『Form W-4』とは?

新しく仕事を始めるとき、新規雇用者は「Form W-4」を記入し、雇用主に提出します。これは源泉徴収額を決めるもので、生活状況に変化があった際に更新すると、確定申告時に支払い義務の生じる可能性が低くなります。「Form W-4」は2ページ構成で、1ページ目は基本的な家族構成などの質問で、全員が記入します。2ページ目は項目別控除を利用する人、複数の仕事を持つ人などが記入する場所です。

「Form W-4」1ページ目の内容

1ページ目では、AからGまでの質問に数字で回答し、それらで算出された総数を問Hに記入します。この数字は、自分がどの程度の所得控除や税額控除を利用できるかの目安であり、源泉徴収を計算する計算式に利用されます。合計数が大きいほど各種控除を利用できると予測、つまり、源泉徴収額が低く設定されます。ですから、家族構成の変化などで控除額が減ったにもかかわらず、「W-4」の内容を更新していない場合、本来支払うべき税金より少ない額を源泉徴収されていたことになるので、確定申告時に支払い義務の発生する可能性が高くなるのです。
問AからEでは記入者本人や扶養家族、収入源の数を確認します。これは、個人控除(Personal Exemption)を利用できるか、利用できるならばそれがどの程度かを確認するためです。例えば、学生がアルバイトをする場合、「W-4」で自分が扶養されていると申告し、両親の扶養家族として両親の確定申告の中で個人控除を利用する方が、家庭全体で、より税額の削減につながる場合も多々あります。
給与の源泉徴収は雇用者ごとに行います。累進課税制を採用している米国では、複数の収入源がある場合、全ての収入源からの給与を合算した結果、より高い税率で課税されることも珍しくありません。問Dで配偶者の収入の有無を問うのは、夫婦合算申告を行う場合、両人の収入を合算して税率を算出するためです。
問Fは、子育て費用クレジット(Child and Dependent Care Credit)を2000ドル以上利用できるかの確認になります。このクレジットは、働くため、あるいは求職のために扶養家族(子どもや障がい者など)のケアに支払った額の一部を、扶養者一人当たり最大3000ドル、対象が複数人の場合は最大6000ドルまで控除として利用できる制度です。
問Gでは世帯の総収入と、17歳未満の子どもを対象にした子ども税クレジット(Child Tax Credit)が利用できるかどうかを確認します。
また、1ページ目では、基本的な個人情報も記入します。

「Form W-4」2ページ目の対象者

「W-4」の2ページ目は、項目別控除(Itemized deduction)を利用する人や、複数の仕事を持っている人、そして共働き家庭の人が記入し、より実態に見合った控除用の数字を算出したり、追加の源泉徴収額を計算したりするものです。項目別控除とは、一般的に家を持っている人などが対象となりやすい控除です。

正確に書く意義

もちろん、「W-4」で算出される数字にはある程度予測が含まれるため、最終的な還付や納付を完全に防ぐものではありません。ですが、これらをより実体に近く記入することで、確定申告時に支払い義務の生じる可能性が低くなります。
今年の確定申告で支払い義務が生じた人、結婚や出産、副業の開始など生活状況に変化のあった人は、「W-4」を見直し、月々の源泉徴収額を調整してみてはいかがでしょうか。

(2016年8月16日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

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