ロサンゼルスの頼れる弁護士ナビ

ライトハウス電子版アプリ、始めました

※この特集では、法律の専門家のさまざまな意見をご紹介しています。同じ問題でも違う見解もあります。また、法律は随時改正されていますので、実際の問題処理にあたっては個別に弁護士に相談してください。

(2015年6月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版掲載)

Q1. H1-Bビザ抽選に漏れるかも。今から準備しておくことは?

就職先が見つかり、H1-Bビザを申請してもらうことになりました。抽選に漏れたときのためのバックアッププランは必要ですか。

A1. グリーンカードも同時に申請しておきましょう

H-1Bビザは毎年の発行枠が決まっています。まずアメリカの大学院卒の人に2万枠。そして日本やアメリカの大学卒の人に6万5000枠。この総計8万5000の枠に、今年は約23万人が応募し、約14万5000もの人が抽選に漏れてしまいました。H-1Bビザはこのように抽選に漏れる可能性が高いビザです。しかも申請のチャンスは年に1回だけ。何年間も当たらない可能性も考えて、必ずバックアッププランを準備しておきましょう。
 
お勧めは、H-1Bビザの申請を始めたときに、同時にグリーンカードの申請も進めておくことです。今、グリーンカードのプロセスが早くなっていて、運が良い人なら1年くらいで労働許可を取得できます。H-1Bビザ取得は数年、もしくはそれ以上かかるかもしれませんし、ずっと取れない可能性もあります。今年決まった就職先が何年も待ってくれる保証もありません。それならH-1Bビザだけに頼るのではなく、最初からグリーンカード申請も同時に行っておくのが賢明です。グリーンカードは、大卒、または3年以上の仕事の経験があれば取得できる可能性があります。まずは申請の条件が整っているか専門家に相談してみてください。

Q2. H-1Bビザの抽選に漏れた。他に打ち手は?

せっかく就職先に申請してもらったのに、当たりませんでした。アメリカにどうしても残りたいのですが、何ができますか。

A2. まずはEビザに挑戦。条件さえ合えば申請可

グリーンカード申請の他に打つ手として、まず考えられるのがE-1とE-2ビザです。ただし、このビザが出せるのは日本資本が50%以上の会社だけ。そこにマネージャーかスペシャリストというポジションで雇われなければなりません。このビザは①アメリカ国内で申請(Eステータス)、もしくは②日本のアメリカ大使館で申請(Eビザ)できます。①は2年間のステータスで、その間にアメリカから出国するとステータスが失効します。②は5年間のビザで、アメリカからの出国も自由。一見良いようですが、一度、大使館での面接に落ちると将来のアメリカ入国が制限される可能性があるなど、どちらも一長一短です。まずは自分がどのビザを申請できるのか諦めずに探してみましょう

[トーランス] 瀧法律事務所 / Taki Law Offices
21221 Western Ave. #215, Torrance
☎ 310-618-1818(日本語ライン)
▶ Email:kyoshihara@takilawoffice.
▶ 営業:月~金9:00am-6:00pm
▶ 休:土日、祝
www.takilawoffice.com

◎ 吉原今日子 弁護士 / Kyoko Yoshihara
日本で大学を卒業後、渡米。サンディエゴ大学で経営学を学び、MBAを取得。その後、法学博士(JD)を取得。CA州の司法試験合格後、瀧弁護士事務所で移民法を専門に活動している
▶ 言語:日本語、英語
▶ 経験:8年間
▶ 日本人顧客率:全体の90%以上
▶ 相談受付分野:移民法
▶ 弁護士を目指したきっかけ:アメリカに来た理由の一つが「アメリカにいる日本人を応援したい」「日本のビジネスをアメリカで広げるお手伝いがしたい」でした。こうやって振り返ってみると、心から打ち込める仕事に出会えていると思います
▶ 読者へのメッセージ:法律に関してのまことしやかな噂が広まっていることがあります。噂をうのみにせず、不安なことは弁護士に相談しましょう。無料相談を利用して聞いてみるだけでも問題解決の糸口が見つかり、心が軽くなるかもしれません
▶ 無料相談あり:オフィスで、もしくは電話にて(初回のみ)
▶ 趣味:食べることです。おいしいものを食べるためには、どこにでも行きます。最近は外で食べたものをヒントに自分流にアレンジして料理を作っています。失敗もありますが、料理も大好きです

