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アメリカTV・インタビュー

現地情報誌「ライトハウス」が過去に取り上げた、アメリカで活躍する俳優、監督/プロデューサー、脚本家へのインタビュー記事など。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

創作者/プロデューサー  デボラ・ジョイ・ラヴァイン

「希望を捨てないで!」がメッセージ

Deborah Joy LeVine
親の期待を裏切ることなく、カリフォルニア州弁護士協会会員となり、LAで数年弁護士として活躍した。弁護士一家への義務を果たした後、1985 年テレビ映画『Murder: By Reason of Insanity』の創作/制作で業界入り。93 年『Lois & Clark』を共同創作、『Early Edition』『Dawson’s Creek』『The Division』等の制作を経て、TNT 用に創作した『Mental』がFOXで制作され、現在放送中。UCLAで脚本執筆講師をすることもある。


『Mental』は、精神科医ジャック・ギャラガーの熱意と飽くなき探究心に、声援を送りたくなる医療ドラマ。パイロット版を視聴後、理想の先生は創作者の精神疾患体験から生まれたに違いないと直感し、早速、創作者デボラ・ジョイ・ラヴァインに聞いた。


精神疾患患者と共に生きる家族は、ギャラガー先生はどこにいるの? 
紹介して欲しい!と番組を観ていると思います。

ラヴァイン(以下L) :息子も11歳で躁鬱病と診断されました。薬を処方して「はい、さようなら」の医者ばかりで、知性と「心」を兼ね備えた先生を探すのにひと苦労。どの薬で症状を抑えようかではなく、手がかりを掴んで謎を解く探偵であり、患者の立場で考えてくれる医者の理想像です。これまでは、暴力沙汰や妄想等の症状を描くことで、視聴者を恐怖に陥れるホラー的ドラマばかりでした。でも本作は、温かく見守ってくれる先生もいるから、「希望を捨てないで!」がメッセージです。


創作の経緯は?

L :数年前、TNT局から「精神疾患を扱うドラマを」と依頼されて、兄と2人でパイロット版を執筆しました。残念ながら、TNTは犯罪捜査モノ路線を選択したので、お蔵入り。WGA(米国脚本家協会)のスト解除後に映像権を持っていたFOXで13話制作して、今放送中です。


精神疾患への理解度は深まりつつありますか?

L :露出度が高まったので、徐々に。ただし、子供の躁鬱病を認めない親は多いですね。大人しかかからないと頑に信じ、子供には薬剤治療を拒否したり…。「無視すれば何とかなる」は大間違いです。


精神疾患の完治はあり得ないのでは?

L :骨折はレントゲン写真を見れば、誰も疑いませんが、日常生活に支障を来たす精神疾患は証明できない厄介な病気。鬱病、躁鬱病、統合失調症等、どの疾患かは医者の診断を信じるしかありませんし、時間がかかり、誤診も多いものです。また、本作の挑戦は、医療ドラマなのに治療できない=結末がない点です。「結末のないドラマなんて無意味?」と思いましたが、ハッピーエンドを「疾患を認め、対処方法を探す方向に踏み出すこと」と定義しました。完治はしないけれど、薬とカウンセリングで普通の生活ができるようになる、病気とつき合って行く方法があるという希望の光を与えることとしました。


テレビ業界に入られた経緯は?

L :弁護士一家で、義務だと思って弁護士になりましたが、昔から執筆業が夢でした。「石の上にも3年」と頑張りましたが、弁護士体験中に読んだ刑事事件をテレビ映画用に創作/制作して業界入り。その後、法廷ドラマを多数書きました。


険しい道でしたか?

L :数カ月で22〜23話制作、しかも毎回良い逸話を書くのが当然と期待される、きつ〜い仕事です。疲れたから、ひと休みという訳にいかないし、長時間コンピューターの画面を見つめる生みの苦しみを毎日味わうのですから(笑)。好きこそ物の上手なれと言いますが、この業界は好きでなければすぐに弾き出されます。



(2009年7月01日号 掲載)








[業界コボレ話]
最近、言葉の威力について考えることが多い。モノ書きだから、余計に敏感なのかもしれないが、特にインターネットやメール、更に最新の「Twitter」なる厄介な代物で飛び交う無責任な発言に辟易としている。

ブログが蔓延したお陰で、事実を丁寧に検証して責任を持って書いたプロの文章と、見たまま感じたままを日記のように綴った素人の文章の区別がつかない人が増えている。Twitterはその最たるもの。すっぱ抜きやスキャンダルを追いかけるゴシップ欄記者(?)が蔓延しているようなものだ。井戸端会議もグローバル化したワケだ。発言に責任を持つなど古代の遺物?