2013~14年度を振り返って

多くの受験生にとって、5月1日は進学準備が終了する大切な日です。出願した大学の結果は3月末にほぼ出そろい、合格した大学の中から進学する大学を決めてデポジットを収め、大学の籍を確保します。その締め切りが5月1日です。
 
5月は進学指導を行うコンサルタントにとって、学生の進学先が決まりほっとする時期であるとともに、1年間のアドミッション・サイクルを振り返る時期でもあります。大学進学を取り巻く環境は常に変化し続けているので、1年を振り返り今後の傾向を予測することはとても重要なのです。

共通願書リニューアルとウエイトリストの活用

2013~14年度もさまざまな変化がありましたが、まずは、全米で最も広く利用されている大学出願システム「共通願書(CommonApplication)」が新しくなったことが挙げられます。エッセイのテーマが刷新され、文字数の制限やエッセイの提出方法など、前年までとは大きく様変わりしました。今回の変更により今後数年間、大きな変更は無いと考えられます。
 
共通願書を採用する大学の大幅増も重要な点です。13・14年度は全米約500校で導入され、その中には70校以上の主要な州立大学が含まれていました。共通願書を採用すると受験者数の増加が見込めるため、年々採用する大学が増え、来年度はさらに採用する大学が増えると思われます。「進学準備は共通願書から」という考え方が一般的になるでしょう。 
ウエイトリストを積極的に活用する大学は2年ほど前から増え始めましたが、今年度はほぼ全ての大学に広まったようです。ウエイトリスト(以下リスト)とは、欠員補充用の「補欠学生リスト」。大学は入学率を考慮して定員よりも多く合格通知を送りますが、合格発表後も定員に達するまでリストから学生を繰り上げ合格させます。
 
最近は、ボーダーライン上の学生をかなり多くリストに掲載し、その後の学生の反応を見ながら、繰り上げ合格する学生を選んでいくという方法が広く利用されています。リストに載った学生にはその旨の通知が届き、手続きを継続するかどうかの意思確認をします。意思表示をしなかった学生は自動的にリストから削除されます。
 
リストから繰り上げる学生を選ぶ際に大学が重視する基準の1つとして、「入学の意思」が挙げられます。大学は、入学してくれる学生に合格通知を出したいのです。そのため、合格者の絞り込みを行う際、その大学に対する興味を強く示した学生を優先して繰り上げます。入学してくれそうな学生を優先して合格させることは、大学の入学率(合格者数に対する入学者数の割合)を高めるのに大いに役立ちます。
 
大学にとって入学率は極めて重要な指標です。入学率の高い大学はそれだけ人気が高いと考えられ、順位に響くからです。リスト積極活用の傾向もしばらくは続くと思われますが、このシステムが受験生に広まると効果は薄れるため、長期的に続く手法とは考えにくいです。

新SATの発表と学生間の学費格差の拡大

受験者数でACTに抜かれ、入試としての価値を失いつつあるSATが、16年1月から新テストに生まれ変わることがCollegeboardより発表されました。14年4月にはサンプル問題も発表され、より高校の教育課程に沿った内容になることが明確になりました。
 
現時点ではまだ全体像が見えず、正確な判断は難しいですが、SATの予備校に通って解法テクニックを身に付けたり難解な語彙を暗記したりといった、いわゆるSAT対策の必要性は少なくなるでしょう。
 
高校できちんと学習することが結果的にテスト対策になることは、受験生にとって喜ばしいことです。今後はSATやACT以外にも入試の選択肢が増えますが、「学力評価は高校の成績から」という基本的な考え方は変わらないでしょう。
 
大学の学費はインフレ率を大きく上回る割合で上昇中です。年間の学費が6万ドルを超える大学も珍しくなくなり、学生にとって奨学金などのファイナンシャルエイド(FA)をどれくらい獲得できるかが死活問題となっています。大学側は、限られたFAの予算を効果的に活用するために、受験生の評価に応じて奨学金の額を決めるので、学生により奨学金の額に大差があります。
 
学生間の学費格差は年々拡大する傾向にあり、受験生は自分の希望校を受けるだけでなく、自分を高評価してくれそうな大学を見極めることもますます重要になるでしょう。
 
(2014年05月16日号掲載)

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