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ミスター世界の食文化紀行

"ミスター世界"こと、関根正和さんによる「食」に関するライトハウスの人気コラム。食体験にまつわる楽しい話題や、移民の国アメリカならではの当地のレストラン情報をご紹介します。世界各国の珍しい食材や独特な調理方法、料理の特徴など、読めば新たな発見があるはず!

ミスター世界…世界230以上の国・地域を旅し、本場の食体験と、LA界隈の4000軒以上のレストラン食べ歩きの経験をもとに、食文化評論家として活躍。

ミスター世界
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パリパリの可麗餅

ミスター世界(関根 正和)

可麗餅。

どんな食べものでしょう。

先週の『法国吐司』(フレンチトースト)とおなじく、中国語あて字だ。

正解はクレープ。発音はクーリーピン。

「吐司」よりは「可麗」のほうがだいぶ字づらがいいですね。

クレープ(crêpe)は、読者もご存じのようにフランスはブリターニュ地方の名物で、小麦粉を使ったデザート・タイプと、ソバ粉を使った塩味タイプがある。

それらについては、じつはこのコーナーでだいぶまえにすでに書いてしまったので、今日はフランス以外のクレープについて書こう。

とくにパリパリ系のクレープについて。

まずはbánh xèo。

ことしのはじめ、ベトナムを二週間ほど旅したが、そのときに食べた、食べただけではなく作った。

料理教室に入って作ったもののひとつが、このバインセオだった。

小麦粉を使うのかと思っていたら、米の粉を使う。ターメリックを入れるので、小麦粉のようなキツネ色になる。それを溶いて薄く延ばして、フライパンで焼く。

大きさは、横20僂らい。

中に包みこむグはさまざまあるようだが、僕が食べたのは、いちばん一般的なモヤシと豚肉の炒めもの。

外側がパリっと歯ざわりがよく、内側はトロッと柔らかく、グの味が溶け込んでいる。モヤシと豚とバインセオの風味がとてもよくあうのだ。

ベトナムは以前フランスの植民地だったから、クレープが普及したのかもしれないが、ほかの国にも似たようなものはある。

小麦粉や米粉を水に溶いて薄く延ばして焼くという発想は、特に奇想天外なものではないし、それぞれの国で独自に産み出したとしても不思議はない。

インドに、ドサがある。

南インドの典型的な朝食メニューで、これもやはり米の粉を薄く延ばしてパリパリに焼いたもの。

特徴は、レンティル豆を潰したものをまぜて、焼くまえに発酵させることだ。したがってちょっとスッパイ。でも、中にはカレー味のジャガイモなどが入り、カレーとヨーグルトがよくあうがごとく、よくブレンドする。

マレーシアやシンガポールにも似たようなものがある。

さらに、ぐっと遠くに飛んで、チュニジア。

僕がチュニジアに行ったのは20年以上まえだが、いまでもいちばん印象に残っている食べものが、ブリック(brik)だ。

はじめてメニューで見たときには、ブリック?石の塊りみたいだなと思ったが、チュニジアを代表する料理だということで頼んでみたら、これがいける。

やはり20僂らいの幅があり、手で持ってかじりつくとバリバリッと口の中でくだけるところがなんともいえない。

中には野菜や肉、魚などをチョップしたものが入り、辛いタレをつけて食べる。

ほかにはパリパリクレープはどんな国にあったっけ、と考えていたら、まだありました。

ひとつはアメリカ風タコス。ハードシェルのタコスだ。

考えてみたら日本の薄焼き煎餅も食感が似てますね。煎餅に食べものを挟んで食べたら結構うまいんじゃなかろうか。今度やってみます。

LA&OCではココ!「予算」は2人分です
Nha Hang Van
リトルサイゴンでBánh Xèoが有名な店。広大な店だが週末の昼時ともなると満員、みーんなBánh Xèoを食べている。Pho主体の店が多いベトナム料理店のなかで、ここはいろんな料理が楽しめる。
予算:$20
14122 Brookhurst St., Garden Grove
714-530-6858 
Thu-Tue 9:30am-8:30pm
Closed on Wednesdays

Udupi Palace
リトルインディアの南インド・レストラン。南インドはここもそうだがベジタリアンの店が多く、肉類の力強さのかわりに野菜のうまみをいかした奥深い味の店が楽しめる。南インドの名物ドサの種類はドサッとある。
予算:$30
18635 S. Pioneer Blvd., Artesia
562-860-1950 www.udupipalace.net
Tue-Sun 11:30am-9:45pm
Closed on Mondays

(2012年7月16日掲載)