どうする!? 帰国生(帰国子女)の中学・高校受験準備

ここ数年、帰国生入試を行う学校がますます増えています。
各学校が、世界で活躍できる人材を育成することに力を入れているからでしょう。
一方で、「志望校に合格するためには、どんな受験対策をどうすればいいの?」と不安に感じている受験生・保護者も少なくないでしょう。
帰国生の受験準備について、森上教育研究所の森上展安先生にお話をお聞きしました。

森上展安先生プロフィール
もりがみ・のりやす
◎学習塾経営を経て、1988年森上教育研究所を設立。中学受験と私学中等教育に関するリサーチ、エッセイ、講演、コンサルティングなどを行う。保護者を対象にほぼ毎週著名講師による「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰。

【取材協力】森上教育研究所
【制作】(株)エデュケーショナルネットワーク『私立中学 進学通信』編集部
(ライトハウス 2017年 秋の増刊号掲載)

帰国生入試の受験準備_A中学校の個別相談

☞POINT
・「なぜ私立の中学・高校に入学したいと考えたのか」。もう一度、親子でその原点を振り返ろう。
・「偏差値が高いから」「大学合格実績がいいから」などではなく、わが子が輝く学校を見つけよう。
・そのためには、できるだけ学校に足を運ぼう。どの学校も親身に対応してくれます。

 

帰国生の受け入れ態勢をよく調べて、万全な受験対策を練ろう

入学したい中学校が決まったとしても、その学校がどのような入試を行っているかが大切になってきます。入試教科は何なのか? 面接や作文はどのように行われているのか? 細かくチェックしましょう。

帰国生入試の受験準備_帰国生入試の種類

帰国生入試の種類は大きく分けて3つ

私立中学の一般入試は、国語・算数の2教科、国語・算数・社会科・理科の4教科、もしくは2教科・4教科のいずれかを選択というケースが多くなっています。一方で、帰国生を対象とした入試では、まず、その入試方法に注目しましょう。それは、大別して次の3つです。
a 帰国生を対象にした特別な入試。
b 一般入試と同日・同一問題だが、帰国生に配慮がある入試。
c 特別な帰国生受け入れ制度はなく、該当者がいても他の一般受験生と同様に判定。

aは増加傾向で、一般入試の入試日より前に行うことが多く、教科は「国語・算数」や、「算数・英語」、「国語・算数・英語」、「国語・算数・英語から2教科選択」といった場合が多いようです。加えて、大部分の中学校が面接を実施しています。作文を課している学校も少なくありません。

中学受験の塾に通い公開模試を受けよう

aの場合の国語・算数の難易度は、多くの学校が中学入試の基本問題レベルと言っていいでしょう。その対策として、できれば中学受験の塾に通い、基本的な問題に徹底的に取り組み、繰り返し演習することが合格に近づく鍵となります。公開模試で試験自体に慣れることも忘れてはいけません。入試本番では、限られた時間の中で問題を解かなければなりません。できる問題は確実に得点し、ケアレスミスなどをしないように、実戦力を鍛えましょう。

一方英語は、会話力も大切ですが、読解や文法にも力を入れてください。英語のレベルは学校によってさまざまですので、過去問を入手したり、英検の問題集などを活用するのがいいでしょう。

学科試験のほか、面接や作文を含めた総合評価

多くの中学校が、入学後の日本語による授業に支障がないかを確認したいこともあり、日本語での面接を行っています。面接では、「志望理由(なぜ、この学校に入学したいのか)」が重要なポイントですが、帰国生の場合、「異文化でどのような体験をして、何を得たのか、それを中学校生活でどう活かしていきたいのか」がより大切になってきます。保護者の面接がある学校も少なくありません。「学校の教育理念を理解していて、賛同・協力する姿勢」をアピールすることはもちろん、「子どもがどういう人間に育ってほしいか。そのために今まで何を考え、何をしてきたか」を振り返っておきましょう。

作文も面接と同様に、帰国生の体験や意欲、可能性などを評価するために取り入れられています。英語や他の外国語のほか、日本語での作文を実施する中学校も少なくありません。漢字力や語彙力など日本語の運用能力を測る面もあります。いずれにせよ、学科試験だけではなく、面接や作文などを含めた総合評価で、合否が決定することを忘れないでください。

一方で、aの場合の私立高校の大部分は、英語・数学・国語の3教科の学科試験や面接によって選考します。なかには、英語・国語と面接、英語と面接、作文と面接、面接のみという形式の高校もあります。中学と同様に、学科試験だけでなく、さまざま観点から選考が行われています。

☞POINT
・「帰国生のための特別の入試を行う中学校」が増えている。
・上記の場合、国語と算数は、多くが中学入試の基本問題レベル
・面接、作文では、外国で何を体験して、何を得たのか、そして入学後何をしたいのかがポイント

 

帰国生のための入試はもちろん、たくさんの受験チャンスを活かそう

「帰国生は、帰国生入試だけ受験できる」と勘違いしている受験生・保護者も多いかもしれませんが、それだけではありません。多くの中学校が、一般生の入試でも帰国生に配慮しています。
さらに、帰国生にピッタリの新タイプの入試もますます増えているので、ぜひ目を向けてください。

帰国生入試の受験準備_C中学校の学校説明会

一般入試で帰国生に配慮も

帰国生は帰国生入試だけしか受験できないのでしょうか。そのようなことはありません。上部でも紹介しましたが、「一般入試と同日・同一問題だが、帰国生に配慮がある入試」を実施している中学校が少なくないからです。その配慮とは、「教科数の削減をする」「合格最低点を下げる」「加点する」「一般生では面接を行っていないが、面接を実施する」「一般生でも面接を行っているが、帰国生ではその評価ウェートをアップさせる」などとなっています。一般入試も積極的に受験し、チャンスを広げましょう。

