非課税組織

内国歳入庁(IRS)によって指定される非課税組織は、法人税などで大きな優遇措置を受けられますが、複数の複雑な制約も課されるようになります。


非課税組織とは

非課税組織とは、各種税金が免除されている団体で、宗教や慈善、科学、公共安全の審査など社会福祉を目的とした教会や学校、動物園や博物館などが該当します。非課税組織と認められると、消費税は対象外ですが、法人税や所得税が免除されることになります。
非課税組織となるには、一般の会社と同じように、設立後15カ月以内に連邦政府に所定の書類を提出しなければなりません。申請が認められるまでに1年くらいかかるのが一般的ですが、さまざまな理由から、遅れが生じます。
IRSによると、その代表的な理由は、設立目的の不明瞭さや書類の不備などですが、一番多いのは、正確な申請手数料を支払っていないという単純なものだということです。

 

非課税組織となるための条件

非課税組織が得た利益は、そのオーナーに還元されることはなく、その組織の発展のために再投資されなければなりません。
非課税組織として認められるためには、大別して①適格テストを満たしていること、②特定の株主や個人に便宜を図らないこと、③政治活動に直接的に参加しないこと、の3要件を満たす必要があります。
このうち、「適格テスト」ではさらに2つの要件が求められます。一つ目は、「組織テスト」と呼ばれるもので、組織を設立する際に書かれた定ていかん款の目的が、税法に規定された目的に合致しなければなりません。二つ目は「活動テスト」と呼ばれ、組織の活動が、専ら非課税組織の目的のための活動である必要があります。

 

非課税組織に対する寄付

IRSが非課税組織として認定した団体へ現金や品物を寄付した場合、それらは確定申告で主に所得税の控除対象として申告できます。なぜ控除が行われるかというと、非課税組織は原則として社会福祉などに関わる団体であり、本来、活動資金は政府が援助するのが筋です。それが、納税者の寄付によって政府の負担が軽減されるので、その分を控除で還元するのです。
ですから、寄付をしても見返りを受け取った場合は、その差額が寄付者の控除対象となります。なお、非課税組織に対し、会計士や弁護士が無料で役務を提供しても、その労働力は寄付とは認められません。

 

非課税組織の収入申告義務

原則として、年間の総収入が5万ドル以上ある非課税組織は、「Form990」で当該年次の収入を申告する必要があります。しかし、個人の資金で設立された非営利団体は、総収入の金額にかかわらず、より詳細な情報を示した「Form990-PF」を提出しなければなりません。一方教会は、一切、収入を申告する義務がありません。こうした申告義務のルールは連邦に対するもので、各州には独自の申告ルールがあります。
確定申告を提出する義務のある非課税組織が、3年続けて申告を怠った場合、非課税のステータスが自動的に取り消されるほか、過去にさかのぼって、ステータスを取り消される場合もあります。再申請にはその期間の財務諸表の作成等、多大な労力が要されるため、正確な申告が必要です。

 
(2015年11月16日号掲載)

 

非課税団体の税務と優遇措置

非課税団体とは、課税の対象とならない団体のことで、非営利団体(NPO)などが該当します。これらの団体は、所得税免除などの優遇措置を受けられますが、そのステータスを維持するには、正しい手続きをしなければなりません。

EOとNPO

非課税団体はEO(Exempt Organization)と呼ばれ、宗教団体や教育機関、科学研究機関など業種は多岐にわたります。非課税団体として認められるためには、(1)公共の利益をもたらすこと、(2)非営利であること、(3)利益が団体のメンバーのものとならないこと、(4)政治に影響を与えないこと、の4項目を満たさなければなりません。また、非課税団体が得た利益は、その団体の発展のために再投資される必要があります。
非課税団体は、社会に対して多大な貢献をしていると見なされ、連邦から課される所得税が免除されます。連邦で非課税団体と認められると、ほとんどの州で自動的にNPO(Nonprofit Organization)と認められます。ただし、カリフォルニアなど一部の州では州、連邦、別々に申請をしなければなりません。NPOは、州から課される消費税、固定資産税、所得税などが免除されます。しかし、場合によっては、州でNPOと認められても、連邦では認められないこともあります。

非課税団体の登録

非課税団体として登録するには、まず、米国の法人番号(EIN:EmployerIdentifi cation Number)を取得します。これは、IRSのホームページ上で申請できます。EINは、米国で事業を展開し、租税条約の恩恵を受けるために必ず必要な番号です。そして、「Form1023」あるいは「Form 1024」で、その団体の財務情報などを提出します。
非課税団体として申請が認められるためには、1年前後かかるのが一般的ですが、書類の記入ミス、正確な申請料を払っていないなどの単純な理由でさらに時間がかかってしまうこともありますので、十分留意しましょう。

非課税団体が注意すること

非課税団体は、非課税団体としてのステータスを十分証明できるように、帳簿やそれを裏付ける領収書などを保管しておく必要があります。年間5万ドル以上の収入がある場合は、確定申告が必要です。また、非課税団体として登録した事業内容による収入以外の事業から収入があった場合は、税金がかかります。この収支は、登録した事業内容による収支と分けて申告しなければなりません。
確定申告の義務のない団体であっても、きちんとルールに沿って運営していることをいつでも証明できるように、それぞれの記録をきちんと保管しておきましょう。小さな団体でも、抜き打ちで内国歳入庁(IRS)からの監査が入ることがあります。

ステータスの取り消し

もし確定申告を提出する義務のある非課税団体が、申告を3年続けて怠った場合、非課税団体としてのステータスが自動的に取り消されてしまいます。取り消されてしまった後、ステータスを取り戻すことはできますが、申告を怠った正当な理由があることを証明せねばならず、「忘れていた」や、「知らなかった」などの理由は通用しません。また、弁護士や会計士にステータスの取り戻しを依頼する際には、それなりの費用が発生します。
このような事態を避けるためにも、確定申告の必要がある団体は毎年欠かさず申告をし、また申告義務のない団体も、将来に備え、記録を取っておくことが大切です。
 
(2016年9月16日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

「ここが知りたい米国税務・会計」のコンテンツ