は学生1人当たり4万7千ドルを超えます。そのため、学生のネットプライスは平均で約1万7千ドルと、全米で最もリーズナブルな学費の大学の一つです。なお、アマースト・カレッジは留学生などビザで滞在する学生の経済的ニーズも100%カバーします。

(3)メリット・スカラシップを獲得する

メリット・スカラシップは、学生個人の評価に対する奨学金で、非永住者や外国人留学生も対象となります。大学がその学生をどの程度欲しているかによって金額が定められる場合が多く、その額は一人一人異なるのが一般的です。極めて評価の高い学生には、授業料全額免除や、学費全額免除などの条件が提示される場合もあります。一方で、一律にメリット・スカラシップを給与する大学もあります。例えば、エンジニアリングの専攻で有名なオーリン・カレッジやクーパー・ユニオンは、入学する全ての学生に対して授業料の半額に当たる奨学金を提供しています。フロリダ州のニュー・カレッジは州立のリベラルアーツ・カレッジですが、州外学生や外国人留学生に対しては、年間1万5千ドル以上の奨学金を給与しています。

(4)タレントベースの奨学金を獲得する

スポーツや芸術で高い能力を有する学生は、その能力に対して奨学金獲得が可能です。COAの上位ディビジョンで活動するアスリートを対象としたアスレチック・スカラシップや、大学で音楽活動を行う学生対象のミュージック・スカラシップなどが、タレントベースの奨学金です。この奨学金も、非永住者や外国人留学生も対象となります。ディビジョンIのアスレチック・スカラシップの中には、無条件で学費全額を負担する種目もあります。学費を抑える方法は一人一人異なるので、自分に合った奨学金獲得戦略を立てて、実行しましょう。そして、大学を比較検討する際は、COAではなくネットプライスの比較が重要です。
 
(2016年9月16日号掲載)

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