Q3. 夫はH-1Bビザ保持者。妻の私は働けるか

現在、H-1Bビザを持つ夫の配偶者として、H-4のステータスでアメリカに滞在しています。
経済的に厳しいので私も仕事をしたいですが、違法ですか。

A3. 特定条件を満たせば申請可

2015年5月26日より、H-1Bビザ保持者の配偶者も特定の条件を満たせば就労許可証を申請できるようになりました。申請できるのは、次の2つのどちらかの条件を満たす人です。まず一つ目は、配偶者であるH-1B保持者に、雇用による永住権の申請認可(I -140 Approval)が移民局から下りていること。二つ目は、配偶者であるH-1Bビザ保持者が、H-1Bステータスを6年以上保持していること(21世紀法に基づく)。H-1Bステータスを6年以上延長するには、永住権の申請を始めて1年以上経っていなければならないなど、さまざまな条件があるので注意が必要です。まずは応募資格の有無を移民法弁護士にご質問ください。永住権も関わってきますので準備は慎重に。たとえこの条件を満たしていなくても、他のアプローチ方法があるかもしれません。

[パサデナ・サンフランシスコ・ラスベガス] リーブス ミラー ジャン&ディザ / Reeves Miller Zhang & Diza
《パサデナ》2 North Lake Ave. 9F, Pasadena
☎ 800-795-8009(パラリーガルの小阪さんまで日本語で)
▶ Email:immigration@rreeves.com
▶ 営業:月~金9:00am-5:30pm、土9:00am-12:00pm
▶ 休:日
www.rreeves.com

◎ ロバート・リーブス 弁護士 / Ropbert L. Reeves
元ニューヨーク市警察官。『New York Times 』などで発表される「アメリカで最も尊敬される弁護士」投票に2015 年まで8年連続ランクイン
▶ 言語:英語(日本語通訳無料)
▶ 経験:35年間
▶ 日本人顧客率:全体の3%
▶ 相談受付分野:移民法・国籍法
▶ 弁護士を目指したきっかけ:人助け、そしてアメリカでの夢を叶えるお手伝いがしたかったから
▶ 読者へのメッセージ:みんなの夢が私の夢です。ビザが取れるまで一緒にがんばりましょう!
▶ 無料相談あり:オフィスでの相談は無料(初回のみ)無料相談をはじめ、全ての相談に日本人パラリーガルが付きます。会話は日本語でOK

Q4. 日本の親戚の遺産を相続できる?

日本に住む親戚(日本国籍)が亡くなりました。私はアメリカ在住でアメリカ国籍ですが、遺産を相続できますか。

A4. 相続できる可能性あり

亡くなった方が日本国籍の場合の遺言や相続については、日本の法律が使われます。そのため、あなたに遺産を渡すという遺言があれば、遺産を受け取れる可能性があります。遺言がない場合も、あなたが日本の法律で相続人とされれば相続できます。遺言の有無や、あなたが相続人かどうかが分からない場合は、法律事務所に調査を依頼しましょう。知らないうちに他の相続人に財産をうやむやにされるケースもあります。他の相続人の方々との協議も弁護士が代行できるので、まずはご相談を。

[東京・福岡] 弁護士法人 山上国際法律事務所 / Yamagami International Law Offices
《東京》〒104-0061 東京都中央区銀座1-6-10 上一ビル5F
☎ (日本81)-50-3775-5971
▶ Email:info@yilaw.jp
▶ 営業:(日本時間)月~金9:00am-6:00pm ※第3水曜および第3土曜は9:00am-1:00pm
▶ 休:土日(第3土曜除く)、日本の祝日
www.yilaw.jp

◎ 山上祥吾 弁護士 / Shogo Ya magami
慶應義塾大学卒業。東京弁護士会所属。特に国際相続、国際離婚、国際取引法等に精通
▶ 言語:日本語、英語、中国語
▶ 経験:12年間
▶ 相談受付分野:日本に関連する法律問題全般
▶ 読者へのメッセージ:弊所は、日本に関する国際法律問題を取り扱っている日本の法律事務所です。スカイプなどでのご相談にも応じておりますので、ぜひお気軽にご相談ください
▶ 無料相談あり: 「ライトハウスを見たと言えば初回の電話、またはスカイプの相談無料(30分以内)。お申し込みは電話またはメールにて。支払方法もPayPalなど各種あります

Q5. IRSから高額な追徴命令。どうすればいい?

