受験生を効果的に選抜するSEM時代が到来!

将来のキャリアステップであるアメリカ大学進学について教育コンサルタントが解説します。

進化版受験生管理システムSEMとは?

今回は、受験生が大学でどう評価され、合否の判定が下されるのかという、アドミッションの裏側についてお話します。
 
前号で、アメリカの大学では将来伸びる学生が評価されることをお話しましたが、実はそれだけではありません。どの大学も、それぞれが思い描く理想的な大学像を持っています。その大学像を実現するために、どの大学も幅広い観点で学生を評価し、目標とする学生構成を築き上げます。
 
「A大学は成績重視だ」とか、「B大学はボランティアをしていないと入れない」という話を聞くことがありますが、大学のアドミッションはそれほど単純ではありません。どの大学も、成績が優秀な学生は欲しいですし、リーダーシップのある学生やコミュニティーに貢献する学生も大いに求めます。また、芸術の才能のある学生や、スポーツに秀でた学生など、特別な才能を持つ学生も大学にとっては不可欠な人材ですし、そのほか性別、人種、出身地希望専攻など、考慮する点は山ほどあります。
 
このように、さまざまな要素を考慮して受験者を評価する手法は長年研究され、それ自体が大学院の専攻になるほどです。しかし近年、その手法が飛躍的な進化を遂げています。それがSEM(Strategic Enrollment Management/戦略的受験者管理システム)です。SEMは、従来の受験者管理の手法をコンピューターで拡張し、より幅広い観点から効率的に受験生を評価するシステムです。2008年頃から全米の大学で急速に普及し、今では州立・私立を問わず、ほとんどの大学で導入されています。

SEMの評価方法はカテゴリーで生徒を選抜

では、SEMがどう学生を評価するのか見てみましょう。
 
SEMは、まず受験生の情報を分析することから始まります。大学の願書は、今ではほとんどオンラインで提出され、受験生の個人情報はすべて大学のコンピューターシステムに入力されます。高校の成績やSAT等のテストスコアから、提出されたエッセイや推薦状の評価まで、学生に関するあらゆる情報がコンピューターで管理されます。
 
次に、受験生をさまざまな指標に基づいて分析します。指標の数は大学によって異なりますが、80から100に上ると言われています。その分析に基づいて、受験生は複数のカテゴリーに分類されます。
カテゴリーの分け方は大学で異なりますが、細分化される傾向にあります。受験生はそれぞれのカテゴリーの中で評価、ランク付けされ、カテゴリーごとに合格者が決定するのです。そのカテゴリーで何人の合格者を選ぶかも、SEMの仕事です。そして、「カテゴリーごとに選んだ学生を集めることで、大学が目指す学生構成を実現する」、これがSEMの考え方なのです。
 
学生の評価だけではありません。SEMは、大学のコスト削減にも大いに貢献しています。大学にとって、優秀な学生を獲得することはとても大切ですが、同時に学生獲得にかかるコストの抑制も重要課題です。その点SEMは、学生の評価時のアドミッションコストを抑えると共に、奨学金の効果的な活用法も提示してくれます。例えば、学生に合格通知を出す際、その学生に実際に入学してもらうためには奨学金をいくら提示すべきか、というアドバイスも示すのです。

 

SEMの基本対応は自分の強みのアピール

では、具体的に受験生にどのような影響があり、どう対応すべきなのでしょうか。
 
SEMを導入すると、特定の分野に秀でる学生が高く評価される傾向があります。反対に、日々の学習や課外活動に真面目に取り組み、一定の成果を上げている学生の中には、バランスの取れた魅力的な受験生であるにもかかわらず、SEMではどのカテゴリーでも上位にならず、アドミッションで不利になる場合があります。
このため、SEMは努力している一般の学生を正当に評価しない不公平なシステムだと考える人もいますが、必ずしもそうではありません。SEMは、特筆すべき能力を持ったスーパーマンを評価するシステムではなく、学生が持つさまざまな強みや魅力を定量評価するシステムなのです。
 
誰でも、他の人より優れた面を持っています。例えば、真面目に努力できることや、さまざまな活動に取り組めることだって、素晴らしい能力です。大事なことは、その自分の強みをSEMにきちんと評価させることです。そのための手段が、アプリケーションのエッセイです。アドミッションがいくらコンピューター化しても、エッセイを読んで受験生の人物評価をし、その結果をSEMに入力するのは人間です。エッセイを通じて自分の魅力をアドミッション担当者にきちんと伝えましょう。そうすれば自分を高く評価してくれる大学がきっと見つかるはずです。
 
(2011年11月16日号掲載)

「米国大学進学ガイダンス」のコンテンツ