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アメリカTV・インタビュー

現地情報誌「ライトハウス」が過去に取り上げた、アメリカで活躍する俳優、監督/プロデューサー、脚本家へのインタビュー記事など。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

脚本家/監督/制作総指揮 ピーター・トーラン

自分でやるっきゃない! と監督まで

Peter Tolan
マサチュ−セッツ大学で学び、卒業を待たずにミネアポリスの劇場で俳優から音楽ディレクターまで体験。1988年『Murphy Brown』のスタッフライターでテレビ業界入り。『Home Improvement』『The Larry Sanders Show』など90年代前半にヒット作を次々と手掛け、2001年、デニス・リアリーと『The Job』を共同創作。映画『America's Sweetheart』『Analyze That』『Just Like Heaven』などを経て、04年から『Rescue Me』を制作総指揮中。


大好きな『Rescue Me』の共同創作者、俳優デニス・リアリーとピーター・トーランに会う機会に恵まれた。漫才コンビのような2人の出会いや創作の経緯、ニューヨークでの撮影裏話などを、トーランに聞いた。


『Rescue Me』は俳優・リアリーとの共同創作ですね?

トーラン(以下T):9・11テロの当日、現場近辺で『The Job』のロケをしていて、消防士の物語をやろうと話しました。『The Job』が打ち切られた後、地上波局とやり合うのはもう懲り懲り、2度とテレビには手を出すまいと決めていたのですが…、デニスから連絡があって、重い腰を上げました。


2人は長いお付き合いですか?

T:『The Job』制作で抜擢されました。映画で刑事役をしたデニスから、「テクニカルアドバイザーから聞いた刑事の実態をテレビ番組にしたい」と、連絡がありました。脚本を書いてくれと言う役者に会うと、品定めされているなと感じますが、デニスとは波長が合って、幼馴染みと再会したよう。でも、「試しに書いてみたから、読んでくれ」と脚本を渡されて、「やばい!」と思いました。仕切りたがりの役者と仕事をするほど惨めなことはありませんから、とっとと逃げるしかないと(笑)。ところがなかなか面白い本で、次の展開は? と想像しながらページを繰ると、半分ほど予想が当たるので、一緒に良い本にしたい! と思いました。以来、デニスの感性を活かしながら、とげとげしい箇所を私が和らげる、甘すぎる箇所をデニスが辛口にする、理想的なチームになりました。


『Rescue Me』の見所は?

T:「英雄だって辛いんだぞ!」と語る人間ドラマです。仕事柄、感情を押し殺さないと、自分の身ばかりか仲間も守れない。弱味を見せたら信用を失いますからね。その癖が私生活でも抜けない、不器用な消防士の生き様を観てください。


実際に消防士の従兄弟を亡くし、支援財団を設立したほどのデニスだから、内情に詳しい訳ですね?

T:デニスの知り合いがさまざまな形で登場します。あくまでも実態をそのまま伝えたいので、笑いを取るために事実を曲げたりしません。「やっと実態を描いた番組ができた」と消防士から言われるのが1番うれしいです。


消防士ファンなので番組を観ましたが、すぐ結婚相手には相応しくないと悟りました。

T:穏やかな家庭生活では物足りない、アクション常習者ですからね。いつも緊張していないと不安になり、身を滅ぼす「アクション」にのめり込む人種です。消防士の犠牲にならないように女性を救う公共サービス番組ですよ(笑)。


『Rescue Me』では監督もしておられますね?

T:『The Job』で制作総指揮をしていると、現場にはいるものの、1日に20分しか仕事がなくて、苦痛で、苦痛で。どうせ現場にいるのだから、監督でもするかって感じで始めました。『Rescue Me』のパイロットは人に任せられない! 自分でやるっきゃない! と思いました。それがエミー賞監督賞の候補にあがってしまって、びっくり!(笑)。苦労して書いた本を最後まで見届けたいという気持ち、人に渡してとんでもない解釈をされるより、自分でやった方が早いと言うか…、説明する時間がもったいないと言うか(笑)。


ジャンル、形態を問わず大成功を収めておられますが、秘訣は何ですか?

T:いつも上を見て、学び、吸収するように心がけています。仕事の幅を広げると同時に、いかに自分を表現するか? をいつも考えています。自分を正確に表現したいので、監督までして詳細をコントロールすることになってしまいます。


20年余り業界で活躍しておられますが、脚本家として不可欠なことは?

T:まず自分がどういう人間かを熟知して、周囲に流されないようにすること。視聴者を楽しませるよう、面白おかしく話して聞かせること。深みのある人間になることの3点です。






[業界コボレ話]
 単なる娯楽としてテレビを利用するか、それ以上の意味を持たせるかは、人それぞれ。私は幼い頃から現実逃避の手段として使っており、なくてはならない存在だったと最近気がついた。
 現実を見つめ直す道具として利用できるようになったのは、あるリアリティー番組のお陰と言っても過言ではない。ライフコーチが人生の指南役を務める『Starting Over』の功績は大きい。「人のふり見て我がふり直せ」をモットーに、毎日テレビにかじりついて学習したものだ。無料でカウンセリングを受けていたに等しい。
 この貴重な番組、シーズン4は未定と聞いて心穏やかではない。スイッチ1つでカウンセラーが我が家に来てくれる番組だったのに。夢よ、もう1度!