IRSから「税金の支払い額が不足していた」という旨の手紙が届きました。追徴金は5000ドルと高額で、とても払えません。正しく申告したはずなのに…。

A5. 反論、金額の交渉などさまざまな手段あり

IRSからの追徴金支払い命令は気が重いものですが、放置しておくと罰金が追加され続けますので、速やかに対処する必要があります。まず、正しく申告されていると思う場合は、IRSに反論しましょう。IRSが間違っていることも実は結構あります。ちゃんと反論することで支払い命令が撤回され、逆にお金が戻ってきたというケースも少なくありません。しかしこの反論は法に則ったものでなければなりません。自分ではとても交渉できないという場合は弁護士が代行して交渉できます。反論だけでなく、万が一、こちらのミスだった場合は罰金の軽減、分割払いなども交渉します。金額の大小にかかわらず、状況を教えてください。そこから弁護士が代行した方が良いケースかお知らせします。間違いで課せられた罰金を払うほどばからしいことはありませんよね。いずれにしても正しい方法で処理しておくことが、長い目で見たときの利益になります。

Q6. 起業するときのビザは?

アメリカで起業を考えています。申請できるビザはありますか。

A6. Eビザなら出資者本人が申請可能

Eビザは、アメリカと相互的な経済発展を目指して貿易や投資などを行う人のためのビザです。アメリカでビジネスを立ち上げる際には、出資者本人がEビザを申請できます。条件はいくつかありますが、まず会社をマネージメントできる能力があること。また、経営者は日本人でなければならない、などです。どのビザが最適なのかは人それぞれ違いますので、まずはそれを調べてみることが、夢を叶える第一歩です。
 

[ロングビーチ] ◎ボビー・リー法律事務所 / Law Office of Bobby C. Lih
301 East Ocean Blvd. #260, Long Beach
☎ 562-901-3384(日本語ライン)
▶ Email:bobbylih@bobbylih.com
▶ 営業:月~金10:00am-5:00pm
▶ 休:土日
http://bobbylih.com

◎ ボビー・リー 弁護士
Bobby C. Lih

ロングビーチのオフィスで20年近くリーガルサービスを行う。良心的な料金設定のため、顧客は口コミが大半
▶ 言語:日本語、英語、中国語
▶ 経験:20年間
▶ 日本人顧客率:全体の85%
▶ 相談受付分野:移民法、その他、ビザが関わる離婚訴訟、交通事故、飲酒運転問題、会社設立など
▶ 読者へのメッセージ口コミでいらっしゃる方が多いことに心から感謝しており、責任を持ってお一人お一人のお世話をしたいといつも考えています。困難な依頼でも全力で取り組み、成功の可能性を引き出しますので、他の弁護士事務所でお断りされたケースでも、
ぜひご相談ください
▶ 無料相談あり:相談は何度でも、どんな形でも無料。案件が成立するまで追加料金はありません。ご相談いただいたときに成否の確率や料金もお伝えします
▶ 趣味:①食べること、②家族に優しくすること、③愛犬を甘やかすこと

Q7. 弁護士に頼むときの「成功報酬」とは?

赤信号で止まっていたら、後ろの車に追突されました。しかし相手は私が急 にバックして来たと嘘をついています。このままでは車の修理費や、むちうちの通院費ももらえそうにありません。弁護士に頼むと高いでしょうか。

A7. 相談無料、最初から最後まで手出しはゼロ

「成功報酬」と記されている場合は、被害者であるあなたの手出しは一切ありません。私たちの費用は、加害者の保険会社が支払った中からいただきます。万が一、支払われなかった場合もあなたに請求することはありません。相談は無料なので、いつでも何度でも電話してください。電話したら正式に頼まなきゃいけない、と思う必要もありません。さて、あなたの事故のケースですが100%、相手の過失です。しかし、このように相手に嘘をつかれ、泣き寝入りを余儀なくされたり、保険会社も味方してくれなかったりすることもあります。成功報酬なら費用の心配はありませんから、とにかく早い段階で弁護士に電話をし、問題が複雑化する前に何をどうすべきか指示を仰いでください。

Q8.交通事故が起こったとき、まずすべきことは?

