ストックオプションの取り扱い

原則として、全ての所得は課税対象として取り扱われますが、一部特別な取り扱いをするものがあります。その中で今回は福利厚生の一つであるストックオプション(Stock Options)について解説します。


日米の違い

日本では、主に業績に貢献した役員の賞与として用いられることが多いストックオプションですが、アメリカでは一般従業員を含めて、優秀な人材を確保して高い士気を維持するための手段として盛んに用いられています。
 

ストックオプションとは

ストックオプションは、会社の従業員が一定の期間内において、あらかじめ決められている一定の価格(権利行使価格)で自社株を購入できる権利です。ストックオプションを与えられた従業員は、権利を行使することで割引価格で株式を取得でき、その株式を売却することで利益を得ることができます。また、会社が直接株式を報酬として渡す場合もあります。
 

種類と課税

●報償型ストックオプション(Incentive Stock Option)
ストックオプションの中でも税法上一定の要件を満たしたものは報償型もしくは適格ストックオプション(Qualified Stock Option)とも呼ばれ、権利の付与ならびに株式購入時では課税はされません。ただ、以下の2つの条件を共に満たす場合は、長期キャピタルゲインとして扱われ、軽減税率が適用されることになります。
 
1. ストックオプションが付与されて2年以上が経ってから売却
2. 株式を取得して、1年以上が経ってから売却
 
一方で、上記の条件を満たさないで売却し、利益が生じた場合は、通常所得として扱われ、通常の税率が適用されます。
 
● 非適格ストックオプション(Non-Qualified Stock Option)
前記の適格ストックオプションでないものは、付与時に時価が確定できるか否かで大別され、それぞれ課税方法が違います。ストックオプションの付与時に時価が確定できる場合、付与時点での時価が給与扱いとして通常の税率で課税されます。一方、ストックオプションの権利を得た時点での時価がわからない場合は、購入時の時価との差額がキャピタルゲインとして課税されます。
 

従業員持ち株

従業員持ち株プラン(Employee Stock Purchase Plan)とは、米国で導入されている、企業が提供する従業員向けの株式購入プランのことです。従業員は一定の割引価格で自社株を購入できます。このプランでは報償型ストックオプション同様、購入権の付与ならびに権利の行使日時点では課税はされません。ただし、購入時の割引分は課税の対象になります。
 

制限付き株式ユニット

ストックオプションに類似した従業員向けの株式関連の賞与としては、制限付き株式ユニットと言われるものがあります。ストックオプションと違って、「購入権」ではなく定められた数の現物の株式を定期的(例えば3カ月ごとなど)に従業員に与えるもので、あらかじめ定めた定期賞与(給与)を現金でなく、株式で支給するようなものです。従業員には株式がすぐに売却可能(従ってこの制度は上場会社のみ)といったメリットがある一方で、キャピタルゲインではなく通常の給与所得として課税の対象となるため、高税率が適用されるデメリットもあります。
 
(2015年10月16日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

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