オバマケアと確定申告

アメリカに住んでいれば一度は耳にしたことがあるオバマケア。2014年1月から開始されましたが、確定申告に影響を及ぼす可能性もあるので、内容を改めて把握しておきましょう。


誕生理由と目的

正式名称は医療保険制度改革法(Affordable Care Act)。アメリカにも公的な医療保険制度はありましたが、対象は低所得者と障がい者の方のみで、それ以外は金額の高い民間の医療保険に加入するしか選択肢がありませんでした。そのため、国内には4400万人もの医療保険未加入者が溢れていました。そのような状況下で国全体の医療支出が増え続けていたため、現状を改善するべく誕生したオバマケア。国民全員に健康保険加入を義務付けることに加え、公的な医療保険の対象枠の拡大と民間の医療保険への加入を斡旋することで、より多くの人が手軽に医療を受けられるようになることを目的としています。
この法律の対象者は「アメリカの税法上の居住者」です。税法上の居住者とは、アメリカ市民とグリーンカード所有者は無条件で、就労ビザを所有している場合は一定の条件を満たした場合を指します。学生ビザやインターンシップビザで渡米している方は、非居住者となるので対象外です。


ペナルティー

対象者は14年から医療保険に入る義務が発生するので、未加入の場合は確定申告時にペナルティーが発生します。たとえ自分自身で保険料を支払っていなくても、会社や政府を通して加入していれば問題ありません。
14年度で保険未加入の期間があった場合もペナルティーが発生します。その金額は、大人1人につき95ドル、17歳以下の子どもは47.50ドルで、一世帯最大285ドル、または調整後総所得(Adjusted Gross Incomeに海外所得などの調整を入れたもの)の1%のどちらか大きい方です。15年度は一世帯最大975ドルか調整後総所得の2%、そして16年度は一世帯最大2085ドルか調整後所得の2.5%と、年が進むごとに増えていく予定です。


確定申告の準備

オバマケアによって、「マーケットプレイス」と呼ばれる連邦と州に認められた保険の斡旋機関が設立されました。この機関を通して健康保険に加入した場合は、「Form 1095-A」が発行されます。その他の場合も、「Form 1095-A」に含まれない個人の健康保険は「Form 1095-B」、会社のグループプランなどは「Form 1095-C」が発行され、確定申告書を作成時に必要です。このフォーム発行により、自身の健康保険加入期間と金額が証明されます。


保険料税額控除(Premium Tax Credit)

①13年10月1日〜14年の3月31日までにマーケットプレイスで保険に加入した、②会社や連邦・州の健康保険に加入していない、③調整後総所得が一定の金額よりも低い、④夫婦個別申告ではない、⑤誰かの扶養者ではない
 
上記全てに該当する場合は税額控除を取れ、その方法は2通りあります。
 
①事前に受け取る方法(Getitnow):確定申告で受け取る予定の控除額の一部、または全額を保険の支払額と相殺させる方法です。これによって、毎月支払う保険額を低く抑えられます。
②確定申告で受け取る方法(Getitlater):確定申告で還付金を受け取る方法です。「Form8962」を記入する必要がありますが、還付金を保険以外で使いたい方にお勧めです。
 
事前に受け取る場合、前年度の確定申告書を参照して金額を決めるので、当年度の金額とズレが生じたり家族構成が変わってたりしている場合があります。そのズレは確定申告で還付また
 
(2015年1月1日号掲載)

医療保険未加入の罰金

2014年に施行された医療保険制度改革法は、誰もが適切な医療を受けられることを目的に、国民の医療保険加入を義務付けた制度です。加入を怠るとペナルティーが発生するかもしれません。


ACAの内容と罰金

 医療保険制度改革法(AffordableCare Act、以下ACA)、通称オバマケアは全アメリカ国民が対象で「アメリカにおける税法上の居住者」という意味で、日本人駐在者も対象です。しかし、留学生や税務申告が必要でない人は、適用除外になる場合があります。
 
ACAには、
① 高齢者・障がい者向けのMedicare
② 低所得者向けのMedicaid
③ 雇用主が提供する保険
④ 連邦や州政府が設けたマーケットプレイスを通じて購入する保険
があり、これらに加入しなかった場合、確定申告時に罰金が科せられます。
 
2015年度は世帯の課税所得の2%、または一人当たり325ドル(18歳未満の子どもは162.5ドル)のいずれか高い方が罰金として科されました。この額は毎年上昇しており、16年度は世帯の課税所得の2.5%、または一人当たり695ドル(18歳未満の子どもは347.5ドル)のいずれか高い方、最大で2085ドルになります。
確定申告作成時に自己申告し、還付金が発生する場合はそこから天引き、支払いが発生していた場合は税金と共に支払います。自己申告をしなかった場合、IRSから通知が届き、電子送金、あるいは小切手で支払います。

 

Medicareの種類

 Medicareは4つのパートに分かれていて、それぞれ内容が異なります。
 
・パートA:入院費用をカバー
・パートB:外来医療費をカバー
・パートC:上記A、Bを含めた医療保険を民間保険会社が提供
・パートD:処方箋をカバー。加入には民間医療保険会社を通す必要あり
 
このうちパートAは、ソーシャルセキュリティー受給資格者、もしくは政府機関で働いたことがあり、Medicare Taxを払った人は無料で加入できます。B~Dは有料ですが、このうちパートCに加入するにはA、Bの両方に加入しなければなりません。
またAは、入院期間が150日を超えると全額自己負担となります。Bは本人もしくは配偶者が勤務先のグループ医療保険に加入していれば通常は加入しなくてもよいことになっています。

 

Medicareの罰金

 Medicareの加入資格があるのに加入していないと、後日加入した時に、罰金が科せられます。
 
パートA:未加入期間の2倍の期間、毎月の保険料に10%が罰金として科されます。例えば、加入資格発生時から3年遅れて加入した場合、罰金として6年間、保険料が10%多く科せられるのです(所得に応じて免除されることがあります)。
パートB:未加入年数に10%を乗じた額が毎月の保険料に罰金として加算されます。これはパートBに加入し続ける限り続き、例えば加入が3年遅れると、保険料は30%加算され続けます。
パートD:加入した年度の「全国平均保険料」の1%に未加入月数を乗じた金額が毎月の保険料に罰金として加算され、これも加入をする限り続きます。  

罰金の免除

 ACAの法律の下、医療保険への未加入期間が2カ月までであれば、罰金を免除されるShort Coverage Gap Exemptionというルールが設けられています。また、所得が連邦貧困レベルの138%を下回っている場合も免除されます。
 
(2016年4月16日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

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