左折しようとしたとき、正面から信号無視で直進してきた車に衝突されました。相手は青だったと言い張り、ドロドロになっています。

A8.目撃者の確保、そして交通弁護士への電話

まず、すぐにしなければならないことは目撃者の確保です。あなたはぶつけられてきっとパニックになっていると思います。それでもすぐに周囲を見渡し、目撃していた人に声をかけ、電話番号と名前だけはもらっておくのです。「私、赤信号なのに突っ込みました」など、あっさり認める加害者はあまりいませんからね。相手が嘘をつけば相手から車の修理費や通院費を得ることができなくなります。
 
もうひとつ大切なのは、事故が起こった直後に、交通事故専門の弁護士事務所に電話することです。うちの場合は相談も何度でも無料ですから、それを利用しない手はありません。事故現場ですべきことやレッカーのことなども全てお伝えします。弁護士契約をするしないは、後で決めれば良い話です。たとえ契約をしたとしても、成功報酬制です。
 
英語で加害者や保険会社と直接交渉するのは大きなストレスです。加害者は嘘をつく可能性があるし、保険会社も簡単には支払ってはくれません。なまじ自分で直接保険会社と話したばかりに、正当な損害賠償額がもらえなくなることもあります。途中で手に負えなくなって電話してくる方もいらっしゃいますが、そうではなく事故現場から直接電話してください。最初からプロに任せることで、正当な権利が守られます。たとえ成功報酬費が差し引かれても、自分一人で対応するよりもストレスもなく、納得の額になることがほとんどです。
 

[ロサンゼルス] MKキム法律事務所 / Law Office of MK Kim
3055 Wilshire Blvd. #800, Los Angeles
☎ 310-922-6601(日本語ライン、武本さん直通で24時間対応)
▶ Email:jamestakemoto@gmail.com
▶ 営業:24時間、毎日電話受け付け
▶ 休:なし
http://autoaccident-hotline.com

◎ ムーン・キム 弁護士 / Moon Kim
カリフォルニア大学バークレー校卒業。カリフォルニア州弁護士協会、米国弁護士協会会員
▶ 言語:日本語、英語、韓国語、スペイン語
▶ 経験:21年間
▶ 日本人顧客率:全体の50%
▶ 相談受付分野:交通事故、傷害事故
▶ 読者へのメッセージ:アメリカで交通事故を起こしてしまったら、本当に慌てますよね。言葉の壁もあるしお金の問題もあります。もっと怖いのがステータスの問題です。1人でがんばらないで、ぜひ私たちに相談してください。電話一本で「ほっ!」と思えるはずです。あなたの正当な権利を守れるよう、最善を尽くします。
▶ 無料相談あり:何回でも無料(成功報酬)
▶ 趣味:ゴルフと旅行です。今年は日本へも行きました。普段はパラリーガルの武本さんのおかげで使う機会の少ない日本語ですが、旅行中はスラスラ口から出てきて自分でもびっくり、感激。一生懸命、勉強した甲斐がありました。

アメリカと日本の弁護士の違いは?

日本では1人の弁護士がいろいろな分野の案件に対応するというのが割と一般的です。まあ、大きい弁護士事務所では、専門ごとに担当が分かれている場合もあるようですがね。一方、アメリカでは専門ごとに分業化されているのが普通です。離婚のことなら離婚弁護士、ビザのことなら移民法弁護士、税金のことなら税法弁護士、会社の設立のことなら会社法弁護士、雇用問題は労働法弁護士…といった具合にね。病院に例えたら分かりやすいかな。利用者は歯のことは歯医者へ、目のことは眼科へ行くでしょ。

専門以外に頼んでも別にいいよね!?

可能ですが、やめた方がいいでしょうね。やっぱりその分野に強い人に頼むべきです。日本の感覚で、「弁護士なんだから、こっちの分野も知っているでしょう」と思ったら間違いです。

アタシたち在米日本人が多く関わる弁護士は?

⇒貸したお金のことで揉めているときは民事案件。それに恐喝や嫌がらせが加わってきたら刑事案件になります

一般の読者さんが関わることが多いのは主に民事案件(右表参照)ですから、移民法弁護士、離婚弁護士、会社法弁護士、交通事故に関わる弁護士などですね。会社を経営しているなら会社法弁護士や労働法弁護士とかね。確率は少ないけど、犯罪に巻き込まれたときは刑事案件になるので、刑事専門の弁護士が必要になることもあるでしょう。

良い弁護士の見分け方なんてある?

アメリカの弁護士名鑑である「マーティンデール・ハベル(Martindale-Hubbell)」を参考にするのも良いかもね。過去の裁判成績などを基に、第三機関が弁護士を査定している本です。また、実際に質問を投げかけてみたときに、1日から2日以内に回答してくれる人なら安心できていいですよね。時間がかかりそうな案件のときも、ただ待ちぼうけにさせるのではなく、今、どの段階にあるかなどを途中で教えてくれる人がお勧めです。

料金システムはどうなってるの?

