米国大学進学、SATの得点重視は時代遅れ?

いまだに多くの方から、「大学に進学するのに、SATは何点必要ですか」という質問を受けます。大学のアドミッションにおけるSATの重要性が低下傾向にあり、代わりにエッセイを重視する大学が増えていることは以前お伝えしました。また、セミナーでもこのことは度々話していますが、点数を少しでも上げようとSATの準備クラスをとったり、家庭教師を付けたりしている人を周りで見ると、とても不安になるようです。今回は、大学がテストスコアについてどのように考えているのかをお話しします。

SATの得点は家庭の年収に比例する

アメリカの大学は、「今、優秀な学生」がはなく「将来伸びる学生」を欲しいので、学生のポテンシャルを評価することに注力してきました。各大学が長年アドミッションでSATを採用していますが、これはSATが学生のポテンシャルを評価するのに適したテストだと考えられてきたからです。
 
ところが、その価値を疑問視する声が徐々に大きくなり、2000年頃からSATの有効性について研究が行れるようになりました。さまざまな大学でSATの点数と進学後の成果を調べたところ、その相関関係はさほど強くないことが明らかになりました。むしろ、SATの点数と家庭の年収の関係の方がはるかに強かったそうです。テスト対策に大金を投じられる人ほど点数が上がるのであれば、それは学生のポテンシャルを評価するのに適しているとは言えないため、大学はアドミッションにおけるSATの位置付けを大きく下げることになったのです。

合格基準の流れは点数偏重から人物評価へ

人種により点数に大きな差があることも、アドミッションにとって大きな問題です。アメリカの大学はどこも「多様性」を非常に重要としており、特定の人種に偏った大学にならないよう人種構成には特に気を配っています。白人の学生はマイノリティーの学生と比べるとはるかにSATの点数が高いので、白人偏重のアドミッションにならないようにするためにも、SAT重視のアドミッションは避けるべきという考え方が広まっています。また、アジア系の学生はSATの点数が最も高いので、良い点数を取っても評価につながりにくいという傾向が見受けられます。
 
アドミッションにおけるSATの価値が下がるなか、そのスコアなしで出願できる大学が増えてきました。最初にリベラルアーツ大学が積極的に取り組み始めましたが、その後NYU(NewYork University)やWake Forest Universityのようなトップレベルの総合大学にも広がりつつあります。以前お会いしたNYUのアドミッション担当者は、このように話していました。
 
「大学は合格者のSATレンジを公表しているが、本当は公表したくない。なぜなら、公表すると、そのレンジよりも低い学生が受けなくなるから。スコアが低くても欲しい学生は数多くいるのに、そのような学生が受けなくなってしまうことはぜひとも避けたい。」
 
SATの点数よりも、エッセイを通じてしっかり人物評価をすることが、学生の将来性を判断する上で効果的であるとの認識が高まってるのが現在のアドミッションです。多少の点数を上げるために多くの時間と労力を費やすよりも、自分の成長につながる活動に注力した方が、結果的に大学進学に有利になることを理解し、日々の活動に取り組んでください。
 
(2012年11月16日号掲載)

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