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アメリカTV・インタビュー

現地情報誌「ライトハウス」が過去に取り上げた、アメリカで活躍する俳優、監督/プロデューサー、脚本家へのインタビュー記事など。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

制作総指揮者/ヴィーナ・スード

ハリウッドって、意外と公平!

コロンビア大学の映画・テレビ学学士号、1999年にニューヨーク大学(NYU)の修士号を取得。ジャーナリスト、リアリティー番組の監督を経て、2002年ABC / Disney Writing Fellowshipを獲得。テレビ番組『Push, Nevada』で実地訓練を受けたが打ち切られ、『Cold Case』創作者に抜擢されて、シーズン1から関与。4年でスタッフライターから制作総指揮者に昇進、エリート街道まっしぐらのインド系アメリカ人。今後の活躍が大いに期待される有望株。


シーズンを重ねるごとに、いぶし銀のような味わい深さを放つ『Cold Case』。立ち上げ時から創作者を支え、遂に番組の舵取りを任されたヴィーナ・スード。出世街道まっしぐらのスードは、放送作家養成奨学金のおかげで、今日の自分があると言う。このいわゆる「徒弟制度」の効果のほどを聞いてみた。


修士号取得からハリウッドへはほんの数年ですね?

スード(以下S):1999年にNYU(ニューヨーク大学)を卒業して、リアリティー番組『The Real World』の監督の仕事にありつきました。ABC / Disney Writing Fellowshipを獲得して、ハリウッドに来たのが2002年1月。脚本家や放送作家を育てるための徒弟制度のようなもので、最初に手がけたのが『Push, Nevada』。プロに混じって創作過程を体験させてもらいました。番組は打ち切られましたが、幸運にも(『Cold Case』創作者の)メレディス・スティームに拾ってもらいました。女刑事って、ほとんどが刺身のつまでしょ(笑)。駆け出しなのに、女刑事が主役の番組で働けるのは光栄の至りです。


リアリティー番組体験は、冷たい目で見られませんでしたか?

S:低予算でササッと制作した程度の低いものと、一般的には批判されましたが、隠れてこそこそ観ている人も多かったので、制作体験やコツなどをよく聞かれました(笑)。裏話やここだけの話など、皆、興味津々で、話のネタに困らなかったし、脚本で評価してもらいました。ハリウッドって、意外と公平。


制作総指揮者(Exec. Producer)が、番組制作者の中では1番上の地位ですよね?

S:スティームにスタッフライターとして雇われ、ストーリー・エディター、上級ストーリー・エディター、副プロデューサー、プロデューサー、中級プロデューサー、副上級プロデューサーを経て、シーズン4でスティームと同じ、EPに昇進しました。


EPの仕事内容は?

S:スティームに替わって、番組の舵取り、ライター雇用/養成、監督選択など、制作の指揮役です。CBSや撮影所との接点でもあります。責任重大ですが、経験豊かなスタッフに囲まれているので、何とか…。


迷宮入りした事件捜査ドラマ『Cold Case』の制作で、1番のご苦労は?

S:年代も設定も、毎回舞台が変わるので、ミニ映画を1本撮るほどの労力がかかる点です。


テクニカル・アドバイザーを雇っておられるとか?

S:番組のモデルの現役刑事の携帯に電話して、仕事の邪魔を(笑)。セット常勤は、元LAPDの刑事さんです。


シーズンごとにどんどん良くなる稀な秀作ですが、秘訣は?

S:ビジョンを的確にライターに伝えられる頭の良いスティームは、番組のカラーやキャラクターをしっかりと定義して礎を築きました。お陰でライターは自由に好きな「家」を建てられます。間違った建材で家を建てようとすると、指摘される前にライターが気づきます。4シーズン分の台詞をすべて記憶しているライターもいるんですよ!


音楽もキャラクターと言えるドラマですが、選曲はどのように?

S:脚本を書くライターに任せています。筋書きと年度に合わせて、ヒット曲のリストをもらって選ぶ、1番楽しいプロセスです。CDが届いたら、聴き込んでムード作りに使います。音楽好きのライターは、好きな曲から物語を創作します。執筆中に「完璧!」と思っても、画像にかぶせると合わなくて、夢にまで見たシーンがコロッと変わってしまい、がっかりすることもしばしばなんですよ。


撮影所のライター養成課程はおすすめですか?

S:まともに正面からアプローチしようと思えば、まずエージェントを見つけないといけない。新人は経験がないから、エージェントは作品を読んでくれないという悪循環を避けられます。業界トップの重役やプロデューサーが、直々に手取り足取り指導しますから、放送作家を目指す人には、夢を実現する最短距離ですね。





[業界コボレ話]
 米国テレビ技術科学アカデミー(ATAS)で、『Medium』の創作者グレン・ゴードン・キャロンと主役俳優が、舞台裏を披露するイベントに参加した時のこと。終了後、昨年インタビューさせていただいたお礼をと、キャロンを目指したが、既にファンに囲まれていた。
 私の挨拶はすぐに終わるんだけどな…と、我慢強く待った。年輩の女性は、放送日を月曜日に戻せと粘り、アジア系の中年女性は自筆の脚本を手渡そうとした。脚本はエージェントか弁護士を通さない限り、絶対に受け取ってもらえないのが常識だが、食いさがる。
 仕方なく1歩前に踏み出した途端、作家志望が般若の形相でギロリ。「ギョッ!」。「assertive」と「aggressive」の違い、聞いてないの!?