基本的には時給、定価制、成功報酬の3種類です。時給の場合、1時間300ドルから350ドルが相場。でも、経済的に厳しい人や案件によってはもっと安くしてくれるところもあるでしょうね。離婚訴訟などは通常、時給です。最初に相談に行ったときに、裁判が終わるまでに、だいたいいくらかかるのかを聞くのをお忘れなく。実は全て終わるまでこの金額で請け負いますというフラットレートでやっているところもあります。時間がかかりそうな案件は、最初にフラットレートにできるか聞いてみてもいいかもしれません。
定価制というのは、ビザやグリーンカードの申請依頼のときにあるかもしれません。これらを移民法弁護士にお願いする場合は、定価が決まっているところが多いようです。もちろん事務所や案件の内容によって違いますから、自分で確認してくださいね。

成功報酬とはどんなとき?

成功報酬になるのは、主に交通事故です。これも事務所によって違いますから、あらかじめ聞いた方がいいです。交通事故の場合は、ぶつけられたケースでこちらに非がなければ、ほぼ勝ちます。ここで知っておくべきことは、保険会社の考え方です。保険会社は補償しなければならない金額が大きいときは、示談を勧めてくることもあるということ。弁護士が同意していないのに、勝手に小切手を送ってきたというケースも聞いたことがあります。素人だとやっぱり弁護士を立てて戦うのは面倒だし、半年、1年、あるいはそれ以上待つのは不安です。だから小切手を目の前にすると、つい示談に応じてしまいます。

Aさんが事故に遭ったらどう対応する?

実は、ずいぶん昔に私の妻が運転中にぶつけられたことがありました。保険の内容を確認してみるとフルカバーだったので最高補償額は10万ドル(※補償内容は各自違います)。私の弁護士が半年ほどかけて交渉してくれた結果、補償金額は7万ドルまでいきました。しかし弁護士は「これは最高補償額の10万ドルが出て当たり前のひどい事故です。あと1年間、待てるなら交渉を続けます」と。でも私は「もうこれ以上はいいです」と断ってしまいました。あの頃はまだ何も知らなかったから…。
 
読者のみなさんは、私の経験をぜひ参考にしてください。私も、もしこの記事を先に読んでいたら、もう1年がんばったことでしょう!もちろん内容によりますけどね。自分の権利はやっぱりしっかり守らないといけません。ここぞというときは弁護士の力を借りて力強く戦ってほしいですね。

ラブラブ写真を持参怯えながら臨んだ面接(30代Kさん)

僕は日本人、妻はアメリカ人なんですが、日本からアメリカに住むことになったときに、グリーンカードの申請で弁護士さんにお世話になりました。緊張したのは移民局での面接です。弁護士さんからは「奥さんと交際していた頃の写真やメール文を持参するといいですよ」とアドバイスをいただきました。面接の途中でカップルが別々の部屋に分けられ、それぞれ相手の歯ブラシの色や、引き出しの上から2番目には何が入っているかなどを聞かれることもあるとのこと。いろいろ覚えて臨みましたが、ほっ。そのような質問はありませんでした。正直、何より怖かったのは、英語!妻が日本語ペラペラのため、あまり英語を使う機会がありませんでした。でも本番前に弁護士さんが模擬面接をしてくれ、当日も横に付き添ってくれたので、とても心強かったです。おかげさまで今、アメリカで2人、仲良く生活しています。

音信不通の元カノから取り戻した6000ドル(40代Rさん)

彼女に6000ドル貸したまま、別れた僕。喧嘩別れでもなかったんですよ、でも別れてから連絡が取れなくなってしまい…。未練があったわけではないです!かわいかったですけどね…。他にも彼女が勝手に僕名義で買ったベンツの借金も丸々僕に来ていたし、僕の家財道具も全て持って行かれたので、こちらも必死です。無視され続けて半年くらい経った頃、友達が弁護士事務所を紹介してくれました。弁護士さんに話すと、すぐに彼女に内容証明を送ってくれました。それだけ。たったの1回の手紙で彼女からの返済が始まりました。弁護士事務所から手紙が来て、彼女もびっくりしたんでしょうね。本当にスッキリした思い出です。

一口に法律といっても、ビザ取得に関連する移民法から、離婚に関連する家庭法まで色々。日本と違い、アメリカ生活では特に弁護士にお世話になることが多くなる。
何事もなく、平穏に日々を暮らしたい。
でもいつ何時、トラブルに巻き込まれるかわからない。
そんな時、頼りになるのが弁護士や法律事務所。
普段なかなか接することのない存在だが、いざという時の強い味方。
そこで、私たち日本人がよく関わる法律の基礎知識を紹介する。

