工学系学生の大学選び

エンジニアリング(工学)は学生にとって人気の高い専攻の一つですが、大学選びで迷う学生は少なくありません。工学部のある大学は限られている上、大学院進学を視野に入れた大学選びなど工学系特有の課題があるからです。今回は、工学系専攻の学生の進学についてお話しします。

基礎学力は学部で専門性は大学院で

大学は知名度や順位で選ぶのではなく、自分との相性で選ぶという基本的な考え方は、工学系の学生の場合でも同じです。大学選びの際に、機械工学や電気工学など、自分が専攻する分野の評価を気にする学生もいますが、それはあまり重要ではありません。工学系であっても、学部教育では幅広い教養を身に付け、基礎学力を高めることが主眼であり、専門分野を極める教育は主に大学院で行われます。工学系大学の評判や知名度は大学院や研究レベルの評価によるものであり、学部レベルの教育内容に大差はありません。
 
工学系の学生は大学院に進学するのが一般的なので、大学選びは大学院進学の準備という側面もあります。いくら有名大学に進学しても、成績が伴わなければ満足のいく大学院進学は望めませんし、逆に無名大学でも、成果を挙げれば大学院進学には大いに有利です。むしろ、大学院が併設されていない小規模の大学の方が、より質の高い教育を提供している場合があります。ですから学部では、まず自分に合った環境で基礎学力を高めることを念頭に、大学院進学への準備を行うことが重要です。つまり、大学進学は大学院進学の準備であり、専門領域は大学院で勉強すれば十分ということなのです。

工学系が学べる5つの選択肢

①総合大学
多くの州立大学や、学生数が1万人以上の規模の私立大学では、工学部を有し、複数の工学系専攻を提供しているのが一般的。大学院が併設されていることもあり知名度が高く、工学系専攻を目指す学生にとって最も良く知られた進学先です。
 
②工科大学
理工系の専攻が特に充実している学校です。他の専攻が少ない点を除けば、総合大学とさほど変わりません。先端研究で有名な工科大学でも、学部教育で先端分野を扱うことはほとんどなく、むしろ教養教育に力を入れている大学も数多くあります。
 
③工学系専攻のあるリベラルアーツ・カレッジ
リベラルアーツ・カレッジは教育の質の高さに定評がありますが、工学部がない大学が多く、エンジニア志望の学生は見過ごしがちです。しかし、リベラルアーツ・カレッジの中には工学系をしっかり学べる大学もあり、小規模校ならではのきめ細かいサポートが魅力です。
 
④3・2エンジニアリング・プログラム
工学部を持たないリベラルアーツ・カレッジでも、実は工学系の専攻で学位を取る方法があります。それが、「3・2エンジニアリング・プログラム」です。これは多くのリベラルアーツ・カレッジが採用している方法で、リベラルアーツ・カレッジで3年間履修した後、工学系の専攻を持つ提携大学に転入し、2年間履修します。5年間の学習が終わった時点で、在籍した2つの大学から各学位が得られます。例えば、3年在籍したリード大学で生物学、その後2年在籍したコロンビア大学で医用生体工学というように、2つの学士を取得できます。
 
ただし、このプログラムは、卒業まで5年(以上)かかる上に転入先の大学に無条件では受け入れてもらえず、奨学金など不確定な要素が多いため、誰にでもお勧めする選択肢ではありません。しかし、最高水準の教育が受けられ就職にも極めて強いなど、利点も多いので検討する価値はあるでしょう。
 
⑤大学院から工学系を専攻
物理学や化学、生物学など工学の基礎となる学問はリベラルアーツ・カレッジで専攻できるので、学部ではリベラルアーツ・カレッジで理系の専攻を選び、大学院から工学を学ぶという方法もあります。リベラル・アーツ教育の価値を4年間全て享受でき、卒業までの年数にも影響しないという点で、「3・2エンジニアリング・プログラム」よりも現実的な選択と言えるかもしれません。
 
理工系学生は、研究系の総合大学や理工系に特化した工科大学に目を向けがちですが、アメリカならではのリベラル・アーツ教育を受けながら工学を学ぶ方法も視野に入れて、自分にとってベストな進学方法を見つけてください。
 
(2014年08月16日号掲載)

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