新タイプの入試はまさに帰国生のための入試

さらに注目すべきは、ここ2~3年、私立中学校の試験内容に新しい風が吹いていること。前述しましたが、私立中学の一般入試の多くは、2教科(国語・算数)、4教科(国語・算数・社会科・理科)、もしくは2教科・4教科のいずれかを選択です。しかし近年、「適性検査型入試」「総合型入試」「思考力入試」「英語入試」「プレゼン型・自己アピール型入試」など、21世紀のグローバル社会に対応していける思考力・表現力・総合力・記述力・発想力・英語力や、潜在能力を問う入試が激増しています。大学、社会に出て本当に役立てることができる力を、6年間で伸ばしていこうというものです。今後も新タイプの入試がさらに増える可能性が高く、その多様化も加速していくことが予想できます。

このような入試は、異文化の中で貴重な生活を送ってきた帰国生にとっては、ピッタリの入試です。なぜなら、多くの帰国生は、他者を受け入れつつ、自分自身を見つめ自分らしさを大切にしてきたため、自ら調べ考え判断し、表現・行動する力が培われているからです。新しいタイプの入試にも視野を広げれば、一般の受験生より幅広く受験校を選択することができます。

大学入学者選抜改革も帰国生に追い風

一方、現在の中学3年生が大学受験に挑む2020年度入試に向けて準備が進められている「大学入学者選抜改革」にも注目しましょう。これは、「学力の3要素」について、多面的・総合的に評価する入試に転換する改革です。学力の3要素とは、
①「知識・技能」
②「思考力・判断力・表現力」
③「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」
です。今、世界はボーダーレス化が進んでいます。加えて日本は少子化による人口縮小の時代に突入しています。このような状況で日本が生き残り世界に貢献するためには、これまで以上に、豊かな発想力を持ち、自分で行動でき、しかも優れたコミュニケーションスキル持った「帰国生のような人材」を育成しなければなりません。今回の改革は、そのための改革です。

例えば、今の「大学入試センター試験」に代えて実施される新テストが「大学入学共通テスト」です。現行の「択一式問題のみ」から「記述式問題」の導入と、「英語の読む・聞くのみ」から「読む・聞く・話す・書くの4技能評価」への転換が柱となります。各大学の個別選抜も、学力の3要素が評価できる入試に変わっていくことになります。もちろん今後は、小学校・中学・高校それぞれの学指導要領も改善されていきます。その流れが、中学入試にも影響しているのです。

☞POINT
・一般入試でも「合格最低点を下げる」「加点する」などの配慮が。
・新タイプの入試は、帰国生の特性を活かせる入試。
・これからの日本、世界では、まさに帰国生のような人材が求められている。

 

帰国生を大切に育てる、私立の中学・高校一貫校(抜粋)

ここでは、帰国子女を大切に育てている、首都圏の私立中学・高校を抜粋して紹介します。
学校を選択するための基準は多岐にわたります。世間の評判などに惑わされてはいけません。
志望校を決める際は、できるだけ多くの学校に足を運び、校風や教育内容の面で、「わが子に合った学校」をぜひ見つけてください。

跡見学園中学校高等学校

跡見(あとみ)学園中学校高等学校 [女子校]
所在地:東京都文京区
帰国生がいることで育まれる明るく元気な校風は説明会にも波及
Webサイト:跡見学園中学校高等学校の情報は「School-Pot」へ

鷗友学園女子中学高等学校

鷗友(おうゆう)学園女子中学高等学校 [女子校]
所在地:東京都世田谷区
他者を受け入れ、自らの道を切り拓いていける”リーダー”を育成
Webサイト:鷗友学園女子中学高等学校の情報は「School-Pot」へ

工学院大学付属中学校・高等学校

工学院大学付属中学校・高等学校 [共学校]
所在地:東京都八王子市
2020年のグローバル高大接続を見据えた教育プログラム
Webサイト:工学院大学付属中学校・高等学校の情報は「School-Pot」へ

駒込中学校・高等学校

駒込中学校・高等学校 [共学校]
所在地:東京都文京区
仏教主義に基づき豊かな人間性を育み、世界に貢献できる人材を
Webサイト:駒込中学校・高等学校の情報は「School-Pot」へ

埼玉栄中学・高等学校

埼玉栄中学・高等学校 [共学校]
所在地:埼玉県さいたま市
宝の原石である帰国生を磨き上げ、グローバルに活躍できる人材へ
Webサイト:埼玉栄中学・高等学校の情報は「School-Pot」へ

渋谷教育学園幕張中学校・高等学校

渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 [共学校]
所在地:千葉県千葉市
経験豊かな「国際部」が中心になって帰国生をサポート
Webサイト:渋谷教育学園幕張中学校・高等学校の情報は「School-Pot」へ

宝仙学園中学・高等学校教学部

宝仙学園中学・高等学校共学部 理数インター [共学校]
所在地:東京都中野区
英語力と国際感覚をさらに磨く「グローバルコース」
Webサイト:宝仙学園中学・高等学校共学部 理数インターの情報は「School-Pot」へ

山脇学園中学校・高等学校

山脇学園中学校・高等学校 [女子校]
所在地:東京都港区
幼い頃に海外で培った経験を、能動的な学びにつなげる教育
Webサイト:山脇学園中学校・高等学校の情報は「School-Pot」へ

滝川第二中学校・高等学校

滝川第二中学校・高等学校 [共学校]
所在地:兵庫県神戸市
個性を認め合う校風ときめ細やかな指導のもと真の国際人を育む
Webサイト:滝川第二中学校・高等学校の情報は「私学ドットネット」へ

※このページは「ライトハウス2017年秋の増刊号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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