(2015年6月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版掲載)

移民法の基礎知識

移民法は、アメリカで外国人として暮らす我々日本人にとって、日常的に接点のある法律だけになじみが深い。ここでは、要点のみを簡単にまとめました。
 
移民法は、アメリカ国外から入国し、短期・長期的にアメリカに滞在する人を規制することを目的とした法律である。私たち日本人がアメリカで生活する上で避けて通れない法律であるため、1番相談する率が高いのもやはり移民法弁護士であろう。
 
移民ビザは、移民ビザと非移民ビザとに大別される。移民ビザは、アメリカ市民権を持たない外国人が、永住を目的として発給されるビザである永住権、いわゆるグリーンカードである。非移民ビザは、最終的には母国へ帰る意図で、限られた期間規定された目的でのみアメリカへの入国を許可するビザで、その種類は渡米目的別に20以上ある。
 
移民法弁護士の相談受け付け範囲は、永住権、労働ビザ、労働許可、企業内転勤、学生ビザ、結婚、市民権、強制送還、国際的に起こる子供の誘拐などが挙げられる。
 
「移民法は頻繁に改正されるので、皆さんがアメリカに長く滞在したいと思ったら、早めに計画を立てることが重要です」と、移民法を手がけるスティーブン・ユア弁護士は話す。
 
既に多くの日本人が知っている通り、2007年4月から最も一般的な労働ビザであるH-1Bビザが、応募数多数につき申請の段階で抽選になってしまった経緯がある。1年に1度しかないH-1Bビザ受け付けに外れてしまった場合はどうなるのだろう?
 
「まだ滞在ステータスが残っていて、本人の条件が合えば、E-1、E-2、J-1、H-3などを申請することもできます」と、同氏。
 
また、ビザの有効期限を失念して、更新手続きが遅れてしまったりして、オーバーステイ期間ができてしまった場合でも、180日以内であれば、救済の可能性は残っているとのこと。
 
「オーバーステイしない限り強制送還にはならないと思われがちですが、たとえばDUI(飲酒運転)で2度逮捕されると、強制送還になる可能性があります。飲酒運転は、本来刑事事件となりますが、当事者が外国人の場合は、我々移民法弁護士もこれに関わってきます。
 
大半の日本人の皆さんは、日本にいる時に1度も弁護士と関わる必要がなかったでしょうし、アメリカでも弁護士事務所は敷居が高そうで、わからないことやトラブルを抱えていても問い合わせしづらいかと思います。でも、私たちは皆さんをヘルプし、夢を叶えるための弁護士なのです。第三者の経験談など、不確かな情報を鵜呑みにして行動することは、時として合法的なアメリカ滞在を危うくする危険性があります。不明な点があれば、まずプロフェッショナルである私たちに相談してみてください」と、同氏。

◎ 協力:スティーブン・ユア法律事務所
17731 Irvine Blvd. #201-B, Tustin
☎ 714-368-1656(日本語ライン)
▶ E-mail: contact@urelaw.com
Web: www.urelaw.com

家族法(民法)の基礎知識

アメリカでは、離婚の際に財産の分割や養育費、子供の親権などを巡って裁判が起きることがある。
家族法は、こういった夫婦間での争いを裁く法律。他人同士の争いを裁く一般的な民法との違いに関連させながらまとめてみた。
 
夫婦仲が悪くなった場合、まずはマリッジカウンセラーや心理学者に相談する。それも上手く行かず、夫婦生活の修復が不可能という際にお世話になるのが、家族法を専門とする弁護士。ウエストロサンゼルスのアダム・モルウディ弁護士に、日本人にはなじみの薄い家族法について聞いてみた。
 
「私が扱う離婚訴訟では、99%が調停不可能なケースです。カリフォルニア州では離婚を提起するのに、特別な理由や説明の必要がありません。夫婦のどちらかが『愛が冷めた』というだけで、離婚訴訟を起こすことができるのです」。
 
離婚訴訟で争われることが多いのは、扶養費(Alimony)、養育費、親権、財産の分割(不動産やビジネス)とのこと。裁判では、宣誓下でお互いが言い分を主張したり、文書で提出する宣誓証言(deposition)が行われる。親権を巡る争いの場合は、両親の主張よりも、裁判官が子供にとって何がベストであるかを考慮することによって判決が下される。「カリフォルニア州は、子供の福祉・教育に対する意識が高いので、判決でも両親の事情より、子供の事情が最優先されます」。
 
