個人の確定申告作成

アメリカでは日本と異なり、個人個人が自己責任で確定申告を済ませなければならず、申告漏れに対しては税務当局から多額の罰金や利子を課される恐れがあります。今回は、個人の確定申告作成時に知っておくべき書類について説明します。


締め切り

確定申告の提出期限は4月15日です(消印有効)。アメリカで収入があった場合、それを支払った人が「源泉徴収票(フォームW2)」や「フォーム1099」といった所得証明を発行します。加えて、学費や住宅ローンの利子といった控除対象となる支出があった場合、受け取った人から「フォーム1098」という受取証明が発行されます。これらの書類は1月末から2月中旬くらいまでに届き、それまでに届かない場合は各自問い合わせましょう。次にそれぞれの証明書について説明します。


源泉徴収票(フォームW2)

給与収入に関する書類で、雇用主からの給与総額と給与税の詳細、会社からのベネフィットなどが記載されています。発行者がW2を修正した場合、「W2C」が発行されます。古い情報と一緒に正しい情報が併記されていますが、概要はW2と変わりません。他にも、ギャンブル収入があった場合、「W2G」が発行されます。基本的には600ドル以上の「勝ち」があった場合に、カジノから発行されます。


控除対象となる支出(フォーム1098)

「住宅ローンの利子(1098)」、「時価500ドル以上乗用車、ボート、飛行機などの寄付(1098C)」、「学生ローンの利子(1098E)」、「大学以上の学費(1098T)」の4つのフォームがあります。一部の教育機関では、1098Tの紙での発行を控えており、この場合は学校で登録しているアカウントから参照するのが一般的です。


その他の収入証明(フォーム1099)

W2で報告される給与や、ギャンブル以外の収入を通知する書類です。「預金や債券からの利子収入(1099INT)」、「株式の配当金(1099DIV)」、「個人事業主(Independent Contractor)が受け取った収入(1099MISC)」、「個人年金の受け取り(1099R)」、「ソーシャルセキュリティの受給(SSA-1099)」、「前年度の確定申告の還付金(1099G)」などがあります。


その他の控除証明(フォーム5498)

上記に加えて個人年金(Individual Retirement Account/IRA)に積み立てている場合、「フォーム5498」が発行されます。IRAにはいろいろ種類がありますが、Traditional IRAであれば、5500ドル/年まで所得控除の対象となり、医療貯蓄口座(Health Saving Account/HSA)に積み立てた場合も「フォーム5498SA」が発行され、3300ドル/年まで所得控除の対象となります。これらは4月15日まで入金可能なので、それ以降に発行されます。
書類を発行することは、その取引に関わった会社側の義務ですが、会社側で発行漏れがある可能性もあるます。これらの収支は確定申告に影響があることを理解し、通年のお金の流れを自身でも把握しておきましょう。

海外資産開示義務

海外からアメリカへ移住し、日本に資産を残している方は海外金融資産の開示義務にも気をつけましょう。海外保有の貯蓄や株式などの総額が1万ドルを超えると開示義務が発生し、開示漏れには高額な罰金がかかる可能性があります。中にはこれによって「税金が発生する」と思い込まれている方もおりますが、あくまで「開示義務」なので、税金が発生することはありません。
 
(2015年1月16日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

 
※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

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