個人事業と法人の違い

アメリカで毎年新しく設立される事業は50万件以上と言われていますが、その多くは数年のうちに閉鎖・解散しています。その原因は、はっきりとした事業計画や経営方針の欠如のようです。会社運営に欠かせないのは、明確な事業計画や経営方針です。そして、どのような事業形態を選択するかも会社の明暗を分ける重要な要素と言えます。なぜなら、それによって会社の会計年度が決まり、節税効果も期待できるからです。今回は個人事業と法人の仕組みの違いから生じるメリット、デメリットを解説します。


個人事業(Sole Proprietor ships)

◉個人事業のメリット
個人事業は、会社設立の最も一般的な形態で、手続きが容易です。個人が運営し、資金は自分で用意します。設立コストを低く抑えられ、経営方針を事業主自身で決定できるなどの利点から、アメリカにあるほとんどの小ビジネスはこの形態に属しています。
事業開始の際は設立者の個人名を事業名として使用する場合もありますが、事業名(DBA)を事業所のあるカウンティーに登録することで、社会的により大きな信用を得ることができるでしょう。これにより、事業名での銀行口座開設や名刺に事業名を表記することができます。
下記はその他のメリットです。
・法人税を支払わなくて良い
・事業と個人間の資産移動の際に税金が発生しない
・事業外の収益を事業の損益と相殺が可能
 
◉個人事業のデメリット
しかし、債務に対しては個人財産も含めて補償しなければならないのでリスクが高い側面もあります。例えば「事業の敷地内でお客様が転倒して訴訟となり、100万ドルの支払い命令が下った」とします。法人の場合は会社を閉鎖すればその債務から解放されますが(有限責任)、個人事業の場合は100万ドル全てを個人負担しなければなりません(無限責任)。
それに加え、個人事業から年間400ドル以上の利益が出た場合、15.3%の自営業者税(Self-Employed Tax)と呼ばれる税金を支払わなければなりません(会社員の場合、雇用主が半額負担していますが、個人事業主は全て自分で支払わなければなりません)。その内訳は12.4%がSocial Security、残りの2.9%がMedicareです。
下記はその他のデメリットです。
・社会保障税を全額支払う義務がある
・給料は経費として計上できない
・事業と個人の会計年度が同じでなければならない


法人(Corporation)

◉法人のメリット
ほとんどの大手・有名企業は「法人」の仕組みを取っています。株式売却により資本金を集められるので、明確なビジネスプランと経営手腕があれば資金は比較的集めやすいと言えます。
その他のメリットは、債務などに対して投資額以上の責任が発生しないこと(有限責任)や、社会保障税の支払いを軽減できる可能性があることが挙げられます。
◉法人のデメリット
しかし法人では、株主がその法人の所有者と考えられるため、株主の利益を最優先しなければならないことも多く、個人事業ほど自由な運営がしにくくなっています。それに加え、法人と株主は別々に確定申告書を提出しなければなりません。その結果、企業は所得に対し法人税を、株主はその配当金に対し所得税を課され、二重課税されることになります。
その他のデメリットは、株主が会社から受け取る配当金が課税対象となることや、営業損失や資産損失が出た場合でも、その年に他の利益と相殺できないことなどがあります。
 
(2014年2月1日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

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