一般の民事訴訟と離婚を巡る訴訟の違いは、争いが結婚している夫婦間の場合は家族法の範疇、他人同士である場合は、民事訴訟となる。「ちなみにカリフォルニア州では、アメリカで結婚していない夫婦であっても、外国で結婚していれば、夫婦と認めています」。
 
民事訴訟では、ほとんどの場合、陪審員が裁判に参加しますが、離婚訴訟の裁判では裁判官のみです。「陪審員がいませんから、裁判官が判決のすべてを決めるわけです。ですから、離婚訴訟に臨む際には、裁判官を知ることが重要になります。私たち家族法の弁護士は、その裁判官が過去にどんなケースで、どのような裁定を下したか、必ず判例を勉強しています」。
 
離婚訴訟の法廷は、「Court of Equity」と呼ばれ、他の民事訴訟や刑事訴訟の「Court of Law」と理念が異なるという。
 
「Court of Equityでは、公明正大さ、公平さ、平衡が重視され、裁判官の裁量が非常に広いのが特徴です。一方、Court of Lawでは、明文化された法律に厳格に従い、裁判官の裁量がほとんどありません。離婚法廷では、先ほどお話ししたように陪審員もいないわけですから、裁判官の裁量次第で判断が左右されるわけです」。

日本人の場合はDVケースに注意

裁判官の裁量次第の判決が下る離婚法廷だが、一般の民事訴訟と同様、判決に不満があれば、上級裁判所に訴え出ることができる。「ただし、その場合、裁判官の判断に不満があり、納得できないという理由ではなく、裁判官が裁量権を濫用しているということが理由となりますので、一般の裁判より控訴が難しいと言えます」。
 
また、同じようなケースでも毎年異なる判例が出て来るところも、裁判の行方を混沌とさせる点。「裁判官を知ることも重要ですが、日々、最新の判例を研究することが欠かせないですね」。
 
離婚訴訟でユニークなのは、訴訟を起こすための弁護士費用を相手の負担にできる点だ。「例えば、夫が10万ドルの財産を持っていて、妻は財産をまったく持っていないというような場合。離婚訴訟を起こしたいが弁護士を雇えない妻は、夫に対して弁護士費用の負担を求めることができます。一般の民事訴訟では、勝訴した際に弁護士費用を相手に負担させることはできますが、訴えを起こす際に負担を求めることはできません。『あなたと裁判がしたいからお金を払って』というわけです。これは、平等な法へのアクセスを保障する考えから採用されているのです」。
 
さて、日本人が抱える家族法関連のトラブルで多いのが、DV(Domestic Violence:家庭内暴力)のケース。殴る、蹴るといった明かな暴力が対象となるのはもちろんだが、声を荒げたり、腕を掴むといった夫婦ゲンカの範疇に思われる行為も、相手が訴えればDVとなる。
 
「本人や近所の人が警察にDVの通報をすると、刑事事件として扱われます。ここで問題となるのは、アメリカ人であれば、刑事裁判の結果、罰金で済むことが、市民権を取得していない日本人の場合は、移民局によって国外退去処分が下されることがあるのです。こうなると、我々家族法の弁護士ではどうすることもできません。一時の夫婦ゲンカの結果、夫婦離散という事態が、実際に起こっています。DVDVは許されることではありませんが、まずアンガーマネージメントなどカウンセリングを受けられてはいかがでしょうか?」。
 
アメリカに住む外国人である、我々日本人は、くれぐれも注意しておきたい。

◎ 協力:アダム・モルウディ法律事務所
12400 Wilshire Blvd. 4th Fl. Los Angeles
☎ 310-207-0430(英語)
▶ E-mail: moloudilaw@yahoo.com

ビジネスロー(会社法)の基礎知識

アメリカでビジネスを始める、駐在事務所を開設するといった場合に必要になるのが、ビジネスロー(Business Law:会社法)の基礎知識。「顧問弁護士を雇う」と言うと、まるで大企業の話のようだが、従業員が1、2人の会社でも、会社法に精通した弁護士に相談しておいた方が、トラブルを事前に回避できるため得策と話すのが、日本人クライアントを多数抱えるジョン・イニゲンバーグ弁護士。
 
