自宅で家事使用人を雇う場合

共働きの家庭も増え、掃除、洗濯、育児などを個人的にひとに依頼する場合、現金で支払っていませんか?IRSの規定によると、給与処理をして給与税を支払わなければならない可能性があります。


家事使用税

家事使用人雇用に関する税金の正式名称は「Household Employer’sTax(家事使用税)」で、一般的には「Nanny Tax(子守り税)」と呼ばれることもあります。

自宅で家事使用人を雇う場合、時給で計算して個人へ報酬を渡している方が多いと思います。この場合、支払った側が家事使用人を雇ったとみなされ、雇用主として給与税を支払う義務が発生する場合があります。では、どんなときにこの税金を支払わなければならないのでしょうか。それは、従業員か個人事業主どちらとみなされるかで変わってきます。


従業員の定義

「従業員」とは、雇い主の意向とやり方に従って働き、報酬をもらう人を指します。ある程度仕事のやり方に自由があったとしても、雇い主がいつ、どこで、どのように仕事をするか細かく指示する、または指示する権利を持っている場合は従業員とみなされます。


個人事業主の定義

仕事の仕方に関し雇い主の意向等に問われず、仕事の結果に対して報酬を受け取る場合、雇われた人は「個人事業主」とみなされます。状況にもよりますが、医者、弁護士、会計士、機械修理工などの専門職の方は、仕事の結果に対して報酬を受け取る個人事業主としてみなされることが多いです。
つまり、ベビーシッター、ガーデナー、運転手などを雇い、仕事の方法や道具を全て依頼主が用意した場合、従業員とみなされる可能性が高くなります。それに対し、依頼された側が仕事の方法を決められたり必要な道具を用意したりする場合は、ある程度仕事に自由がきくので、個人事業主とみなされる可能性が高くなります。
子守り税は、従業員に対して支払われなければならないのに対し、個人事業主に対しては支払われる必要がありません。


Schedule H

自宅で家事使用人を雇い、それが従業員とみなされる場合、確定申告で「Schedule H」を提出しなければなりません。年間1900ドル以上の報酬を出すと、ソーシャルセキュリティーの6.2%、メディケアの1.45%を支払う義務が発生します。それに加え、四半期で総額1000ドル以上の報酬を出すと、連邦に失業保険税を支払う義務があります。
毎週末、土曜日に50ドルでベビーシッターを依頼し、それが従業員とみなされるとします。1年間・52週の給与は総額2600ドル(52週×50ドル)となり、年間1900ドル以上の支払いが発生しているので、ソーシャルセキュリティーとメディケアを支払わなければなりません。その金額は、2600ドル×6.2%=161.20ドルと2600ドル×1.45%=37.70ドルで、合計198.90ドルとなります。しかし、どの四半期をとっても1000ドルを超えることはないので、失業保険税を支払う必要はありません。
従業員を雇い給与を支払うということは、自分は雇用主となるということです。正確な給与と給与税の計算、そして当局に決められた期日に則って給与税の申告をしなければなりません。ご自身の状況を顧みて、不安がある場合は一度専門家に相談してみましょう。
 
(2015年4月1日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

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