税務に及ぼす短期貸借の影響

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短期賃貸

ウィークリーマンションのように、短期間物件を貸し借りするのが短期賃貸です。通常、マンションの一室を貸し出すのはその物件の管理会社などですが、最近Airbnbを代表として、オンラインで個人所有の物件の短期賃貸を仲介する業者が増えています。一般的なホテルなどに比べると安価に泊まれるとして、旅行者に人気の短期賃貸ですが、貸し出す側にとっても遊ばせている物件から気軽に収入を得られるため、人気を得ています。

 

賃貸か、ビジネスか

そうした短期賃貸ですが、もし自宅や別荘を年間14日以上貸し出すなら、確定申告時にその収入を税務当局へ報告する必要があります。その際、得た家賃収入を、個人事業による収入とするか、事業によらない単なる賃貸収入にするかで、税金の処理が異なります。
事業によらない賃貸収入の場合、納税者は、一般的に税務区分の「Schedule E」で収入を報告します。個人事業として報告する「Schedule C」に比べ、「Schedule E」はSelfemployment Taxが非課税になるメリットがあります。ただし、賃貸の状況によっては、個人事業とみなされる場合があります。
具体的には、1回ごとの物件の平均貸出期間が①7日以内の場合、②8日以上30日以内で、後述のSubstantial Serviceを提供している場合、それに当たります。
①なら、当局は問答無用でビジネスと判断しますし、②なら、ホテル業とみなされ、いずれも、「Schedule C」での申告が求められます。
一方、②の期間でも、SubstantialServiceを提供しなければ、「Schedule E」になります。
このSubstantial Serviceとは、日々の部屋掃除、寝具の交換、メードサービスや食事の提供など、通常ホテルが提供するようなサービスが該当します。ライトの交換や、公共場所の掃除、ゴミの収集などは含まれません。

 

Schedule CとEの比較

このSubstantial Serviceの提供の有無は、税額にも影響します。
例えば、平均貸出期間7日以上30日以内で、1年間にわたって部屋を貸し出したとします。賃貸収入が2万5000ドル、経費を差し引いた純利益が1万ドルだった場合、Substantial Serviceを提供しなければ「Schedule E」なので、課税前純利益は1万ドルのままです。
それに対し、Substantial Serviceを提供すると、「Schedule C」が適用され、15.3%のSelf-employment Tax分が差し引かれるため、純利益は8470ドルとなります。
その結果、所得税率が25%の人の場合、前者なら税額は2500ドルで済むところ、後者は純利益8470ドルに25%を乗じた上、純利益1万ドルの15.3%が付加され、3647.50ドルまで膨れてしまいます。

 

その他の税金

今回紹介したのは、あくまで連邦の税法上の話です。ロサンゼルスやサンディエゴなどのように、短期賃貸でBedTaxと呼ばれる特別な税金の支払いが求められる場合があります。実際に賃貸を行う州や地域によっては追加の税金が発生する場合があるので、専門家と話し合ってはどうでしょうか。
 
(2015年12月1日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

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