「コーポレーション、LLC(有限会社)、パートナーシップといった、設立する会社の形態に合わせてご相談に応じます。一般的に多いのが、コーポレーション設立で、これを規制するのが『Corporate Law』ですね。また、日本人のクライアントから会社設立に際して多い相談が、ビザの取得について。移民法も併せてご相談に応じています」。また、既にカリフォルニア州に会社を設立しており、他州に新たに事務所を設立するといった場合、異なる法律の規制を受けるので、この点も十分に注意が必要とのこと。
 
小さな会社でも、事前に相談しておいた方が得策という例の1つに、トレードマークの申請があると同弁護士。「お金をかけてデザインした会社のロゴや社名が、既に登録されていたり、似たものが存在していた場合、ロゴデザインに費やした費用や新たに社名を変更するために時間を浪費することになります。トレードマークの申請のご相談をいただくことで、それを事前に回避できるのです」。
 
会社設立後も、経営に関する記録の維持やアップデート、各種契約書の作成と見直し、ライセンス取得、内部規定の設定など、会社経営に関しても法律問題は多数発生する。「企業活動を規制するのは、州法や連邦法といった外的規制だけでなく、経営者や取締役会などを規制する内部規定があります。特に複数オーナーによる会社の場合、内部規定を定めておくことで、恣意的経営やオーナー間での訴訟が起きるのを避けられます」。
 
労働者の権利が強いカリフォルニア州では、雇用契約書や雇用ハンドブックの作成についての相談も多いとのこと。また、元従業員が転職・退職後に会社の内部情報を漏らさないよう、コンフィデンシャル・アグリーメントをしっかり締結しておくことが企業財産の防衛に不可欠だ。
 
「会社法は複雑で、多岐に渡っていますが、法をしっかりと理解し、遵守することが何よりも大切です。経営が順調で、誰もがハッピーな時は問題になることは少ないですが、誰かが不満を感じた時に、訴訟問題は起きてきます。不況の時期こそ、ルールをしっかりと定め、何が正しく、何をしてはいけないかをはっきりさせておくことです」。

◎ 協力:アポ&イニゲンバーグ法律事務所
1925 Century Park East Suite 2120, Los Angeles
☎ 310-229-9296(日本語)
▶ E-mail: info@pacrimlaw.com

争いを穏便に解決する「調停」という手段

「調停(裁判外紛争解決手続き)」とは、民事の紛争を正式裁判になる前に当事者間で話し合って穏便に解決する手段である。カリフォルニア州公認の調停人資格を持つ日本人、協和コミュニティー調停サービスのロッキー森さんに、調停について聞いてみた。
 
「民事訴訟で1番多いのが、お金がらみの裁判。第三者から見ると『なぜ、こんなことで裁判に?』というケースが多いのです。当事者は感情が入っているので、裁判になると当初の目的が見えなくなり泥沼化することも。裁判となりますと、勝ち負けがはっきりしますから、負けた方は遺恨が残り、相手に対して敵意を抱くこともあります。調停はどちらが正しく、どちらが間違っているかを判断する場ではないので、合意に達した後も当事者間の関係が続けられます」。
 
このように、森さんのような調停人は、裁判に入る前に第三者として当事者間を仲裁し、お互いにとってベストな結果になるよう導くわけだ。また、裁判では弁護士と裁判官との対話だけで、当事者同士が直接話し合うことはないが、調停では調停人を交えて直接対話ができる。そのため通常は、正式裁判よりも解決が早く(通常、金銭問題は1時間~90分、離婚調停は2~3回程度で和解成立)、裁判所や弁護士などへの費用が節約される上、調停場所や日程は当事者で決められるのがメリットだ。
 
「裁判になると判決はパブリックレコードとして記録に残ります。法律上、調停は和解内容が外部に公開されることがありませんし、たとえその後、裁判になったとしても、調停過程で話したことは、法廷では証拠として認められません。穏便、内密に紛争を解決できるわけです」。
 
また、金銭を巡る民事裁判で勝訴したとしても、裁判官は取り立てはしてくれないので、相手に支払い能力がなければ、必ずしも判決通りの金銭を得られるとは限らない。敗訴した側も、その後7年間はクレジットレコードに悪影響が出ることは必至。調停で支払い能力に合わせてペイメントスケジュールを組むなどした方が、お互いにとって得な場合もあるということだ。
 
裁判に臨む前に調停で解決を図ることも、選択肢の1つとして考えておきたい。

◎ 協力:協和コミュニティー調停サービス
☎ 310-487-2126(森さん)
▶ E-mail: kyowa-chotei@hotmail.com

※このページは「2015年6月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」および「2009年2月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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