申告ステータス

確定申告の税額控除

確定申告では、独身や夫婦など、ステータスを選んで申告します。夫婦でも、合算か個別かで、控除額などが異なりますし、寡夫(婦)の場合も子どもの有無で税率等が異なります。


申告ステータスの種類

個人の確定申告を作成する際、誰しも申告ステータスを選択しなければなりません。しかし、どのステータスを選ぶかによって、申告する収入や控除が異なります。申告ステータスは、以下の5種類があります。
 
1. 独身(Single)
申告前年の12月31日時点で未婚、もしくは法の下で離婚が成立している場合です。
 
2. 夫婦合算申告(Married Filling Jointly) 
申告前年の12月31日時点で結婚していて、夫婦両方が賛成する場合、「夫婦合算申告」を選択します。夫婦で一つの確定申告を提出するので、収入や支出は夫婦両方合わせたものを使います。夫婦共働きの場合は、両者の給与をまとめて申告でき、別々に車を所有していれば、DMVの登録費用は両者のものを申告できます。 
「夫婦合算申告」は、他のどの申告ステータスよりも税金を低く抑えられる傾向にあります。これは、基礎控除額を高く設定されていたり、その他の申告ステータスでは使えない税制優遇が得られたりするからです。
 
3. 夫婦個別申告(Married Filling Separately) 
申告前年の12月31日時点で結婚している場合でも、「夫婦個別申告」を選択できます。自分自身の所得にかかる税金のみに責任を負いたい場合、または「夫婦合算申告」を使う方が税金が高くなる場合の選択として有効です。 
夫婦のどちらかが「夫婦合算申告」での申請に反対であれば、「夫婦個別申告」で申請しなければなりません。 
ちなみに、カリフォルニアなど「夫婦共有財産」の方針を取る州では「夫婦個別申告」でも、夫婦の総収入の半額を申告しますが、ニューヨーク州など「夫婦特有財産」を取る州では、個々の収入を別々に申告できます。
 
4. 世帯主(Head of Household) 
下記のすべての条件を満たしている場合、世帯主として申請できます。
・申告前年の12月31日時点で未婚である
・持ち家にかかる半分以上の費用を当該課税期間に負担している
・扶養している子ども、兄弟、親戚、両親等が持ち家に半年以上住んでいる(例外:一時的な不在または被扶養者が両親の場合は同居でなくても可) 
「世帯主」が申請する場合、「独身」や「夫婦個別申告」に比べて税率が低く、基礎控除額が高くなります。
 
5. 扶養する子どもを持った寡夫(婦)(Qualifying Widow(er) WithDependant Child) 
配偶者が亡くなり扶養する子どもがいる場合、その年は「夫婦合算申告」、次の年から2年間は「扶養の子どもを持った寡夫(婦)として申告できます。しかし、ここには“再婚をしない限り”という条件が付きます。 
「扶養の子どもを持った寡夫(婦)」で申告すると、「夫婦合算申告」と同じ税率と高い基礎控除額を使えます。

 

2と3の違い

「夫婦合算申告」できる場合でも、どちらか一方の収入が極端に多く、低い方に大きな医療費の支出があった場合などには、「夫婦個別申告」の選択によって、税金を減らせる可能性があります。というのも、医療費は調整後総所得の10%(65歳以上は7.5%)を超えた金額が控除対象となるからです。
 
(2016年2月1日号掲載)

離婚時の確定申告ステータスと慰謝料の税務処理

確定申告において、離婚をした人、もしくは離婚検討中の人確定申告において、離婚をした人、もしくは離婚検討中の人の申告ステータスには複数の選択肢があり、控除や税率にの申告ステータスには複数の選択肢があり、控除や税率に関わるので慎重に選びたいものです。今回は離婚前後の申関わるので慎重に選びたいものです。今回は離婚前後の申告ステータスと慰謝料の確定申告での扱いを説明します。

申告ステータス(FilingStatus)

確定申告書を作成する際には「独身」、「夫婦合算申告」、「夫婦個別申告」などの中から申告ステータスを必ず選ばなければなりません。ステータスによって控除や税率の割合が変化しますから、離婚したばかりの夫婦や離婚を考えている夫婦にとって、どのステータスを選ぶかは重要です。
もし「独身」を選択したければ、申告年度の12月31日までに離婚が成立しているか、「合法的な別居状態」でなければなりません。従って、それ以外の場合は、「夫婦合算申告」か「夫婦個別申告」のどちらかを選ぶことになります。「夫婦合算申告」の方が「夫婦個別申告」より控除が大きく税率も低いので、税金の負担が軽くなります。「夫婦個別申告」を選択すると夫婦全体では「夫婦合算申告」より税金の負担が重くなります。しかし、自分の所得のみに責任を負えばいいので、離婚前の複雑な環境では、その方が合理的な場合もあります。
また、「独身」と「夫婦個別申告」の該当者で、IRSの提示する下記の条件を全て満たす人は、「世帯主」というステータスで申請することも可能です。
条件は、①申告年度の12月31日時点で離婚が成立、または「独身とみなされる」場合、②申告年度に世帯維持費(家賃、税金、光熱費、食費など)の半分以上を負担した場合、③扶養家族と半年以上住居を共にした場合です。「独身とみなされる」には、①「夫婦個別申告」をする、②申告年度に世帯維持費の半分以上を負担する、③申告年度の後半にかけて6カ月以上夫婦が別居する、④申告年度の中で6カ月以上扶養家族の生活拠点が自分の家であるという4つの条件全てを満たす必要があります。「世帯主」は、「夫婦個別申告」では認められていない基礎控除が使用でき、税率も低くなります。

還付・納金

離婚をした、もしくは離婚を考えている夫婦が「夫婦合算申告」をした場合、夫婦どちらがいくらの還付金を受け取るか、または追加で納付するかでもめることがよくあります。何も考えずに申告書を提出し、一方の住所に還付金が届いたり、夫婦共有口座に還付金が振り込まれたりすると、その権利を巡って争いが起こる可能性があります。確定申告をする際に、どちらがどれくらいの割合で負担するかを書面に残しておくといいでしょう。

慰謝料

離婚で慰謝料が発生した場合、支払い手は控除を受ける対象となり、受け取り手は慰謝料を所得として申告しなければなりません。IRSでは慰謝料の支払い手と受け取り手の照会システムが確立されていないため、慰謝料に関する控除や所得に関連する税務調査回数を増やす傾向にあるようです。また、慰謝料を控除の対象外にする方針も話題に上っています。今後の動向に気を付けなければなりません。

カリフォルニア州では

カリフォルニア州では夫婦共有財産(CommunityProperty)という法律の名の下、結婚中に得た財産は全て夫婦共有のものと考えられます。「夫婦個別申告」を選択しても、本人の所得ではなく、夫婦の所得の総計の半額を申告しなければなりません。つまり、離婚協定中でも配偶者の所得状況を把握していなければならないのです。
 
(2017年1月1日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

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